表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はぐれ魔王とはぐれ人  作者: Char0ne
はぐれ魔王
10/10

10話 はぐれ魔王、戦います

一年かけてようやく10話投稿する系投稿者

 

 「じゃあ始めようか。準備はいいかな?」


 「とりあえず、よくわかんないけどこい。」


 結論から言うと、宿に闘技場はあった。わけがわからないと思うが、あったから仕方ない。

 廊下をずっと行った先の階段を上がると地上に出たところの、開けた広場で俺達は対面する。


 「んじゃあ、肩慣らし程度に……っは!!」


 「……!?」


 ────早いっ!


 アルスは一瞬にして距離を詰め、手に持つ剣を振りかざしてきた。尋常じゃない速さだ…!

 

 「……ぐ…ぁ………あれ?」


 「……何やってるのさレム。君は物理無効でしょ…。」


 生まれて初めて身体を真っ二つにされ、死ぬかと思ったが、物理は無効らしい。ぶっちゃけ痛くもなかった。


 「じゃあギアを上げるよ、ほらその杖は飾りかい?」


 アルスが一度離れてから仕切り直す。ちくしょー…どうすりゃいいんだよ。


 「次は光属性つけるから、切られたら痛いよ…?」


 まじか、ちょっとまってくれ。スパルタ過ぎません?


 「【付呪:ホーリーソード】…いくよ。」


 ギンッ!!!


 今回はなんとか杖を差し込むことができた。しかし、アルスの攻撃は一度では止まない。


 「ほら、守ってるだけかい?」


 「…っ!…るせっ!!」


 攻撃の隙を見て杖をアルスの腹に突き込む。

 いともかんたんに避けられ、カウンターが飛んでくる。


 「まずは1勝もらう……ねっ!!」


 「しま……っ!」


 あー…戦い方知らなきゃこんなもん…………あれ。さっきと変わらない。痛くないぞ。


 「嘘でしょ…、光属性の耐性があるのは知ってたけど…ここまでっ!?」


 「なんかすまん…っ!」


 アレスが唖然としているところに杖を振る。


 「……ぐっ…!」


 バッとアルスが距離を取った、よし、とりあえずやられはしなかったぞ。


 「もともと物理は効きにくいし…しかたないね。なら魔法でどうだ!【ウォーターショット】!!」


 アルスは手をこちらに向けてきて詠唱を終える。アルスの周りに水の球体が浮き、その刹那その球体を線に変え俺を貫いた。いや、貫かなかった。そういや魔法も吸収できるってティアに教わったなぁ…。


 「な…っ!?」


 「悪いな、これが闇属性らしい。」


 「じゃあ…っ!光よ、神の敵を殲滅せよ!【ジャッジメントレイン】!」


 おおー、今度は光がアルスの上に集まって…お、分裂した。めっちゃ降ってくるな。うん、きれいだと思うぞ?

 全弾俺に命中したが、そのすべてを吸収してダメージはなかった。


 「悪いな、これが闇属性らしい。」


 「いやいや!闇属性特攻魔法なんだよ!!」


 「む、そうか。じゃあ…お返しだ、詠唱は聞いちまったしなぁ…?」


 ふふふ、さっきの魔法を闇属性にアレンジして…と。城だと魔法なんて教えてもらえなかったからワクワクするな。


 「闇よ、我に抗う者を駆逐せよ【カオスレイン】」


 身体の内の魔力が練られ、収束し、頭上に闇の魔力の塊が生まれる。…あれ、アレスのとちょっと違うな、どんどんでかくなる。まあ平気だろ。うん。


 「さあ…これが魔王の力だ、存分に食ら


 「ストーップ!!!降参降参!!無理だから!死ぬから!て言うか街壊れるから!!しまってそれ!」


 まじ?やべ、とまんないや。これどんどんでかくなるし。


 「ごめん、無理だ…。お前のことは忘れるまで忘れないよ…。」


 「それ忘れるよね!?じゃない、じゃあどっか遠くに投げて!!ほら!こっから遠くに見えるあの海とかに!ね!ほら!はやく!」


 「わかったよ…。ん?まてよ、こんなのはどうだ。」


 自分の中の光属性の魔力を練り、少しずつ闇の塊に注いでいく、お、小さくなってく小さくなってく。成功だな。ちゃんと中和できるようだ。


 「あ…小さくなった………助かったぁ…。」


 「そんなにやばいかこれ?」


 「人とモンスターが協力して全力で止めるレベル、かな。」


 おふ…それはまずいな…。あまり魔法は使わないようにしよう。


 「それにしても…レムがこんな性格でよかったよ…。しっかり魔王やってたら人は今頃絶滅してるね。」


 「それは言いすぎだろ?」


 「ううん、本当。今の見て確信した。レムは単騎で世界を征服できるよ。」


 アルスが言うにはウィスプは物理が効かないため魔法か、付呪を施した武器で倒すのがセオリーだ。しかし、俺は闇属性の特性上、魔法を吸収できてしまう。物理魔法無効という無敵に近いものらしい。

 それでも、通常闇属性には光属性という弱点があり、光魔法なんかは吸収できないみたいなことを親父は弟にだけ言っていたな。俺?ニートでほら見捨てられてた感あるから。教えてなんてくれなかったよ。

 

 「単騎で一つの街を滅ぼせるような魔法が使えて、それでいて物理無効の魔法吸収?人類の切り札光属性の攻撃も無効?どうやって倒すのさ。」


 「たしかに…レムおかしい…。」


 「ティアまで…。」


 街を滅ぼす気なんてないから安心してくれ。とはいえ、この力が本当なのかはよく分かっていない。親父も弟も、ここまでの力を持っているとしたら、とっくに人類は終わっているだろう。


 「さあ、さっきあんなに大きな魔法を使ったんだ、騒ぎになっててそろそろ誰かが来るんじゃないかな。宿に戻ろう。」


 俺は心に疑問を抱きながら宿に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ