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自転車からの告白

新投稿です。

ゆるくいきたいです。

更新は適当に。

僕の背中に温もりを感じる。

先輩が僕にもたれている。


「ちょっと、速すぎる」


「ああ、すみません」


そうして僕は自転車のスピードを落とす。

そうするだけで光景が変わる。

滲んでいたように見えていた景色がほんの少しくっきりとした。


「ねえ、質問があるんだけど、いい」


「なんですか?先輩」


そうして僕は先輩に顔を向ける。

うん、今日も綺麗だ。


「何かくだらないこと考えてない?というか危ないわよ」


「大丈夫ですよ。僕は先輩の美しさという素晴らしいことを考えています」


「だから危ないって」


先輩が少し怖そうだから前を向いて運転することにした。

全く、残念だ。

しかし先輩の肌を傷つけてはいけない。


「というかそんな恥ずかしいセリフをよく言えるわね」

「どこが恥ずかしいって言うんですか」


先輩を考えている僕に恥ずかしいことなんて一切ない。

強いて言うなら少し先輩を背中に感じることが顔を赤くするが。

それだって普通に嬉しい事だ。


「それで質問ってのはなんです?」


「あなたって私のことが好きなの?」


「はい」


「即答ね。もう少し恥ずかしがるとかないのね」


「なんで今更恥ずかしがるんですか。どうせ気付いてたんでしょ」


「いいえ」


気付いてなかったのか。

あんなにそれらしいことを言ってたのに。


「じゃあなんで気付いたんですか?」


「私の友達にそう言われたのよ」


「僕、先輩の友達と話したことないと思うんですが」


「私があなたのことを話したのよ。そうしたらあなたが私のこと好きなんじゃないかって」


「なるほど」


先輩の意外と鈍感なところが知れてよかった。

やっぱり先輩は可愛い。

僕の行為が伝わってないことはちょっと残念だけど。


「それであなたは私に聞きたいことある?」


「ありませんよ」


「ふーん」


「なんですか?」


「私のこと好きなんだよね」


「はいもちろん」


「ほんとに何もないの?」


先輩は僕に何を求めているんだろう。

何かあるのだろうか?

今までの会話で聞くことなんてあったか?


「先輩何キロですか?」


とりあえず後ろに乗せたときの軽さが気になったから聞いてみた。

こういうことでいいんだろうか?


「あなたここでそんなこと聞くの」


「そう言うことじゃないんですか?」


「普通、乙女の秘密なんて聞かないわよ」


違うらしい。

他に何かあるだろうか。


「いったい何なんですか?僕には分かりません」


「ホントに?」


「ホントに」


こういう時に顔が見らればいいんだろうが先輩のためにもできない。

先輩が聞いて欲しいことは何だろう。


「ねえ、誰かと付き合ったことある?」


「ありませんが」


何の話だろうか?

先輩の行動はやはり読めない。


「私と付き合いたいと思う?」


「切実にそう願いますね」


「だから、はい」


「?」


「はあ」


先輩が溜息をついてしまった。

こういう姿はやはり見たい。

先輩を見てもいいだろうか。


「どうしたんですか?」


先輩の方を向きながら聞いた。

そんな先輩の顔はほんのり赤い。


「風邪でも引いてるんですか?」


「これは違うわ、溜息もあなたのせい」


「なんで僕のせいになるんですか?」


「あなたってあんなセリフ言うのになんでこう鈍いの」


呆れたような顔をしてそう言われた。

そしてその後不機嫌そうな顔になった。

しかし理由が分からない。

僕は何もしていない。


「僕何かしましたっけ?」


「何もしてないから問題なのよ」


やっぱりよく分からない。

どういうことだろうか?


「てっ、前!前!」


先輩の珍しく慌てたような声でそう言ったので急いで前を見た。

そこには電柱があった。

もうそれは目の前だった。

そしてぶつかった。


「いてて」


幸い大したスピードは出していなかったからダメージは少ない。

しかし先輩はどうだろうか?

僕は先輩を急いでみた。


「いたた」


先輩は肘から血を流していた。

転んだ時に擦ったのだろう。


「大丈夫ですか!」


僕は何をしてるんだ。

先輩を傷つけるなんて。


「すいません!僕が馬鹿やって」


「別にいいわよ、泣くほどじゃないわ」


泣いてる?


「僕は泣いてますか?先輩」


「ええ、泣いてるわ」


「格好悪いですね、すいません」


「いいえ、そんなところが好きなのよ」


「消毒しましょうか、僕の家近くにあるんです」


「え?」


「何もしませんから」


「え、あの」


「なんです?」


「あの、それだけ?」


「ええと、はい」


何かあっただろうか。


「私、今好きって言ったのに」


「僕が泣いているところが好きって言ったんですよね」


先輩は驚いたようだ。

何か違っただろうか?


「あなたってどうしてそうなの?」


「そうとは」


先輩は僕に体を向けて言った。


「だから私はあなたが好きだって言ってるのよ」


「ええと、あの、はい」


これは告白だろうか?

僕は告白をされているのだろうか?


「それで答えは」


「聞くまでもないじゃないですか」


「あなた聞くこと聞いてなかったじゃない。あなたの口から聞きたいの」


「何回も言ってる気がするんですが」


「それでもこの瞬間は大切でしょ」


先輩は笑っている。

僕も笑った。


「先輩は僕のこと好きですか?」


「ええ、もちろん」


そして僕は先輩に言う。


「大好きですよ」


「私も」


そうして僕と先輩はまた一緒に歩きだす。


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