Ⅲ-Ⅵ 謎の棒と生き残り
『この者を即刻処刑台へ移せ』
『どうしてですか!王よ!私は今まで貴方に貢献してきた!なのに何故許されないのですか!』
何故こうなった?何故?何故?
私はただ愛する者と共にいたかった。ただそれだけの事なのに彼女は姿を見せず、私も今処刑されようとしている。
『せめて!せめて何故彼女が姿を見せないのか!それだけでも教えてくれないか!』
長年使ってきたことにより素で使えるようになったこの敬語も今では忘れてしまっている。
だがそれだけは聞かなくてはならない。何故なのか。何故愛し合った彼女が最近姿を見せないのか。
だが
そんな事、聞かなければ良かった
『ふんっ、んなものあの女が貴様に愛想をつかしただけの事だろう。元よりあの女は魔女なのだ、そんな者に絆されおって。今まで貴様は使えるからと置いておいたのにそんな事では消さねばならぬではないか』
『ふ……ざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!』
そして私は台にのせられる。もう身動きも取れない。暴れても力が入らない。この腕輪のせいだ。
それを見た執行官がこちらの顔を見て、こう言う。
『ーーーーーーーー。』
そして、無情にも命狩る刃はその男の首をはねたのだった。
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「ミライ、これなんだと思う?」
現在謁見の間からでて城の庭と思しき場所にいるのだが、フェリの質問通り私にも分からない。
今目の前にあるのは1本だけ突き出したほっそい棒。地面から生えているのだが何これ?多分空まで届いているのではなかろうか……だがそれよりも気になるのは……
「この辺り、あまり寒くないよね?それに声が聞こえる」
そうなのである。この辺りではあまり吹雪いておらず、フェリの風魔法の熱だけでも十分暖まれるのだ。
更にこの辺り、話し声が聞こえるということは近くに人がいるはずなのである。最低でも2人は。
「フェリ、お願い」
「あいあいさ〜」
ここでもやはりフェリの風魔法探知は役に立つ。風魔法様々だ。
その間私はこの辺りを軽く見渡す。
とはいえ別段目の前にある棒以外に何も見当たらないので、やることもな
「この真下だ」
……は?真下?とは言っても入れるような場所なんてどこにもないよね?
「近くに隠し扉がある。一応吹雪の中だから見づらいけれどすぐ近くにあるよ」
「吹雪の中?てことはこの棒から少し離れたところにあるってこと?」
「みたいだね、吹雪で見えづらいけど入口が少しだけ開いてるみたい。多分吹雪がなければ完全にしまっててより見付けづらかったんじゃない?」
そうなのか……ドアの隙間から風を通せば気づけるんじゃないかと思ったが、あとから聞いた事なのだが、フェリの風魔法は精密な操作が苦手らしい。フェリらしいね。
さて、この秘密の入口らしきものの中はどうなっているのか、誰がいるのかな?
「おい!!そっち手が足りてねぇぞ!そっちまわれ!」「食いもんがそろそろ尽きてくる!誰か取り入ってくれ!」「王子が倒れたぞ!誰か治療を!」「治療班も人数足りねぇよ!とりあえず少しでもいい、時間稼いでくれ、早急にそっちに人回す!」「火が消えんぞ!誰か薪を追加しろ!」「何だと!?王子が倒れたってのに火も消えちゃやべぇぞ!?」「ルドリア様!すみません、しばらく王子をお願いします!」「任された!早急に薪をくべるのを手伝ってやってくれ!」『分かりました!』
まさに阿鼻叫喚とも言える状態だった。
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side:勇者一行
「……ホントにスノルディアってのはこの先なのか?さみぃな……」
「そりゃ、雪国なんだからそうじゃない?」
現在勇者一行。スノルディア到着まであと4日
姉御「オオゥッ!意外と人が残っているな?」
元ヤン「さて、どう関わってくんのかね?」
金髪「ボリボリ…ひほひほひひはふははへはへへひへふへ」
元ヤン「……何食ってんだよ……そして何言ってんのか分かんねぇわ!」




