Ⅱ-Ⅴ 別世界と平行世界
「……ねぇ?フェリ。あれは何?」
今日、私はいつものようにマイホームでくつろごうとした……したのだが……
「てへっ♪」
殴りたいこの笑顔とはまさにこの事だろう。
私……達の家は猫人族の村から少し離れにある。
そのため、何かあった時には村に伝わるのが遅くなるのだが……
「いやぁ~私の日課ってさぁ、森に薬草を取りに行ってるんだよ!そしたらね!何か……」
森を見る。何かやばい鎌を持ったガイコツが来ているのだが……
「死神連れてきちゃった☆」
よし囮にしよう。
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「んで?一体なにがどうしてこうなった?」
目の前には少し前にあった魔王さん。偶々出会い助けて貰った……魔王に助けてもらうってどうなの?
てかまだ魔王の名前知らないな……
「あー、えっと……」
「ん?あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったね!みんな大好き魔王さん!シェリーさんだぜ♪」
……何か前よりもテンション高くない?目にピース持ってきてるし……ほら、フェリがまるで夢が壊れたような顔をしてるよ?
「と言われましても、これが平時のテンションだから♪」
!?……心を読まれた!?
「読もうと思えば読めるけど、スっっっごい顔に出てたよ?」
マジですか……
因みにさっきの死神はぶっちゃけワンパンだった。
それはもう可哀想なくらいのワンパンで、逆に可哀想なくらいだった。そう、可哀想なのだ
というか気がついたら終わっていたみたいな感じだ。
手の内を一切見せてくれない。
「ん~てか、これから暫く出かけるけどこんなんで大丈夫なの?」
「へ?」
出かける?魔王が何処に?
「えっと……何処に?」
「ちょと別世界にね。ほんっと……めんどくさい……でも………は死なれちゃ……し……ほっとくと世界が……はぁ……」
「待って!別世界てどういうこと!?」
「んー?いや、言葉の通りだよ?正真正銘別世界。君が言う所の異世界だね!!」
ちょっと待って!ほんとにどういう事!?
「ん~それじゃぁ説明させてもらうよ?聞かなくてもいいけど聞いた方が絶対に為になるし、というか無理やり覚えさせる。的な?」
怖い怖い怖い!!一体どうする気!?
「えっと、とりあえず君は異世界から来たんだよね?だからまぁ別の世界があるってのはわかったと……」
「待って!何で異世界から来たこと知ってるの!?言ってないよね!」
「そりゃぁ自分が別世界に行けるんだし、そういうのは結構敏感だよ?」
うん、もう常識を捨てよう……てか異世界に来た時点で常識なんてなかったんだ……
「コホン、とりあえず別世界があるってのはわかったよね?それで重要なのは、別世界は無限にあるということ。
誰か1人でも、その世界を創作すればその世界は存在し、見えてくる。」
うん、この時点で訳が分からないよ……
「簡単に言うと、例えば本、アニメなどが分かりやすいかな?それは所謂物語だ。その物語は誰かが妄想して作られたものだ。そしてその妄想を誰かがした途端、新しく世界が生まれ、認識される。」
「つまり?」
「自分の創作物が別世界になって存在してる。」
ええぇ……それはやばい……妄想の世界が生まれるって……あれ?
「それじゃあ、えっと……二次創作とかそういった、同じ人物だけど、性格が違う人が登場する作品ってどうなるの?」
「おっ!いいところに気がついたね!実は、その場合、別世界は別世界でも特殊は特殊、なんと……」
なんと?
「平行世界。つまり、パラレルワールドができるんだよ!」
「「パラレルワールド?」」
聞いたことはある。可能性がどうとかって……
「んじゃ、次は平行世界の説明だね。
まず今回君が言った平行世界。これはただ、人物や世界が似てるってだけの別世界みたいな物かな?つまりただの異世界。平行世界であって、平行世界では無い。」
うん、わからん。
「そして、普通の平行世界。
これは、同じ選択肢に、別の答えを選んだ世界ってこと。
そして選択肢の違いが何度も起こり、複数の並行世界が生まれてくる。て感じ。」
「これを簡単に言えば?」
「ちょっとした違いで大きく変わってしまったもう1つの現実って事。」
うん、よく分からない。どういう事だ?
「……説明って苦手なんだよね……ん~じゃぁ、1番簡単に言わせてもらうね。平行世界ってのは、今の君に例えて言うと、君が異世界に召喚されなかった場合の可能性の世界って事!」
……異世界に召喚されなかった場合……考えてもいなかった……
その場合、私はどうやって生きていったのだろう。
いや、話が脱線しそうだから今は考えないようにしよう。
「それじゃぁ、今から行くのは別世界なの?それとも平行世界?」
「別世界!!……まぁぶっちゃけると、私、別世界のさらに平行世界から来たからねぇ……」
ん?別世界の平行世界?それはどう認識すればいいの?
「とりあえず、その説明めんどくさいし、説明しにくいから省かせてもらうよ?ただ、知っている人は知ってる、まぁ名前みたいなものがあるんだよね。」
「名前?」
「どうせ言っても忘れるよ?分かりにくいし。
えっと、WorldNo.369-53、Mastersouma……だったような?」
うん、わから……ん?何か聞き覚えのある単語が……気のせいか?
というよりNo.て世界一つ一つに番号が振り分けられてるのか?
「ねぇねぇ、えっと…その向かう世界ってのはどういう世界なの?」
と、フェリが質問。あー、たしかに気になる。
「まぁその世界も一応ファンタジー世界なんだけどね、ただ……はァ……時間がなぁ……」
「時間?」
聞いてみたが、何でもないとはぐらかされてしまった。
「まぁとりあえず私はこの世界を離れるのに、雑魚に追いかけられてるようじゃやばくない?」
おい、今死神を雑魚扱いしなかったか?
「まぁだから、何か師匠でもつける?魔王城から何人か抜選するよ?」
ええぇ……まさかのラストステージクラスの場所から師匠つけてくれるとか……
姉御さん「……まぁあの人はいつも通りだな……」
元ヤン「昔よりは明るいけどな……空とはいえ……」
姉御さん「ほんとに変わったなぁ……初めてあった時は……」
【ネタバレ禁止】
二人「あ、はい」




