3話 Sっ気エルフの力の解放
ドングリ樹海から街に戻ってきたら、日が暮れていた。俺は冒険者ギルドでゴブリンを引き渡す。
「はい受付嬢さん。ご所望のゴブリンですどうぞ」
「確認しました。それではクエスト報酬です」
《クエスト達成》
・ドングリ樹海のゴブリン一匹の討伐
報酬 銅貨十枚
獲得経験値 15
「銅貨十枚か、これで何が食える? アルタリス」
俺はまだこの異世界に来たばかりで金銭感覚も分からないので、アルタリスに聞いた。
「デザートと言いたい所だけど、オカマの野郎なら喰えるわよ」
オカマを喰うってまた襲うつもりかよ。俺はまた注意した。
「オカマはやめろ! つまり要するになんだ?この銅貨十枚ではご飯は食べれないのか?」
俺はアルタリスのぱっちりと開いた目を見ていった。
「そんなゴブリン一匹倒したくらいでご飯なんて、貰えると思ってたの? あなた、早計なのよ基本的に馬鹿なのかしら、ハハハ」
酷い言われようだった。冗談にしても言葉が強い。
「馬鹿はないだろ! 俺だってまだ初クエストだったんだよ」
「そんなことより、この銅貨十枚は私のデザートにするからね!!」
アルタリスは俺の話なんて聞かなかった。
こんな言い合いを、してると同業者にからまれた。
「あはは、お前そこのエルフとパーティーくんでるのか? てっきりエルフ様は数々の悪の所業で奴隷として連れて行かれたものだと思っていたよ。まだこの街にもエルフがいるなんて」
哀れな冒険者よ、そのSっ気毒エルフことアルタリスは普通のエルフとは違うんだよ。エルフと思ってはいけない。オカマ狩りをする奴だぜ。あんまり関わらない方がいいのに。
アルタリスは満面の笑みで哀れな冒険者Aに近づいていく。もちろん自前のポイズンブレイクことアルタリスのトレードマーク毒ナイフを持って。
「なんだ、このエルフ。気でもって狂ったか」
「なにいってんの、あなたから喧嘩ふっかけてきておいて、あんた、今いくらお金もってるの?」
アルタリスは冒険者Aに向かって聞いた。おい、アルタリスなに聞いてんだよ。
「お前ら新米冒険者と違って俺達B級冒険者はそんなゴブリンなど相手にしないんだよ。もっと金になるモンスターを倒すに決まってるだろ。今日もゴーレムを倒して一儲けだぜ」
おい、冒険者Aそれ以上金の話をするな。いや、アルタリスに金の話をするな。
「へぇ、金もってるんだ。
……その金、寄越せ―――!!!」
アルトリスは自称B級冒険者に襲いかかった。やはりこうなったか。俺は想像できたことなので驚きはしなかった。
「新米冒険者と一緒にいるエルフごとき、この俺B級冒険者に勝てるわ……け………な…………い」
よく見えなかったけどアルタリスはいつの間にか、冒険者の裏に回り込んでいた。
「峰打ちよ。これで勘弁してあげる。ただし、暴言を言われた罪であなたのお金もらうわね」
アルタリスは見事な体捌きで自称B級冒険者を瞬殺した。
「やった! リュウタ銀貨十枚あるわよ、銅貨十枚が銀貨十枚に大変身よ」
「おいアルタリスお前実はレベル高いよね? そんな毒ナイフなんて持たなくても、アルタリスひとりでゴブリンの群れ倒せただろ!」
「私はね、醜い奴しか狙わないの。人の心が腐ったとき私は全力を出すわ」
「リュウタあなたも例外ではないからね」
周りにいた冒険者からは喝采の嵐だったけど、お前の方が腐ってるぞアルタリス、正当防衛みたいにして金を巻き上げやがっからな。
「こんなに出来たエルフがいたなんて」
「尊敬しますすごい体捌きですね」
「ゴブリンのクエストはあの変なスキルを持った男が足を引っ張ったから一体だけしか倒せなかったんだろう」
「僕達のパーティーに入りませんか? そんな無意味なスキルを持ってる奴よりいいとおもうよ」
なんでオカマ狩りなんかしてた奴がこんな慕われてんだよ。
俺だけではゴブリンは倒せなかったし、アルタリスには抜けて欲しくないな。
「アルトリスまさか、パーティー抜けないよな」
「……ありがとう冒険者の皆様、でも私はリュウタとしか組まないから気持ちだけ受け取っておくよ……リュウタ行きましょう」
「あ、うん行こう」
俺とアルトリスは宿屋で一晩泊まることにした。
女の子と同じ部屋で寝るのは初めてだけど、俺は気分よく過ごせなかった。
あの冒険者ギルドの一件から、アルタリスはあまり機嫌が良くないみたいで、ずっと暗い顔をしていた。
明日はどんなクエストを受けようか。
―――――現在のステータス―――――
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リュウタ
レベル3
能力
『超爆速振り向きバックラン』『ガールボイス収束イアー』
スキル
『パルクール』『バランス』
スキルポイント 0
逃げスキル
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アルタリス
レベル不明
能力不明
スキル不明
スキルポイント 不明
所持武器
毒ナイフ
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