ゆるやかなデートの誘い
二話目。
よろしくお願いします。
「ねえ、一緒に出掛けない?」
「いいですね。どこに行きます?」
「あなたが決めなさいよ」
「僕がですか?」
「そうよ」
それは困った。
僕はこういうことは苦手なんだが。
「じゃあ公園とかでいいですか?」
「小学生じゃないんだから」
「別にいいじゃないですか、どこかあるんですか?」
「雰囲気とか大切にしなさいよ」
雰囲気?
雰囲気ってなんだ?
「雰囲気ってどういうことですか?」
「ん、む~」
先輩が不機嫌そうだ。
何だろう。
先輩は僕が予想外なことをよく起こす。
「あなたはなんでそう鈍いの」
呆れられてしまった。
最近先輩によくそう言われている気がする。
僕って鈍いのかな?
「何が鈍いって言うんですか」
「だってこういうのって普通ね。もっと色々あったでしょ」
何だろ?
一緒に出掛ける?
ああ。
「デートに行きたいってことですか」
「っ!」
先輩が悶絶した。
どうしたんだろ。
もしかして違ったかな?
「すいません。違うなら何なんですか?」
「あ、合ってるわ」
「そうですか」
先輩のこうなっている理由を知りたいんだけど。まあいいか。
それにしてもデートね。
「デートって何するんですか?」
こういった時の先輩の顔が少し歪んだ。
それはそれでいいと思った。
僕はこういう時にこう考えてしまうから駄目なんだと思う。
後悔はしない。
「先輩?」
先輩が動かなくなってしまった。
何だろう?
「デートって何するの?」
先輩がそう零した。
「さあ」
「さあってどうするのよ」
先輩がなぜか涙目だ。
別に泣くことでもないと思う。
「どうしたんですか?」
「だって初めてのデートなのに」
また悲しい顔をした。
何かあるかな?
別にそんな顔になる必要もないと思うけど。
「初めてのデートで何か問題があるんですか?」
「初めてだからちゃんとしたいでしょ」
そう聞いた時の僕の感想は先輩可愛いな、だ。
初めてという先輩の言葉にも可愛いなと思ったし、先輩の表情も可愛いなと思った。
「初めてだからいいんじゃないんですか」
「え」
僕は思ったことを言うことにした。
別に隠すことでもない。
「初めては特別なんですよ。何か失敗あった方が楽しいですよ」
そんな先輩を見たい気持ちもあるが。
きっとかわいい。
おっと、思考が逸れた。
「デートはこれからもずっとできます。だから初めてはそれぐらいでいいと思いますよ」
そう言った時、先輩がいきなり顔を赤くした。
もうかなりの速さで。
「ず、ず、ずっと!?」
「?、ええ」
何をそう動揺しているんだろう?
今のところにそんな要素あったか?
「どうしたんですか?」
「ず、ずっとって私と一緒に?」
ああ、そういうことか。
うむ、気付いたらなかなか恥ずかしいな。
よくこんなこと言えたな。僕。
「い、嫌ですか?」
「全然!」
先輩は首をぶんぶんと振った。
いつもは可愛いと思うが今はそこに考えがいかない。
「ありがとうございます」
「こちらこそ」
思考がまともに働かない。
「明日デート頑張りましょうね」
「うん」
デート頑張るってなんだ!
自分でもそう思ったがもうなんでも言っておこうと思う。
「先輩」
「何?」
「可愛いですよ」
僕の一言終わり。
こうなったら言わなくても良かったんじゃないだろうか。
ほら先輩も顔を赤くした。
「あなたも可愛いわよ」
先輩からそう返されるとは思わなかった。
言うのは慣れているが言われると照れてしまう。
そして僕らは顔を赤くしながら並んで歩いた。
やっぱり先輩は可愛いなと、性懲りもなくまた思う。
なんか思いつく限りで書いたから乱雑になった。
近々直そうかと思う。