えっと、王子様ですか?詐欺ですか?
もう次の恋はしばらくいいや。
5年間のずるずる交際の後、約1年の不毛な同棲生活を送り、怒涛の別れを経て、さすがの恋愛至上主義の私にも、次の恋へのパッションなんて1ミリも残っていなかった。
でも、まだ、いや、もう25歳。そううかうかとも過ごしていられない。黙ってても年は取るんだ。正月ぼけした頭を、こたつ机に無造作に置かれたみかんの上に乗せながら、”結婚”という世間様が造り上げたゴールについてぼんやりと思考を巡らせていた。
「あんた、そなしてこたつで寝てたって、いつまでも結婚なんてできませんよ。」
年相応に皺も深くなった母が、くすくすと笑いながら、正月のおせち料理の準備に精を出している。
「別に、今どき晩婚やし、別に焦ったりしてません。」
焦る心は母には全てお見通しのはずだが、一応体裁だけは整えておく。
正月休みも平凡に終わり、梅田という現実世界に帰ってきた。
ある1月の金曜の18時30分。
梅田のLUCUA内のスターバックスコーヒー。
「亜紀は最近どうなんよ?和樹と別れて次いい出会いでもあったん?」
瓜実顔の美人のさゆみが、ホットカフェオレをすすりながら聞いてくる。
「やめてよ、なーんもない。まあ、しばらくもういいやとも思ってるねんけどさ。」
さゆみは高校時代からの友人で、ちょっと抜けているところもあるが、なんでも話せるさばさばした性格から、いまでも月1でこうやって集まって近況報告をし合う




