表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同居から!?始まる魔法戦争  作者: 月光月軍
4/38

作戦会議の日


 7時半、起床。なぜか早起き。その理由は実に明確だった。


 俺とアナはなぜか添い寝していたからだ。


「おまっ、はぁ? 」


 昨日は何も無かった。昨日はちゃんとニコの部屋に寝ろと誘導までして、ベッドに入ったことを確認した。 ......はずだ。え、まじで何があった? 強行に及んではいないぞ!?


「兄ぃ。ただいまー」


 スーパーBADタイミング。人生初の修羅場。てか早すぎ。家帰ってくるの昼頃っていってたやん。


 万事休す......だな。


「兄ぃー。お母さんたちもう帰って......。なんでもない!」


 独り言でかっ!

 てか、さっさと靴でバレた。連れ込んだと思われたら終わりだ。


「う? むにゃむにゃ。どうしたの? ニクス。て、は? え?」


 アナの顔が赤く、紅くなる。


「k、き、キャー!」


ペシン!


「いっでぇ! 」


 マジか! 叫びながら顔面平手打ち。おかげで顔面が潰れる。なーんてことはないが、鼓膜は破れた。血ぃでてるしな......。てかホムクル(ホムンクルスの略)て力が基本的に高いのか? 凄い痛いんですけど。


「あ、ごめん。つい......。じゃ、じゃあ。先にリビング行かせてもらうわ」


うん。俺の心配はほぼゼロなのね。まぁ、気にしないけども、少しくらいして欲しいかもしれない。やっぱりヒロイン枠だし。


「あ! アナさんだったんだ。やっぱりねー」


 ニコとアナが出会ったらしいが、2人とも気にしてないらしい(ニコはアナが来たことを知ってたし、アナは俺ん家だからニコがいておかしいとは思うはずがない)。

 リビングに向かおうと、とりあえず階段に向かった。

 廊下にて、話し声が聞こえる。床に耳をつける。この真下はリビングだ。


「アナさん聞いてる? 」


「あ、ごめん。考え事しちゃって。何かしら? 」


「いやいや。それよりアナさん大丈夫だった? 痛くなかった? 兄ぃになんかされた?」


 あいつ。今回までもいらん詮索を。あと、痛くなかったはどういう意味だ?


「大丈夫よ。なんにもされてないわ。ていうか、ニク

スにそんな根性あると思う? 」


「ないと思う。よかったー、なんもなくて。高校生活

初めての女友達と一夜を過ごすなんて、偉業を達成し

ておきながらね。ふふっ」


 ニコめ、後でしばく。そしてアナ。覚えとかなくてもいい。俺は一生覚えておくが。


「あ、でもそれならどうして、兄ぃの部屋に寝てた

の? 朝っぱらから平手打ちってことは誘惑ではないで

しょ?」


それは俺も聞きたい。理不尽すぎだしな。てかなぜ知ってる!? まさか音だけで分かるようになったのか!?


「それはね、恥ずかしいんだけど、私ね昨日トイレに

行った後に、ニクスの寝顔でも見ようかと部屋に行っ

たら、あまりにも可愛く」


 くすくす聞こえる。いや待て、ツッコめよ。


 いや。いやいや恥ずかしい。まて、いや恥ず! マジで恥ずい! 聞くのやめようかな。


 それでも耳は床から離さなかった。離したくなかった。


「あーやばいw思い出しただけで、やばいわ。ニクス

ね、寝顔見に行ったら、半目で寝てるのよ。もう死ん

でるかと思うくらいきれいに半目で」


 ああ。恥ずい。ひとりでに恥ずい。さっきまで恥ずかしがっていたことが恥ずい。ダメだ。朝っぱらからこんなのは。もう、修羅場ではないけれど、死にたくなる。


「でも、アナさんが、一緒に寝た理由は別にあるでし

ょ? 」


「まぁ理由があるとすれば、ニコちゃんの部屋。昨

日、あなたの部屋に予定だとねるはずだったんだけど

ね、ニコちゃん。あなた、好きなもので埋め尽くすの

はいいよ。いいんだけど、趣味悪いというかね、日本

人形とこけしの部屋なんて怖い以外になんと言えばい

いのよ」


 俺も同意見だ。あいつの趣味は怖い。けども否定は出来ない。


「あー、怖いって言われるから分かるけど、それでも

添い寝って。アナさん結構大胆だったりするんだね」


そろそろ8時すぎで、お腹がすいてきたのだが、リビングに行くその30歩くらいが、泥の道のように感じた。


「私が大胆かぁ。そうかもね。まぁいいじゃない。青

 春ということで」


おいおい。青春だとしても、3日で一線のギリギリにいくことが青春になるのか!? ただのやばいやつだし、まず恋人じゃないし!


? 何も聞こえない。喋らないと面白くないんだよなー盗み聞きって。トントントン? なんの音だ? 料理か!? 料理なのか? おいしい手料理なのか!!


「兄ぃ。何やってるの? 」


 その目は常夏を吹雪に変えてしまえるような冷たさだった。


「兄ぃ。いくら気になるからってそうゆうのはよくな

 いと思うよ」


「ご飯ご飯〜。先リビングいくわ」


「ちょっと待とうね。お に い ち ゃ ん」


 乙女なめんな! と、叫びながら実の兄を本気で殴る妹の姿がそこにはあった。殴られてるのは俺だが。


――


「おはようニクス。どうしたのそのみっともない顔

 は? 」


「聞くな。傷が痛む」


 というかめっちゃ痛い。


「今日ご飯は? 」


「パンでも食べれば? 」


 今日はニコと上手く喋れそうにないな......。だから喧嘩はさけるのだが、今度は俺の完全なる失敗なので、諦めた。


 俺はキッチンで、パンを焼く。ニコは自分の部屋でゲームを始めたらしい。


「おいアナ。ひとついいか? こっちこっち」


 手招きをする。


「どうしたの? 」


「お前、気づかなかったからかもだが、羞恥心も欠け

 てるんじゃ? 」


 彼女の耳元で囁く。

 とりあえずさっきの話を聞いていたことはニコにより報告されたが、その時もアナは全く動じなかった。


「あるに決まってるでしょ? 朝だって、ニクス、あん

 た私のお腹触ってたじゃない。それはめっちゃ恥ずか

 しくて、もう平手打ちをしちゃった」


 マジか。俺セクハラしてる。というかあいつが入ってきた時点で、セクハラはセクハラかもだが、そこはもう曖昧でいいみたいだ。

 てか既にお前の中では笑い話かよ。

 珍しく、顔が赤いけれど、いい笑顔だった(初めてまじめに笑顔を見たせいかもしれない)。


「ニクス。そういえば鼓膜は?」


 血は止まったことは確認したが、痛くないので気にしてはいなかった。


「治ってるのかな? まさか不死の効果?」


「それはないわ。一応回復とか、神具を使う時は魔力

 を行使中にしか使われないから」


 なるほど。これまで魔力を行使したことがないから傷が治ることはなかったのか。


「でも、きれいに治ってるのね。あ! 魔力媒体! そ

 れそれ。使った分あなたから魔力吸い上げちゃうから

 魔力回路を使ったわけね」


そういえば、魔力を貯める方法もあるとは聞いたが、肌身離さず持っていればいいなんて、簡単じゃないか。


「でもこのあざは? 」


「あ、魔力媒体の容量満タンだ。だから、それは治ら

 ないわ」


「まぁ、これは治らなくって良かった。バレたら大変

 だもんな」


「そうね。1回死ぬから注意しなさい」


 ほんとにこの体、便利か、不便か。


「今日はね、作戦会議よ」


「お、らしくなってきた」


 やっと楽しい夏になりそうな感じだ。

 初見平手打ちを根に持つつもりも無いが、スタートがあれじゃあなぁ。


「基本的に4対4くらいの戦争で、私の仲間は、今は

 ニクスだけ。相手は誰かなんては分からない。私が死

 んだら、次のリーダーあなただからよろしく」


「死んだ前提には早すぎだろ。でも4対4ねぇ。多く

 ね? 付近にこんなにいるとは思えないけど」


「まぁ人数調整は魔術協連(魔術協会連合の略)が、ど

 うにかしてくれるわ。待ってても集まると思う」


 なるほど。てか、2チームで、戦って願いをひとつか......。おかしい気がする。うますぎてる。旨みが大きすぎる気がしてたまらない。ていうかまるっきりほぼFa〇eだ。選定戦争か......。


「あと、言っておくけど、もう後戻りは出来ないって

 ことと、私たちは負ければ死に。絶対に勝たなければ

 ならない。わかった? 」


息を飲む。死ぬことと、願いを叶えること、この2つを天秤にかかってることは目に見えていたのであまり驚かなかった。単純だなぁ。


「で、作戦だけど、まず、敵を見つけなければならな

 い。だからね、この石を持って、毎日市内1周! そ

 うすれば見つかるわ。詳しいことは説明が面倒なんだ

 けど、とりあえず町内を回ってくれればどうにかなる

 から」


 良いも悪いも言ってないのに了解、その後丸く収められたように話された。


「まぁいいけど毎日は......。できれば2日に1回くらい

 で」


「まぁいいけど、早めに、例えばもう今日から行く?」


「自転車で俺は行くよ?」


 流石に2日に1回でも市内1周(20キロくらい)を走るなんてできる気はしない。


「でも、今日は私に免じて、徒歩でどう? 」


 今日はね......。まぁ今日は添い寝という良い経験をさせて貰えたので、聞いておこう。


「今日はそういうことにしよう」


「よし、そうとなったら行こう。ニコちゃんも誘う?」


「あいつはな......。まぁ今日はやめといて。ちょっと

 誤解もあるみたいだし(嘘)」


 まぁ、喧嘩なんて、朝になればなんとも思わないが。


「じゃ、準備するね。あ、着替えしなきゃね。ニク

 ス、部屋借りるから覗かないでね(圧)」


 目が笑っていない状態はこんななのかと知った。目ん玉の色が黒く見えた。


——


「よし、行くか」


 ルートは1周とはいえ、人の多いところを中心に行く。


「この石はどうしたら分かるんだ? 近くにいるって」


「この石はね、今回の参加者を見つけると光るのよ。

 まぁあれ、ダウジングだと思って」


「ダウジングてきょうび聞かねえな」


 最近ダウジングなんて、ポケ〇ンでも最近見なくなったな。


〜商店街〜


「反応は?」


「ないみたい。まぁここで見つかったとて誰かなんて

 は分からないんじゃ?」


「大正解。こんなとこいてもわかんないのよね」


 ここに来るのは次回からは避けても良さそうだ。


〜剣道の道場〜


「今日は練習の日か......」


 独り言。まぁ、「それがどうしたの? 」くらい聞いてくれるといいなと思って言ったが、結果独り言になってしまった。


「反応は? 」


 ない。そう言おうとした時、小学生達が出てくる。


「ん? これって......」


「反応あるじゃない」

 

 そんなに普通に言われてもな。もっとなんか深刻だったりするとわかりやすいんだけど。


「これは小学生からなのか? 」


「分からないわ。もっと調べてみないとね」


 次いくわよ。彼女はそう言ったが、俺はそこまでの体力はなく、少し休むことにした。


「セ〇ンて、涼しいわね。ここで、何か買って? 」


「彼女気取りするな。あと、なんかこれまでとキャラ変わってね? 」


「気にしない気にしない〜」


 アナに押されて選んだのはスポドリ。絶対に隣のスーパー見つけて買った方が良かったと後悔した。


――


 家に帰ってきた。


「今日、反応が出たのは剣道の道場と、学校だな」


「どちらも小学生が関連してるわね」


「誰かなんては分からないだろ? あんな人数いると」


「そうね。分からない。でも、そこら辺に出入りして

 る人と分かればあとは2、3日調べれば大丈夫よ」


 この石って便利だな〜。そう思ったらあることに気づく。


「ちょっと質問。俺らってそいつらがこれ持ってたら

 バレてんじゃ......」


「あー。ね。あ、やばいわ。一刻もここから出るわ

 よ」


 マジでヤバいやつじゃん!


「と、言うとでも思った? まだ開戦はしてないし、ま

 だ6時くらいなら動けないはず。バレたらアウトだか

 らね」


 なるほど。バレたら殺されるのは結構足枷になってるみたいだ。


「まぁ風呂にでも入ってくるか。汗が半端ねぇ」


「・・・・・・」


 無視かよ。やめて欲しいな。


「兄ぃーご飯まだー? 」


「まだだ。30分くらいまっとけ」


 めんどいな。料理作るの。


「今日はまた泊めてもらえるの? 」


「多分大丈夫。ニコ! また、アナが泊まりたいらしい

 んだけど、良い? 今度は人形閉まってからだけど」


 階段から階段の目の前にあるニコの部屋に向かって叫ぶ。


「いいよー。今日は一緒の部屋だー。兄ぃも来る?」


「行かねーよ。行ったらまるきりお前の餌食じゃねぇ

 か」


あいつは寝てると何をしでかすか分からない。


「じゃあ今日も泊まれるのね。じゃ、私が腕によりを

 かけて作るわ」


「おう。よろしくな」


〜風呂上がり〜


 アナの顔が少し暗い。


「お、美味そうじゃん」


「お、アナさん凄い。どれもきれいに作ってある」


「では、「「いただきます」」」


 俺とニコは同時に頬張った。


「うぐっ」


 声にならない声で言った。いや、正確には声にはなったが、なんというか「うぐっ」だった。


「これ、何入れた?」


「まさか.....」


 漫画で書くなら右上に「えへへっ」くらい書かれるような笑い方だった。


「多分そのまさか。そう、あまり美味くない」


 正直かつ、彼女を責めないようにいったが、アナの顔が暗くなる。


「兄ぃ。よろしく」


「まかせとけ」


 俺は味付けを少し変えた。


「流石兄ぃ。美味いね」


「凄い。ここまで美味しくできるのね」


「最近の料理男子なめんなよ」


 俺は自分でもなんだが、誇らしげに言う。




 今日は、珍しく魔法の話をしなかった。

 また、明日にでも教えてもらおう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ