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近すぎる距離だからこそ分からないことがあるから彼は私に本音を言った

作者: 来留美

「何で分からないの?」

彼と出逢った日からそれが私の口癖になりました。



彼がご飯を食べると彼の周りは食べこぼしがたくさんあります。

「何でちゃんと食べられないの?」

「食べてるつもりだよ」

「何で分からないの?」

“誰が片付けると思ってるの?”


彼は約束の時間よりも遅く家に帰ってきました。

「何で時間を守れないの?」

「楽しくて時間を忘れちゃった」

「何で分からないの?」

“なんの為の時計なの?”


彼が勝手に私のアイスを食べました。

「私のだって言ったでしょう?」

「食べたくて我慢できなかったよ」

「何で分からないの?」

“我慢しなかったら他人の物でも食べるの?”


彼が私を見て安全確認もしないまま道路に飛び出しました。

「何してるの? 危ないでしょう?」

「だって、顔が見えて嬉しくて」

「何で分からないの?」

“車にひかれたりしたらどうするの?”


彼は朝、私が何回起こしても起きません。

「早く起きてよ。私も忙しいんだよ」

「う~ん」

「何で分からないの?」

“私が起こすじゃなくて自分で起きてよ”


彼はご飯を食べた後、片付けをしません。

「自分が食べた後の食器くらい片付けてよ」

「忘れてた」

「何で分からないの?」

“忘れてたじゃないでしょう? 面倒だったんでしょう?”


彼は脱いだ靴下を洗濯かごに入れません。

「また靴下が片方しかないよ」

「あれ? あっ、ここにあったよ」

「何で分からないの?」

“ちゃんと両方の靴下を確認して洗濯かごに入れてよ”


彼は家を出る前に必ず忘れ物に気付きます。

「忘れ物ないの?」

「あっ、ノート忘れた」

「何で分からないの?」

“ちゃんと確認してから家を出ようよ”


彼は私の誕生日も覚えていません。

「今日は何の日か覚えてる?」

「ん? 何でもない日」

「何で分からないの?」

“何で私の誕生日くらい覚えられないの?”


彼は私に大事なことも話してくれません。

「今度、文化祭あるんでしょう? 何で教えてくれないの?」

「えっ、言う必要あった?」

「何で分からないの?」

“あなたのことは何でも知っていたいよ”


ある日、私は彼とケンカをしました。

「何でいつも私に心配させるの?」

「ウザイ」

「何で分からないの?」

「その言葉、そのまま返すよ。何で分からないの?」

「えっ」

「いつも聞いてる俺の気持ち分かる?」

「嫌だったの?」

「当たり前じゃん」

「そんなこと一回も言ったことないじゃない」

「だって俺が悪いのは分かっていたから」

「分かっていたの?」

「分かっていてもそれを行動に移すのは難しいんだよ」

「私が分かっていなかったの?」

「でも、行動に移せない俺も悪いし」

「ごめんね」

「俺もごめん」


私はこの日、彼の本当の気持ちを知りました。

すると私の口癖は…………

そんなにすぐには直りませんでした。

でも、彼も私もちゃんと分かっています。

彼が少しだけ行動に移してくれているので。


「今日は何の日か覚えてる?」


彼がいきなり私に聞いてきました。


「今日? 何だっけ?」

「何で分からないの?」

「私の口癖を真似しないでよ」

「はい、これ」

「えっ!」

「今日は母の日だろう?」


彼は私の好きな色のピンクのカーネーションをくれました。

彼から初めて貰ったので泣きそうです。

私の大、大、大好きな息子は今日も母親の私の為に毎日、行動に移して頑張っています。

私も口癖を使わないように頑張っています。

どんなに息子にイラッとしても少しすれば忘れます。

それは息子がさっきのことは忘れて笑って話しかけてくれるからです。

私の心は息子の笑顔で全てがなかったことになるのです。

読んで頂きありがとうございます。

世の中の息子の方々。

母親に対して直して欲しいことなどありましたら教えてください。

好きな所でも何でもいいです。

息子に聞いても答えてくれないので。

本音が知りたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 息子さんでしたか。なるほどですね〜。
2020/11/07 10:12 退会済み
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