ⅡーⅡ 魔王(笑)とコミュニケーション
さて、一体美雷はどこからどの距離を来たのか。
それはやはりこの世界の地理に詳しく、なおかつこの場にいる者、つまりフェリ以外にいないだろう。なので聞いてみようと思った……が。
「え?んー、でもどこから来たのかが分からないと流石に分からないよ?それに私たち妖精はあんまし外に出ないからそういった事に興味無いし……」
との事である。
確かにどこから来たのかが分からなければどうしようも無い。
どうしようか……と、ここでひとつ考えた。だがこれを伝えてしまえば自分が何者なのかバレてしまう。
だがどこから来たのか、いつかのためにどうしたら戻れるのかなどを知っておきたいため、仕方なしに伝えることにした。
「……国名は知らないけど……それじゃぁ勇者召喚をした国って知らない?そこから来たんだけど……」
「え?勇者召喚って……あぁ、だから色々分からないんだ。でも残念だね。その情報でも分からないよ……」
やっぱりか……召喚があったのはつい最近だし、ただでさえ情報に疎い妖精が知るわけが……
「だって、勇者召喚なんてあちこちで行われてるもん。」
……ナンテ?
「あち……こち……?」
「うん、勇者召喚って全ての国が一度に行うらしくて、沢山の世界から勇者が召喚されるらしいよ?」
沢山の……世界?どういうことだ?
「う~ん……私は知らないんだけどねぇ、今までに召喚された人達は全員、元いた世界の情報が違ったらしいよ?」
「元いた世界の情報……」
「例えば、一面荒野の何も無い大地が続いている世界だったり、この世界と同じように魔法や魔物がいる世界だったり、びるとかそういったものが立ち並んだ化学が発展した世界だったり……」
「あ……最後の。」
ビルってどう考えてもあのビルだよね?化学が発展したとか言っているし……
「え?そのー、化学が発展した世界から来たの?」
「全く同じかは知らないけどそんな感じの世界だよ?」
「へぇ……んじゃ、同じ世界の人だったのかな?」
分からないがここまで似ているなら同じ世界という事も考えられる。だが複数の世界から勇者が呼び出されているのならば戦いに長けた世界の住人が有利なのではないか?少なくとも戦争を放棄した日本人にはキツいだろう。
「そういえば………魔王……元……………ような……しかも……の……から来たとか……まさか……」
フェリが1人(人と数えていいのかは分からないが)で何かブツブツと言っている。さっきから気になるんだけど……
「あ~それ事実だよ~、んまぁ言ったわけじゃないから噂しかないけどね!!」
どうやらフェリの独り言を聞いていた人物がいたようだ……てかどこから来た?この人……何かフェリと似たような匂いを感じるぞ?
「まじ?そうなん………え?あれ?待って?は?うん?」
そしてその人物に気がついたフェリは動揺する。一体何なんだこの人は……
その人の特徴を言わせてもらえば金髪金眼の黒マントといった謎の組み合わせ。(そこまで金なら衣服も金にしろよ……)の女の……子………
私と同い年位だろうか?結構見た目が派手なこと以外は普通……
「なん……で……魔王様が……ここに……?」
前言撤回。全然普通じゃないわ。普通じゃないわ(2回目)
待って、魔王ってこんな普通に現れるの?
突然魔王が現れるとかどんな状況?
と混乱していると魔王は口を開く。
「ん~?様付けとか要らんよ、別にそんな立場とか気にしてないし、そんなかしこまる必要ナシナシ、普通でいいよ普通で。」
「えぇ…いや、私も妖精の中ではウザ……明るい方だって言われてたけどもしかして魔王様……魔王……ちょっと待って!せめてさん付け!でいい!?」
流石に様付けいらないとか言われても気にはしてるらしい。さっきまで飄々としてたのに今では凄くかしこまってる……
「まぁいいけど……でもうっかりでも様付けはやめてね?あんましそういうのは好きじゃないから。」
「は、はい!えっと、それでですね……えっと……魔王……さんも……結構明るい方だったり……します?」
流石に飄々としてるとか遊び人だとかそういったことは言いにくかったのだろう……いや明るい方と言うのも場合によっては失礼だが……
「ん~まぁそうなのかナ?今も仕事サボ……放っ……休憩して来ているし。」
サボって……放って……この魔王、性格に難ありなタイプか?
ーーーーーてか《?》はもっと《?》?ーーーーー
……いや、考えるのはやめよう……この魔王については考えても無駄だろう……
「えっと……ていうか周りから色々と気配を感じるんだけど……囲まれてない?これ……」
フェリがそんなことを……ナンダッテ?
「うん、知ってる。」
知ってるなら最初からどうにかして欲しいね。いや本当に……
さて、とりあえず魔王さん登場しました!あと、次回からは後書きにもキャラを登場させる予定です!




