5話 逃げスキルの本領
仲間を探しに行こう、などと言ったが俺達はなかなか見つける事ができなかった。アルタリスを見た瞬間にみんな逃げて行く。
「やっぱり、あの冒険者Aを倒したのはまずかったよな、みんなから危険なイメージ付いちゃったよ」
アルタリスは自慢の青い髪を触りながら、気まずそうに答えた。
「しょうがないでしょ。あいつ、ムカついたんだもん」
俺達パーティーは街の住宅地帯で歩いていた。
すると、遠くから女性の声が聞こえてきた。
「なんか女性の声が聞こえないか」
俺はアルタリスに声が聞こえたか、確認してみた。
「全然何にも聞こえないよ、あんた空耳じゃないの」
アルタリスは聞こえないようだけど
確かに聞こえる、
「……た…けて…………」
たすけて?! 今『助けて』と聞こえたぞ。
まずい、危険な状況なのかも、助けないと。
「こっちから声がする。アルタリスついて来て、はやく!!」
俺は必死にアルタリスを呼んだ、それを見てアルタリスも急いでついてくる。
俺達はこの迷路のように入り乱れた住宅地帯を左へ右へ走って進んでいくにつれて、助けを呼ぶ声が大きくなりアルタリスも聞こえたようだ。
「あと300メートルであの声のもとに行ける、アルタリス俺は先に行ってるから、後で追いついて着てくれ」
「わかったよ」
俺はそういうと、スキルを発動させる。
(『パルクール』『バランス』発動!)
俺は八メートル以上もある家の壁を、まるで重力を感じてないように走って登って屋根の上に行く。
そして、屋根から屋根の隙間を跳んで渡っていく。十メートルはある隙間も難なく飛び越す。
それを見たアルタリスは驚いていた。
「元々よく走ってると思ったがなんて身体能力だリュウタのやつ、あれが逃げスキルなのか。脚力まで上がってる、どういう原理だ」
一方、俺は助けを呼ぶ声を目視していた。
追いかけられていたのは、獣人族の女の子ようで、頭に大きな耳があり、そして、モフモフな金色の毛が付いた尻尾もあった。
おまけにマントの外からでもわかるダイナマイトな胸部の持ち主だ。
そして、獣人族を追いかけてるのは奴隷商人だった。
「まずい奴隷商人だ。あいつらは他種族の獣人族やエルフを捕まえて奴隷として人間に売り出すクソ野郎だ」
奴隷商人は身体能力が高く捕まえる事に特化したスキルを持った奴が多い。
しかも二人で追いかけている。足の速い獣人族でも追いつかれるのは、時間の問題だ。
一気に行くしかない! スキルは発動している。
きっと助けだしてみせるからまっててね。
俺は屋根の上を走って、獣人族のいる裏路地に奴隷商人より先回りして追いついて地面におりて、
そして獣人族に向けて言った。
「俺なら君を助けられる、頼む信じて俺に身を預けてくれ」
奴隷商人に追いかけられてるのに、自分を信じてなんて無理なく話だった。
しかし、獣人族は笑顔で、答えてくれた。
「あなたなら信じれる。あたしを助けて」
その言葉を聞いた俺はすぐさま、獣人族の手を握りしめ、屋根に飛び乗った。俺が触ってるものは、能力が付与されるようで、
金髪獣人族の女の子は俺と一緒に屋根を飛び移ることができた。
「すごい、あたしこんなに飛んだ」
獣人族の女の子は手を握る力を強くした。喜んでいただけて良かった。
俺と獣人族の女の子はアルタリスのいる所まで戻ってきた。
「アルタリス、この金髪獣人族の女の子は奴隷商人に追われてるようなんだ。奴隷商人に仲間を呼ばれたら面倒だ、ここから離れるぞ」
俺達は住宅地帯の裏路地から、冒険者ギルドがある街の北側に戻ってきた。奴隷商人は撒けたようだ。
「俺はリュウタ、でこの青い髪のエルフがアルタリス。俺達は冒険者としてパーティーを組んでるんだ。奴隷商人に追われないためにも、俺達のパーティーに入らないか」
俺は獣人族の女の子をパーティーに誘った。
この子の安全もあるけど、奴隷商人から逃げ続けた基礎身体能力も凄まじく、次は必ず俺達パーティーの助けになってくれると思ったからだ。
「あたしはリュウタに助けられた。だから断る理由なんてない。あたしの名はマリー、よろしく」
「よろしくマリー、すぐに冒険者登録しにいこう」
パーティーにマリーが加わって3人になった。よし、このまま戦力を増やしていくぞ!
ついでに俺はレベルが上がってたのでスキルポイントを振り分けた。
新スキル『空中歩行』を獲得。
―――現在のステータス―――――
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リュウタ
レベル4
能力
『超爆速振り向きバックラン』『ガールボイス収束イアー』
スキル
『パルクール』『バランス』『空中歩行』
スキルポイント 0
逃げスキル
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アルタリス
レベル不明
能力不明
スキル不明
スキルポイント 不明
所持武器
毒ナイフ
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マリー
レベル2
能力
心眼
スキル
スキルポイント 3
精神干渉スキル
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