天下の日—ドライ
防具の破片は組み上がっていく。やがて、大きな鎧になった(正確には破片と破片の隙間があり、ハリボテ感がすごい)。
「ニクス。行ける? 」
「無理に決まってんだろ。魔力無ぇし」
「しょうがないわね.........」
と言って、アナはカメオの方に行く。
「カメオー。起きろー起きろー」
と、言いながら暗くて見えないが、往復ビンタをしているようなペシペシ音がする。
「ん.........? 」
ペシペシ。
「やめろ! いっだいなー」
「やっと起きた。さっさと行くわよ」
「いくといってもどこ.........。は? ホムンクルスどう
いうことだ」
「どうもこうもないわよ。デカくなっちゃったの。
どっかの誰かさんが適当にやってるから」
いや、俺がやりに行ったのはお前らの無能さからなんだがな!!! なんて言葉も出ずに俺は眠った。
——
物理攻撃がダメ。魔力による破壊をしても効果なし。私の火力ではこの巨体をどうにも出来なさそうだ。
「デテイケ」
「うぉっと! 」
大きな巨体は道場の周りに生えている木を持ち、振り下ろす。ズドン! という音とともに乾いた土が舞う。それを避けるのは容易いが、土が舞って視界が良いとは言い難い。そもそも夜で見え辛いってのに。
「だいじょうぶか? ホムンクルス」
カメオは小さな身体でシュタッと着地する。流石鬼の脚力。さっきの攻撃も横ではなく、上に逃げたのだろう。
「ええ。でも、どうするのよ。倒せるの? 」
「さて、な! 」
2人で喋っているところを木がまた振り下ろされる。私とカメオは違う方向に別れて避ける。
しっかり地面を踏みしめてから、
「『衝撃波』」
ちゃんと胴体部分に当たった。しかし、ダメだった。否、当たってない訳では無い。当たったが意味がなかった。当たったらその部分の鎧が崩れ、すぐにその部分に返っていく。しかし、それをしている間にももちろん攻撃は来る訳で、その時私は抵抗できる状況じゃなかった。直感で分かる—死ぬ。
私は押される。しかし、そのベクトルは下ではなく、横だ。
「あぶないな。ぼおっとするな」
「え.........」
助けてくれた。珍しい、というか新感覚だった。お姫様抱っこをこんな高速でやられるなんて。風圧で鎧が少し体に食い込む。
「じゃあ、ホムンクルス。さっさとかまえてろ」
「え? 」
カメオは空中で切り返した。正確には切り返すために空気を蹴った。それに驚いている暇は無く、私は鎧に突っ込まされる。槍を構えて.........。
「バカ。まちがえんな」
「当たり前でしょ? 」
「くっ」
次は鎧にキックをしてまた空中を舞う。狙いが定まっていないせいか、木を振り下ろしては来ない。
「おい。つぎはちゃんとたてでやれよ」
「盾? いいけど.........」
私は激しい風圧の中、左手を前に突き出し、槍を手放す(邪魔だからね。そして、呼べばすぐに来るし)。
カメオはまた空気を蹴って鎧に突っ込む。
私達は貫いた。しかし、鎧だけ、本体は無い。しかし、何故か胸の辺りに当たったら全ての鎧がバラバラになった。
「『盾攻撃』! どうだ。これでこ
うしゅいったいだ」
「そんまんまね。まぁ悪くないけど」
私はふぅ。と、つまった緊張を解くように息を深く吐く。
私はすぐに鎧を観察しに破片の元に行く。これで終わったとは思えない。私はさっき突っ込んだ時、鎧に何か書いてあることを見た。大きな破片を見る。それだけ妙に大きかった。表は普通だけど裏には.........。魔法陣?
そう思った時には破片がそれを中心に集まって来た。それは私が鉄片に刺されるようなものだ。だって鎧の核となる物を私が持っているんだから。
死ぬ。てか死ぬと思うスパン短いな。よく死ぬ人生なんて不死でもなければやってらんないな。
私は目をつぶった。
今回ばかりは助けて貰えないかな.........。
私は諦めながらも心の中で「助けて」と叫んだ。
まるでヒーローを呼ぶように。




