決意の日—参の二
戦ってる理由ってなんだっけ?
そんなことを忘れさせるほど熱くなっている——
あいつだけ。
左腕はやられたが、右腕は最強だ。——多分。
てか、マジで怪我してまで何やってるんだよ俺ら。
「もう一発!」
カメオはそう言ってさっきと同じように攻撃。
「その攻撃は見切った!」
俺はとりあえず一歩後ろに飛んだ。勿論『増長』も使って。
いやだからなんで攻撃して来てんだよ。
案の定避けられた。それと同時にあいつから出ていた力が抜けるようにしてシャァァと音を出しながら蒸気のようなものが出てきていた。
ラッシュ後のチャンスタイムとでも仮定しようか。
「いくぜ!」
こいつに『炎爪演舞』をしても魔力減るし、こいつに怪我させるかもしれない。よっていいことはないので、普通に『増長』だけで倒す必要があるだろう。ちなみにこの思考時間は1秒だ。
常人にはできないって?
知ってる知ってる。
これは二次元なんだぜ?
知ってるって?
だよな。
俺の攻撃。
幸いチャンスタイム(これは俺の仮定)だったのであたるはず!
「全力疾走! &パンチ!」
シュゥゥ。
そんな音が聞こえたような気がした。
まるで水分が飛ぶような、何かが消えて行くような。
それこそ、余計なものがなくなるような。
ゴン!
と、音を立てて俺の拳は当たる。
痛そうだなぁ。見ていて嫌だ。
やってても嫌だ。
でも、そんな一撃を物ともせず、カメオはどんどんズッシリ、重くなっていく。
何故かわかったかと言うと簡単だ。
地面にめり込んでる。
見た目的には変わっているようには見えない。
が、ありえないだろめり込むって。さっき余計な何かは抜けていったんじゃなかったんですか?余計に何か追加しましたか?
俺が力を一瞬抜いた時、口を開いて。
「クッ「ククッ「クククッ「クァァハッハッハー!
「クァァハッハッハッハー!」
不吉かつ身長相応の高い声で大笑いするカメオ。
距離をとりつつ慌てて手で耳を塞ぐが、効果は薄い。というか、左腕本当に動かない。その笑いは俺を不安で不快にする。辺りには建物及び音を反響させるものがなくて助かった。あれは長時間聞いてると耳が死にそうになる。
「かかってこい!」
「.....」
俺死ぬよねこれ?死ねるよね?楽々。魔力使ってもいいけど。うーん。怪我をさせるのは......なぁ。
カメオはやはり容姿にとって言えば別に変わりはなかった。
否。
身長だけは伸びたまんまだった。
否。ではないか。
「お前さ」
会話をしようぜ。と、付け足そうとするが、すぐに、
「なんだ?」
意外と喋る気あったんだ。
言葉の通じない相手とは戦争しかないとはよく言ったものだ——言葉であれば戦争より勝ち目がある。
俺がどう考えたったこれは戦争したら死ぬ。
悟ったと言うか事実だ。絶対に争ってはならない。ならば、決死の覚悟で思いつく作戦なんてこんなものだろう。
「こんなところにしておこうぜ。今回は」
カメオは少し——ではなくめちゃくちゃわざと眉間に皺を寄せて顔をしかめる。
「嫌だな。殺さねぇと気が済まねぇ」
風もない。日もない。明るいだけ。
建物もない。他の人もない。2人だけ。
俺は知らない。何も知らない。カメオが全て知っている——知らないな多分。
「それはご苦労さん!」
俺は最大限にスピードを上げてカメオの周りを走り始める。ポケ○ンでよく見るあれだ。やりたいことは撹乱なのだが、出来ているかはわからない。
「なっ」
俺は目が回らないように努力しながらカメオの位置を視界に入れる。おそらく動揺している。攻撃はしてこない。成功するのかなぁ。
カメオの真後ろに入ったとき、地面を蹴って背中から触れる。まるで紙を背中に貼るように早く、優しく、これから散々な目を見るカメオを予想するようなにやけ顔で。
「『無重力』!」
「おう?」
不意を突かれて変な声を出すカメオ。
最近会得した技、『無重力』。対象にかかる重力をかき消す大技。これはどちらかといえば一度発動させるのに魔力を要するが、かけた後は解除しない限り俺が死ぬまで永続の魔法だ。強くはない。正直言って。
驚いた瞬間、即俺は
「蹴り上げる!」
重力という抵抗をなくした勢いは凄まじく、増長なんて使わなくてもよかったほどだった。
瞬く間に見えなくなっていっちゃった......。
「おまぇぇぇぇぇ!」
そんな断末魔も聞こえたことで、家に帰リたくなってきた。一段落ついたことだしな。
カメオのこと?
誰だそいつは。
「て、アレ......?」
そういえばここは何もないで(俺の中で)有名な場所だった。
即ち帰り方を知らない。
「詰んでる......な」
助けを呼ぶ方法も知らない。
「はははは」
笑えねぇ。
マジで。




