Ⅱ 世界の説明とステータス
何か説明回が2連続できてしまった……
スキル、存在の消滅を編集しました。
編集前
効果 3分
1日に3回まで
編集後
効果 1時間
計3回のみ
「おお!よく来てくれた!勇者達よ!!我らに力を貸してくれ!!」
そう言われても誰も反応できなかったのも無理のない話だろう。
気付いたら知らない場所にいて勇者と呼ばれ挙句の果てには力を貸せと来た。
そしてクラスメイトの誰かが発した第一声が「はぁぁ!?」なのもやはり無理は無いと思う。
「えっ!ちょっ!え!?」
「なに?何処ここ?」
と言った困惑の声から、
「なんなの!早く返して!!」
と言った怒号が飛び交っている。
挙句の果てには
「静まれぃ!!」
だ。無理な話だろう。
はっきり言って現実味が無い。夢を見ているのだろうか?
そう美雷は考えていたら、王様と思わしき人が口を開く。
「ふむ……説明するよりは実際に見てもらった方が早いか……勇者諸君よ!ステータスと言ってみろ。」
と王様が言った途端、わっ!という声が聞こえた。
「おいおい……なんだよこれ……かんっぜんにゲームと同じじゃねぇか!!」
という声が聞こえたため、美雷も試しにステータスと呟いてみると、目の前に、光の画面がが映し出される。
「そこに映っているのは、自分達の力を示した物である。その画面は他のものに見せることは出来ない。そしてそれは自分の持つ力を文字や数値に置き換えた物を映しているため、勇者諸君にも分かりやすくなっているはずだ。」
そう言われ、美雷も自分のステータスを細かく見てみる。
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名前:夏野美雷
種族:人間(異世界からの召喚者)
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Lv7
体力:241
攻撃力:138
防御力:124
魔力:428
器用さ:461
知力:256
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スキル
(固有)言語翻訳Lv5(人間から魔物までの言葉を自動翻訳する)
無限収納庫Lv2(収納上限のない空間を生み出す。個別収納、確認、時間停止が施されるが、直接手に触れないと、収納出来ない)
(固有)スキル所持上限解放Lvー(Lvが無い、スキルをいくつでも所持する事が可能になる)
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称号
異世界から召喚された者
ムードメーカー
意外と器用
《?》
《?》
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と言った感じである。
因みに美雷は異世界物もゲームも好きなので殆どの物が何となく理解出来た。
しかしそれでも、いや、それだからこそ分からないことがあった。
(……?何で最初からLvが7何だろう……スキルLvも高いし称号なんて最後の2つが見えないし……)
美雷は分からない事は後回しにするタイプである。その為、今は考えるのをやめ、王様………オッサンの話を聞くことにする(だって胡散臭いんだもん)。
オッサンの話を聞く限り、どうやらこの世界には魔王が存在する、そして魔法がある。
魔王の配下には魔物が多数存在し、一般冒険者でも倒すことはできるが、何故か一向に魔物の数が減る様子が無いらしい。
次に勇者についてだが、どうやらあくまでも勇者は1人であり、その他は勇者の援護をする為の存在らしい。(因みに、勇者は副委員長であった月皇宏斗だった。かなり責任感が強い人なので、クラスメイトの皆も納得していた。)
そして召喚された者には一人一人に何か特殊な能力を持っているらしく、この世界の人がその能力を持っていることは普通ありえないらしい。
そう考えると、美雷のもつ特殊能力は言語翻訳と思えるのだが、言語翻訳自体は他の人も持っている感じがする。しかし、Lvが5もあるのが美雷の特殊な所なのか。
(だったらもっとこう……チート!!て感じの能力が欲しかったけど……まぁ現実なんてこんなもんか……)
と考えていたが、オッサンが意外な事を口にし、美雷の予想は的外れであったことを実感する。
「異界の地から召喚された者にはきちんと我らの言葉が伝わるようかならず言語翻訳のスキルを持っている。そのスキルだけは特殊でな……唯一Lvが存在せず、所持し始めた瞬間から完璧な翻訳を始める。しかし、この世界にしか存在せぬ言葉に関しては少しだけ理解出来ぬ様なものになるやもしれぬが……」
という言葉にクラスメイトの全員が「へー」と返す。そう、つまり、”納得”したのである。
(え?どういう事?それじゃぁ何で私の言語翻訳にはLvがあるの?しかも5もあるのにLvが存在しない?)
更に、気になった点はそれだけでは無い。
(しかも言語翻訳スキルのLvが無い事を”唯一”と言った?……それじゃぁ、スキル所持上限解放ってのは一体何なの?Lvに棒?みたいなのがあるけど、それがLvが無い事を表すんじゃないの?)
そう、確かにステータスには「所持上限解放Lvー」と書かれていたのだ。
さらに言わせて貰うと、それにクラスメイト全員が納得するという事は美雷の様な例外のステータスを持った人がいない事を示していることにも繋がる。(もしくは何か理由があって隠しているのかもしれないが)
「因みにだ、スキルという物があるはずだが、そのスキルは人によって所持出来る数が違う。その為、多くスキルを所持出来る者は必然的に強くなるだろう。」
と、そこでオッサンの側近と思われる人物が口を開く。
「それでは誰がいくつ所持所持したのかを、教えてもらおう。」
美雷にとっての爆弾発言をこの野……この側近が言ってきた。
(ウッソ!ヤバい!!イマイチ信用出来ないこの人達に見せたくない!!でもどうすれば……)
ここに来て美雷のムードメーカーが仇となった。陰の薄い陰キャならともかく、いつも明るい元気な子ランキングでNo.1を取っている美雷は隠れても空気を読まない奴らが疑問に思ってしまうだろう。
(どうしよう……ぁぁぁ……いっそ、一時的にでも”存在”が”無くなれば”……)
と思っていると、美雷の頭の中で声が響く。
『スキルアシストが使用可能です。「残り使用回数:3」使用しますか?』
オッサンの声が聞こえて来る。
「それじゃぁ、まずは誰から教えてもらうとするか……」
いつ自分の番が来るか分からない。美雷はやけクソ気味に心の中で叫んだ。
(あぁ!!もう、何でもいい!この状況を何とかするスキルが欲しいの!)
すると……
『承認要求中……許可。スキルの追加を開始します。』
「がっ!?」
突然頭痛が美雷を襲う。まるで直接脳を弄られているような錯覚を覚える様な痛みだ。
「美雷ちゃん!?どうしたの!?」
結奈が心配そうにこちらに近寄ってくるが、またあの声が聞こえて来る。
『終了……スキル「存在の消滅」を入手しました。使用しますか?』
美雷は迷わず叫んだ。
「使用……しろォ!!」
瞬間
時間が止まったかのような気がした。すると……
「そうだな……まずはやはり勇者から見ていくのがいいだろう。」
オッサンはさっきまでの事が無かったかのように話の続きを始める。
美雷は試しに、結奈に近づいてみる。
友達で実験する様で少しだけ心が傷んだが、今はそれどころではない。
「……えっと……ユナッち……私の事……見えてる~?」
と、結奈の目の前で手を振ってみたが、結奈から反応は返って来ない。どうやら、姿も見えていない様だ。
試しに、結奈に触れてみたが、まるで触られていなかったかのように動じない。
どうやら完全に美雷の存在は消えているようだ。
(これって戻れる……よね?)
試しにスキル一覧を見てみると、新しく「存在の消滅」という物が追加されていた。そして能力にはこう書いてある。
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スキル
存在の消滅Lvー:使用者の存在を消す。消している間は何をしてもなかったことになる。常時魔力を消費する。更に、Lvによる成長がなく、1時間が経つと強制的に解除されてしまう。(解除と念じる事で自分の意思で戻す事が可能になる。解除したあとの周りの記憶は多少の違和感を残し書き換えられる)
なお、この能力は、計3度までしか使えない(残り2回)
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この効果を見て美雷が一番最初に思ったことがある。
(何このチートスキル!!)
魔力を常時消費するというデメリットはあるものの、1時間は持つので、ギリギリ間に合うだろう。
という事で、自分の番が来るのを警戒しつつ、他人の情報を取り入れる事にした。
そして分かったことがあるのだが、どうやら、スキルは皆最低でも10個は所持しているらしい。
スキルの特徴はともかく、美雷の様な、3つしか所持していない人などいなかった。
そして、案の定と言うべきか、言語翻訳スキルには誰もLvがなく、更に、スキル所持上限解放のスキルを持っている人もやはりいなかった。
更に以外だったのは、無限収納庫ですら、誰1人として所持している人はいなかったのだ。
という事はつまり、美雷の持つスキルは全てレア以上のレアなスキルで、よりバレてはいけないような気になってしまう。
因みにしっかりと、自分の番は強制的に飛ばさせていただきました。
改めて美雷は自分のイレギュラーさに冷や汗が止まらない。
と、側近が終わりを告げる。
「とりあえず、今日はもう遅い、本格的な事は明日から始めよう。」
確かに、外を見てみるともう暗い。どうやら、向こうとこっちでは時間のズレがあるらしい。向こうではまだ1時間目終わったばかりの時間だと思うが、こっちではもう日が沈んでいる。
とりあえず今日はもう寝ることにした。
説明回はとりあえず以上です。
自分的に結構長くなりました。もしかしたらこんな長い文もう書けないかもしれない……(でも4000文字も行ってないんだよなぁ……)
次回からはスキルを実際に使っていきます(主に勇者達が……)