4話 ツンデレも嫌いじゃ無いよ
朝になり、俺とアルタリスは宿屋で朝食のパンを食べていた。
俺は気になっていたことを言った。
「なあ、アルタリス。俺はここに、この中世ヨーロッパみたいな世界に来て、最強な能力も無敵なステータスも神様から貰えなかった。俺が弱いからお前もあの昨日の冒険者Aにからかわれて、嫌な思いをしたか?」
アルタリスは抑えていた本音と真実を俺にさらけ出した。
「私は、人間の事が嫌いだったの。人間は人間以外の種族を道具としか思ってないの。ほら『冒険者の街』は人間以外の種族が少ないでしょ。私は信用できる人間をずっとずっと探してきたの。そしてやっと見つけたの。消極的だけどとても単純で裏表がなく、一緒にいてわかったの。リュウタは誰にでも、他種族のエルフにもとても優しくしてくれたそれが私は嬉しかった」
アルタリスは恥ずかしそうに頬を赤くしていた。
俺はとても驚いた。アルタリスでもこんなことを言うんだと。
そんなことよりふと疑問に思ったことを言った。
「なんでこの街から出なかったんだ。他の街の人間以外の種族が多い所に行けばいいだろ」
アルタリスはこの異世界について教えてくれた。
「この街から、他の街に行くことはできないの。この冒険者の街は他の街と隔絶されてるからよ」
俺は意味が分からなかった。隔絶? ここは周りの国が全部敵の独裁国家かよ。
「隔絶? どこらへんが隔絶されてるんだ?」
アルタリスは丁寧に教えてくれた。
まるで問題が分からない子供に、先生が優しく教えるように言った。
「この冒険者の街の外は『ドングリ樹海』で囲まれてるの。『ドングリ樹海』の奥深くは危険なモンスターが多くそして樹海のなかでは方向が分からなくなるから迷ってしまうの」
「でも街の人からそんな話聞かなかったよアルタリス」
「リュウタ、この街から出る方法は2つあるの。
1つ目は『ドングリ樹海』の奥を強行突破する。
2つ目は人間様しか使えないゲートで安全に他の街と繋がれたパイプで移動する。この2つなの」
俺はわかってしまった。
「お前は『ドングリ樹海』を強行突破して他の街に行きたかったんだな。だから信用できる人間がほしかった。この街の人間はエルフを同じ立場で扱わないからな」
俺は朝食を片付けながら、アルタリスの思考をメンタリストのように読んで見せた。
アルタリスの今までの行動を見てると、後者しかないと分かった。
「だが強行突破を実行に移すのは、まだ先になるからな! とりあえずクエストをこなしてレベルを上げて行く。そして何人か信頼出来る仲間を見つけるわかったな!!」
アルタリスは納得してくれた。
「わかったよリュウタ」
俺達は宿屋を出た。
「しかし、普段はドSだけどさっき顔を赤くしてたよな、なんて可愛い奴なんだよお前は。そのギャップがたまりませんなーー! 別に俺はアルタリスのことが嫌いじゃ無いから両思いでもいいのですよ、なんてね」
俺は冗談でからかうつもりで言った。
まあ、冗談では無い部分もあるけど。
ドSは確実に冗談ではないさ。
「べ、別に、私はリュウタのこと片思いなんて思ったことなんてないんだもん。ば、馬鹿リュウタ変な事言わないで」
アルタリスは焦りながら言った。
そんなアルタリスの顔は、りんごのように赤く熟していた。
別に怒っていたわけではなさそうだ。ふう良かった。
「とりあえず、私達のパーティーに必要なものは仲間よ、さっそく探しに行きましょう馬鹿リュウタ」
「おいおい、なんて酷い呼び方だよ」
「馬鹿リュウタの方が酷い呼び方してるよね、毒エルフだとか、Sっ気エルフだとか、鬼畜エルフとか」
俺に特大ブーメランが帰ってきた。まあ、当然だった俺は変な呼び方を、していたさ。
だけど、俺は回りくどく呼んでたのに、アルタリスの奴ストレートすぎだろ。
「ずっと名前の前に馬鹿って付けるつもりか? マジで恥ずかしいから止めて」
「うっ、うるさい早く仲間を探しに行くわよ」
俺とアルタリスはこの冒険者の街で、仲間になってくれる者を探しに散策しに行った。
目的を持って本気で進み続ける人を押しとどめることはできない。 byリュウタ
―――――現在のステータス―――――
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リュウタ
レベル3
能力
『超爆速振り向きバックラン』『ガールボイス収束イアー』
スキル
『パルクール』『バランス』
スキルポイント 0
逃げスキル
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アルタリス
レベル不明
能力不明
スキル不明
スキルポイント 不明
所持武器
毒ナイフ
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