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7日間のクリスマス  作者: 天河 弥月
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DAY1

 煇の家に放課後遊びに来た冬華。

 そんな冬華の心にはどうやら少し、もやもやとした想いがあるようです。


☆*☆*☆*


 クリスマス一週間前にして、親友の冬華と遊ぶことにした煇。

 誘いを受け入れてくれた事には喜びを感じた煇でしたが、冬華の終始ソワソワした様子に煇は納得がいかないようです。

 絶対に、今年のクリスマスこそは。

 彼氏作って、一緒に夜イルミネーション見て、ケーキ食べて…。

 今まで十八年間生きてきて、これ以上クリボッチを更新するなんてもう耐えられないし…!

 だから今年こそは!絶対に、高校生活最後にして、ラスト一週間でなんとかあの人にアタックして最高のクリスマスを過ごすんだ…!


『winner!!hikaru!!!!』


「あ」


冬華(ふゆか)ー?何考えてたの?」


「いや…別に…。クリスマス、誰と過ごそうかなって」


「あー…。そっか。もう来週の今日だもんね。早かったね、今年も。それで?誰と過ごそうと思ってるの?」


「…教えないっ!よし!リトライだっ!!」


「あっ、不意打ちとか卑怯だ!コントローラー返せ!!」


 実際、過ごそうと思ってるのはクラスメイトの薪田(まきた) 炎久斗(ほくと)くん。

 二年生の頃から想いを寄せている人で、学科は違えど、学園祭の時に彼が出ていた被服科のファッションショーで目を奪われて、それ以来好意を持つようになった。

 それに、ただそのショーに出ていた時の彼がカッコ良かっただけじゃない。

 その時彼が着ていた服。

 それが彼自身が作った自前のものだというのだから、これもまたすごい。

 彼は顔、服のセンス、手先の器用さ、スタイルを完璧に持ち合わせているのだ。

 なんと言っても、あのショーでのキメ顔は本当にカッコ良かった。一体女子生徒が何人心を撃ち抜かれていたことか。


「冬華?またHP残り少ないけど?」


「嘘!?」


 時間の経過は本当に早い。

 今こうやって(ひかる)が隣にいる間にも時間はどんどん過ぎていって、炎久斗くんは他の誰かに惹かれていってしまうかもしれない。

 本当は今すぐにでも炎久斗くんにアプローチした方がいいのかもしれないけど…。


『winner!!fuyuka!!!!』


「よっしゃっ!!」


「うぉぁぁぁっ!!あそこから逆転勝ちとかアリかよぉぉぉぉぉ!?」


 でも今は。ここ最近…いや、かなり前から、彼からの脈アリのサインをもらってるからクリスマスまでに射止めればいいだけ。





☆*☆*☆*☆*


 去年のクリスマスが終わってからもう早いもので、来週で一年になる。

 結局俺の片想いの気持ちは伝えられないまま、なんやかんやで二年も経過してしまった。

 だから、今年こそは…。

 このクリスマスという重大イベントを通して、この気持ちをちゃんと届けなきゃならない。

 俺の最後の高校でのクリスマス…。絶対にボッチでなんか過ごしたくない。

 そんな俺の想い、隣にいるコイツが気付いてくれてるかどうかなんて皆目見当も付かないけどさ。


『winner!!hikaru!!!!』


「あ」


「冬華ー?何考えてたの?」


「いや…別に…。クリスマス、誰と過ごそうかなって」


 やっぱり。きっと俺となんてこと微塵(みじん)も思ってくれてない。

 そりゃあ俺だって、今まで特別冬華に何かしてあげたかって言われたら、何もしてあげられてなかったかもしれないけど…。

 それでも俺は、冬華と居たい。

 きっとここで冬華の想う「誰か」と一緒にさせてしまったら、絶対に後悔する。

 そんなことを考えていると、不意に横から飛びかかってきた冬華にコントローラーを取り上げられた。

 しかし、バトル開始から数秒後、再び冬華の操作が覚束なくなってくる。

 きっとまた、「誰か」のことを考えている。

 男らしくない事は重々承知の上、冬華に早く戻って来て欲しい気持ちで冬華の操作するキャラクターにトドメの一撃を喰らわせ、残りHPを減少させた。


「冬華?またHP残り少ないけど?」


「嘘!?」


 俺が声を掛けると、直ぐに冬華はこちらの世界に戻ってきた。

 良かった。

 せめて俺の居る場所では俺のことだけを考えていて欲しい。

 もし他に好きな人が居たんだとしても、俺が一番好きなのは冬華だけだから…。


『winner!!fuyuka!!!!』


「よっしゃっ!!」


「うぉぁぁぁっ!!あそこから逆転勝ちとかアリかよぉぉぉぉぉ!?」


 あ。

 今度は冬華と逆転した。

 でも喜んでくれてるし、それが一番か。


 俺は、今年こそは絶対に冬華との二人きりのクリスマスを過ごす。

 あと残り七日。

 少ない日数だけど「友達として」じゃなくて、「異性として」見てもらえるようにしなくてはならない。

 おはこんばんにちは!今作をお読みいただきまして、ありがとうございました!

 天河 弥月です!


 今作では、現実世界での日付と同時進行で物語を展開していくので、少しいつもの小説とは変わった楽しみ方ができるんじゃないかなと思います。


 明日からクリスマスまでの一週間、毎日おおよそこの時間に投稿予定ですので、お時間ある方は是非ご覧ください!!


 それでは、最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました!

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