第11話 「キャラがあるとやりやすい」
「なんか人間ってある種何かしらの役割を押し付けられとるみたいなところあると思うんやんなあ」
「どうしてん、秋葉お前いきなり」
コタツに寝そべりながら秋葉が、唐突に言った。
「人それぞれ個性はあるけどな、やっぱりその中でもキャラ付けみたいなんがかなり大きく影響してくる気がすんねん」
「どういうことや」
大野は秋葉を見やる。
「おばちゃんおるやん?」
「おるなあ」
「特に大阪のおばちゃん」
「ほんまに飴ちゃん持ち歩いとるよな」
「まあそれはええんやけど」
「ええんかい」
秋葉は起き上がった。
「なんかおばちゃんと女子大生が同じ生き物に見えんくない?」
「えぇ?」
大野は首を傾げた。
「女子大生ってなんか華の女子大生って感じするし、いっつもきゃぴきゃぴしとってなんか女の子全盛期って感じするやん?」
「まあ無敵な感じはするなあ」
「でもおばちゃんとかなってきたら、そんな女の子らしい動きなくなって来るやん? 大阪のおばちゃんとか皆無やん、そんなん」
「あぁ~」
大野は過去を想起するように上を見上げた。
「あんな会うたびに飴ちゃんいるかぁ!? 言うとる人にも女子大生みたいな期間があったんやなあ、って思うと俺どうしてもそれが同じ生き物に見えへんねん」
「確かになあ」
「やっぱそういう風に、内的な要因なんか外的な要因なんか知らんけど、そういう役割を世界に担わされとんちゃうかとすら思ってまうねん」
「なんか……たしかにそんな感じあるんかもしれへんなあ」
大野は視線を落とした。
「それでな、やっぱりそういう役割を担うために人それぞれキャラがあるとやりやすいねん」
「ほお」
「自分で作ったんか、それを自分やと思いこんどるんかは分からんけどな、自分のキャラを持っとったら生きていくにも覚えてもらうにもやりやすくなんねん」
「例えば?」
「常に世界に挑戦する感じのキャラでやっていっとったら、これ多分あいつに見せたら『これ世界じゃ通用せんからな』とか言われそうやな、みたいな予想が出来るし、事実見せられたやつもそういうセリフを言うだけで済むねん」
「なるほどなあ。じゃあお前は何のキャラなん?」
「……」
「……」
「お前それ世界的に見たら配慮のない言葉やからな」
「人のキャラパクっとるやん」




