Ⅱー0 . 魔物の家族
とりあえず閑話だけ挟んでおきます。
(でないともっと遅くなりそうなので……)
なので凄く短いです。
受験終わったら少しだけ……ほんとに少しだけ長くします。
「はぁ……はぁ……っ!」
美雷は1人森の中を走っていた。
目的地などは決めていない。
ただ逃げるように走っていた。
美雷は見てしまった。
それはこの世界では普通なのかもしれない。
それは誰もが知ってる常識なのかもしれない。
だが……
「何で……」
絞り出すように……
まるで自分の恐怖を消すかのように叫ぶ。
「何で!魔物が人間と同じように暮らしてるの!?」
確かに魔物にも生活はあるのかもしれない。
だが、それはあくまでも生きるために食べて狩りをして寝る……くらいの事でしか考えていなかった。
だが、”それ”を知ったのは一昨日。
依頼により、リザードマンの集落を調べていた時の事である。
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一昨日
あくまで依頼はリザードマンの集落を見つけるという依頼であり、場所を報告だけの依頼だった。
その為、狩りをしていたリザードマンを見つけると後をつけたのだが、拠点と思われる場所に着いたところまでは良かった。
問題はその後。
そこで美雷が目にしたのは
人間と同じように話したり、家族の団らんを行っていたりするリザードマンたちであった。
更に、美雷の言語翻訳には、更に魔物の言葉が分かる機能が着いているため、嫌でもその会話を耳にしてしまった。
「パパ~またみまわりにいっちゃうの……?」
「すまないなぁ……こうでもしないと、人間が来てしまうかもしれないからな、この街を守るのはパパたちの役目だ!」
「早く帰ってくるのよ?この子も待っているからね。」
「ああ、わかってる。それじゃ、行ってくるよ。」
「あっ、まって!………はい!これ!」
「……これは……髪飾りか?」
「そうよ、この子あなたのために昨日一生懸命に作ったんだから。」
「そうなのか!それじゃぁお礼をしないとな!今日はでかい獲物でもとってくるか!それじゃあ、行ってくる!」
「いってらっしゃ~い。」
家族の会話。
それはまるで明日も同じ一日が続くようだと言っているようなものである。
だが美雷がギルドに報告すれば、すぐにでもパーティが集められ、討伐隊が派遣されるだろう。
そうなればどうなるか……
だが魔物は魔物。
報告しなくては、また人に危害が及ぶだろう。
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その為、美雷はすぐにギルドに報告へ向かった……?
何だか今大事な事を……思い出せない……
そして次の日。
ギルドがやけに騒がしい。何事かと美雷がギルドに入ってみると、宴会が開かれていた。
どうやら、昨日のリザードマンの住処を知らせたことにより、討伐画成功したらしい。
と、そこで討伐に参加したと思われる一人の男が、机の下から何かを取り出す。
首
それはリザードマンの首だった。
その顔は絶望に染っており、どこか憎しみを感じられる。
よく見ると、そのリザードマンの髪の毛と思われる部分には、小さく、歪な形をした髪飾りがつけられていた。
よく知っている。
昨日の家族の夫リザードマンだ。
と、首を持っている男が、周りの酔っ払い仲間によく見せるためなのか、首を様々な方向で見せている。
と、その時、一瞬だが、リザードマンと目が合った気がした。
よく見ると、泣いていた後があった。
それを見て美雷は……
逃げ出した。