決戦の日——do
究極解放。それは装具の一段階上の解放。デメリットといえば1日に30分程度しかできないこと。
「神々しい」
おじいさんはそう言う。
いやあんたも神様だろ。
私の究極解放は白を基調とした衣だ。ダメージを受けづらく、軽くて速い。そして、武器は大きな大砲だ。名付けてイージス砲。今、日本の周りにある戦艦、イージス艦をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。攻撃こそが最大の防御だ。白と緑の私の身長ほどある大砲。言う必要もないだろうが、重くはない。私の重い通りに軽くなり、重くなる。
「面白い」
「ありがとう」
私は走る。おじいさん—彼はまだ立っていない。奇襲というか、不意打ちだ。30分限定の攻撃時間。私は全力で戦わなければならない。それならプライドなんて、礼儀なんて言ってらんない。
走りながら彼に振り下ろして攻撃する。
ガン。
私の武器は彼の目の前で止められてしまった。
「軽いな」
真顔で言われた。
彼は左腕だけで受け止めた。今の重さは5キロほど。これで軽い、か。
まぁ、そうだろう。
「くっ」
私は5メートルほど距離を取る。
流石にこの時間で彼は立った。やっと真面目に戦うようになったのかな——前回まで本気でやってなかった私が言えた話ではないと思うが。
「究極解放とはそんなものか!」
「っ!」
なんかめっちゃムカつく!
なんなんだあのジジイ!
「あったまきた。いいわよ。やってやるわよ!」
私は砲撃型イージスの銃口を彼に向ける。
5秒程のためからの、
「『衝撃砲』!」
見えない球——空気の球が音速で放たれる。秒速約350メートル。時速1260km。放つと、辺りには衝撃波が発生し、それは体をいとも簡単に切る。
流石に究極解放中の特権だけに、私には無害だ。そうでもないと、普通に死ぬ。
瞬きする間も無く、
バコン!
轟音が響き、それと同時に強い風が吹く。私はイージスの重さを100キロほどにして(衝撃波は無効だが、風圧はしっかり対策する必要がある)耐えられるようにする。
数秒後、目の前をみると、目の前には大きな穴。そこには人の姿は無い。
「ふぅ……」
これで死んだだろう。あの球を受ければ触ったところから消滅するが如く小さく粒子レベルで分解される。正直、人(性格には神)に使ったのは初めてだったが、ここまでの威力だとは。
「再生しない……よね」
私は辺りを見渡す。勿論すぐ撃てるように、チャージ完了のイージスを構えながら。
私の『衝撃砲』は飛距離が150メートルほどだ。
150メートルはこの道場は射程範囲内だったのが吉だった。本当に。
そろそろ一周するかというとき、
「誰が死んだと」
「——え」
フラグ収集日は今日だったらしい。
ごみ収集車は明日かな?
私の解放時間はあと、28分。
「はっ!」
彼は容赦なく切りつけてくる。
私はイージス砲を完全に盾扱い(元々盾だけど)して全ての剣撃に反応する。
反撃する隙もない。
28分これで押し切られたらたまったもんじゃない。
——
何もできずに10分が経過した。究極解放をもってもここまで辛いとは。彼の一瞬にして近づいて来る技、『神速』。これに圧倒された。
そして、今。どんどん体が熱くなる。軽すぎると吹っ飛ばされ、重いと使いづらいイージス砲はとてつもない労力がかかる。
「……」
両者ともに無言。
剣と盾のぶつかり合い、奏でる音を邪魔するのものは何も無い。
ニクスは大丈夫かな......。
そんな思いが頭によぎる。
「死ね!」
「キャッ!」
私は気を抜いてしまっていた。
ガンッ、ガラン。
武器——イージスが吹っ飛ばされる。
残り時間は15分。
「敵の前で隙を見せるとは。死に値する」
「......」
押し倒され、首に剣を突き立てられる。
『神速』は音も出さずに近づけるようだ。
殺気を感じれるほどの殺気だ。
「私の最後のお願い。聞いてくれないかしら」
「はっ。命乞いか」
彼は力を抜く。剣に殺気が薄まった。
私は合図をする——彼の能力に合わせて。
「今よ」と、心の中で。




