10話 ドラゴン種族は災難が多い
アルタリスのスライムに向けた手から、炎が火炎放射器のように放出される。
反応の遅れたスライム達はアルタリスの炎魔法を避けることが出来ずに、倒されていく。
スライムの体は蒸発していきあの気持ち悪い感触の体も跡形もなく消えてなくなった。
「倒したか。厄介な野郎だったな、何も出来ず死んでいくだけのスライムが、こんなに面倒だとは。でもアルタリスがいたおかげて、簡単に倒せたよ」
「そんなにほめなくても別に嬉しくないからね、私は経験があるから、あんた達よりレベル高いし、当然に決まってるでしょ」
「アルタリス素直に喜べばいいのに、ツンデレさんなんだね」
「なによマリー」
「おい、ツンデレエルフ、けもみみ女、クエスト完了だ。街に帰投するぞ」
俺達でこぼこパーティーは街に帰ってきて冒険者ギルドに行った。受付嬢にクエストの報告をしてクエスト達成。
俺達はレベルアップした。
俺はレベルが8になり、新スキル『気配探知』を獲得
マリーはレベルが7になり、新スキル『洗脳』を獲得
アルトリスは相変わらず炎魔法があるくらいしか教えてくれない。マリーの心眼なら能力が分かってるのではないか、などと思いつつ、俺は次のクエストについて考えていた。
「次でC級冒険者になれるのか、どのクエストを受けるかな」
俺はクエストの張り紙を見ながら吟味していた。
すると、俺の名前を呼ぶ者が現れた。
「あなた、リュウタさんですよね」
声をかけてきたのは、鮮やかな水色の角が二本生えていた坊やだった。
「いかにもこの俺は逃げの達人リュウタでございます」
俺は面倒そうな口調で自分の自己紹介をした。
「僕はガントというものです。リュウタさん、あなたの逃げスキルにかけて頼みます、お姉様を助けて下さい」
「なんで俺に頼むの? 俺より強い人に頼めばいいだろ。ほら、そこにいるAって奴がいいよ、あいつは独りでゴーレムを倒せるみたいだし」
「お姉様はドングリ樹海に連れて行かれました。僕はなにもする事ができませんでした。連れ去ったのはあの奴隷商人達です。あいつらモンスターと手を組んでいたんです、僕とお姉様は代々続くドラゴンの力を内包してそれを行使する一族で、お姉様はその一族の中でも一番最強といわれていたのですが、僕をかばって……」
「つまり、俺にどうしろと」
「樹海にいるお姉様を助けて欲しいのです。勿論お礼は出します」
「その、お姉様とやらの場所はわかるのか?」
「はい、僕はお姉様の位置がわかります、兄弟の絆みたいなものです。生まれてからずっと一緒にいるので気配がわかるんです」
「よし、いいだろう必ず助けてやる、ただし報酬はたんまり貰うからな。アルタリスとマリーは留守番な」
お姉様救出作戦は俺とこの、ガント君の二人で行くことになった。正確な場所がわかればガントも置いてひとりでお姉様のところに行くつもりだ。
「今すぐいくぞ、背中につかまれガント」
「はい!」
俺はガントを背負って冒険者ギルドを出た。
「どっちだガント、お姉様のばしょは」
「あっちです。あっちからお姉様の気配がします」
俺はガントに指さされた場所へ進んだ。冒険者の街から、東のドングリ樹海、俺達は今そこにいる。
俺は奥に進みながらガントに言った。
「なんで最強のお姉様が奴隷商人なんかにやられたんだ?」
「お姉様は、僕をかばって致命傷を負って能力が不安定になり、あっさりやられてしまったのです。僕はお姉様の最後の力であの街まで吹っ飛ばされてきました」
俺達はだいぶドングリ樹海の奥まできた。そろそろモンスターの強さが変わるかもというくらいまできていた。
「リュウタさん近いです。この近くにいます。でもあれ、正確な場所がわからない、つまり生命力が少なく力が弱くなってるのかも」
「ここからは俺ひとりでいくからガントはこの木の上にでも隠れていろ」
俺は先ほど獲得した新スキル『気配探知』を使った。
なるほど、あっちから臭い気配がするな。心が腐った気配がする、しかもたくさんいるな。
奴隷商人のアジトを見つけ出した。ドングリ樹海の中に建物があった三階もあり、すごく丁寧な造りで樹海の中にあるものだとは一見思えない。
俺はバカ正直に正面から入る訳には行かないので三階の窓から侵入した。
――現在のステータス―――――
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リュウタ
レベル8
能力
『超爆速振り向きバックラン』『ガールボイス収束イアー』
スキル
『パルクール』『バランス』『空中歩行』『視野角強化』
『気配探知』
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アルタリス
レベル不明
能力不明
スキル
『炎魔法』
所持武器
毒ナイフ
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マリー
レベル7
能力
心眼
スキル
『洗脳』
精神干渉スキル
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