Ⅱ-ⅩⅡ 準備と目的地
さて、ぶっちゃけ何か言うこともないので、ダイレクトに何があったのかを説明しようかな。
まず、私 (とフェリ)はあの後、出かける準備をした。因みに留守は知り合いの猫人族にしてもらっている。
そして世界の記憶というものがある神殿へ向かうのだが、その際にルナが何かを渡してきた。
「それ持ってれば危険が近づいた時、何となくわかると思うから」
ということらしい。そのなんとなくってのがどういうものなのかを知りたかったが、感覚派のルナには説明できないだろう。だってルナ、説明がドババとかガーンとかそんな感じの説明なんだもん。わかるわけが無い。
まぁそんなこんなで旅に出たのだが、どうやら目的地までは時間がかかりそうだ。
その間に2つの街があるらしいので、そこによることになるだろう。
稼がねば……
だが稼ぐ為にはやはり何か仕事をするのが手っ取り早い。
そしてこの世界で殆どの人がつける仕事といえば、やはり冒険者。
そして冒険者に私は(勇者の実習として)なっている訳だが、依頼を受けたり、素材を高値で売りたい場合、冒険者ギルドに寄るのが1番早いのだが……
あまり冒険者ギルドには寄りたくない……
となると、何か物を売るのがいいだろうか?だけど売れるものが思い浮かばない。
と思っていたところ……
「あ、んじゃ、私がたまに露店でも開いていこうか?」
とフェリが言う。
「露店?開けるの?」
「実は妖精族って少しだけ露店を開いてるのもいるよ?私は大したものは売れないかもだけど、妖精にはテレポートがあるし、色んなところで売るにはいいかなって」
まて、妖精がテレポート使えるなんて初めて知ったぞ?と聞けば……
「だって聞かれなかったから」
こう返される。
うん、殴りたい。
しかしだ。
「それでも足りなくない?」
「まぁそうだね」
OK振り出しに戻ったな。
さてホントにどうしよ……
「その前にさ、何でそんなに稼ぎたいの?」
え?そりゃぁ勿論生活のためで……
食事代……魔物を食べればいいか……
宿代……ぶっちゃけある程度魔物を警戒すればどこでも寝れる。
小道具……今あるもので十分だし、しかもこの雷の力を使えば火起こしとかそういうのも必要ない……
あれ?なんかいる物ある?
「……いやいや!安全な休息は必要だよ!?」
「今何とかなりそうとか思ったよね?」
……思ってないし。
「そういえばさ、ミライ。1番最初による街ってどこだっけ?」
「ん?えっと……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃勇者グループは……
「クッソ!!辛いんだよ!」
「仕方ないよ……そうしないと生きていけないんだから……」
「だけどよ!俺たちは勇者なんだろ!?だったら苦労しなくても済むようなとんでもねぇ能力とかねぇのかよ!」
これはとある男子グループの会話である。
どうやらダンジョンによるレベル上げのあとの出来事らしい。
「確かにさ?最初はクッソ簡単だったぞ?だけど……なぁ!30層過ぎたあたりから急に難易度上がりすぎだろ!」
そうなのである。
美雷がまだいた時に1番最初に入ったあのダンジョン、実はかなりの高難易度で、低層では勇者の能力ならレベル1でも何とかなっていた。
だが、25層辺りからレベル上げが重要になっていき、遂には32層はまだ誰もクリア出来ていなかった。
「だいたい教官達もおかしいんだよ!何が最高記録は196層だ!そんなに行けるわきゃねぇだろ!そこまで行ったやつどこの魔王だよ!」
「ほんとに魔王だったりして……」
「だがここは国の中でも1番目立つ場所だぞ?城もちけぇし冒険者だってよく来る。そんなとこに魔王が来るわけないだろ」
実はダンジョンをそこまで進めたのは本当に魔王なのだが、そんな事をこの男たちが知るわけが無い。
「それに女子達もそうだ!外での活動を始めてたった数日でやる気を無くしてんだぞ!?理由聞いても何か足りない気がするですますしよ……」
「まぁ何かって何だよって感じだよな……」
実はその何かというのは美雷なのだが、どうやら存在の消滅がここでもどのようにしてか作用しているらしく、美雷に関する記憶だけが抜け落ちているらしい。後にそれに気づいた美雷が「何この便利な能力!」というのはまた別の話。
「んで?確かどっか遠出するんだよな?今回その話だろ?」
「あぁ、そうだったな」
「えっと……どこ行くんだったか?」
「確か……」
「「雪の国、スノルディルスだね(な)」」
姉御「……露店を開く黒髪妖精?何処かで……」
元ヤン「……いや……あれは平行世界のやつだ……この世界のやつじゃない……あんな有能なわけが……」
姉御「あとシェリーは一体何をやってんだ?ダンジョン196層とか……」
元ヤン「まぁ暇つぶしだろうな。じゃなけりゃ中途半端でやめないし」




