いつもの一日・朝
短編で出した方が良い気がしますが、このままいきます
ジリリリと目覚まし時計が鳴る。
いつもの事なので目覚ましを止めて起きる。
「ふぁ~あ……ねむ」
いつもの事なのだが、流石になれるほど日常化していないので少々きつい。
朝四時までバイトだったからな…と七時を指している目覚まし時計を見てまた欠伸をする。
あーくっそ。本当に眠い。まだ一ヶ月も経っていないからな……。
さっさと慣れないとなと思いながらベッドから出て背伸びをし、ついで首を回してから軽く準備運動をパジャマ姿のままする。
身体というのはすぐ本調子になるわけではない。故に朝のうちに体を解しておいてゆっくりと起こしておく。そうすれば怪我をすることがほとんどなくなる。ついでに頭の回転も良くなっていく。
というのが俺の持論。
そろそろ終わる頃だ、というところで、控えめなノックが響いた。
そろそろだろうなと思った俺は丁度終わったので「別にいいぞ」と声をかける。
すると、控えめな声で「失礼します」と言って入ってくる制服にエプロン姿の良家。
なんていうか同じ血筋なのにここまで対照的だといっそ笑えてくるのだが、それを笑うと良家に説教を食らうので本人のいないまでやっている。
つぅか普通、兄を起こしに来るなんてしないんじゃないのかと思うのだが、いつもの事なのでそれに関してはもう思うだけ無駄になっている。
とりあえず俺はあいさつした。
「うっす。今日もタイミング良いな」
「はい。お兄様のスケジュールは大体頭に入っていますので」
……一筋の汗が流れた。
恐る恐る俺は尋ねる。
「つかぬ事聞くが、この後の俺の予定を聞いてもいいか?」
俺の予定は着替えてから朝食を食べて学校へ行くか行かないかをギリギリまで決めずにぼーっとして結局遅刻するといういつも通りの過ごし方。
果たして。良家はスラスラと答え始めた。
「はい。お兄様は私がここを出て下へ降りる間に着替え、私が朝食を食べている時に降りてきて、私が食器などを片づけている間に朝食をとり、私が身だしなみを整えている間に食器を片づけ、私が登校する時に自室に戻って漫画をお読みになりますよね?」
「…………」
……。毎度のことながら身の毛がよだつのが分かる。ここまで把握されると正直俺は怖い。
しかも笑顔で首を傾げて「どこか間違っていますか?」とでも言いたげなところが尚更。
否定しようにも大体当たっていたので「まぁ、そうだな」と重い口調で答えると、「やっぱり当たりましたね!」と笑顔で嬉しそうにするので何とも言えない。
ここまで把握されるって何? 俺の部屋に隠しカメラでもあるの? 盗聴器でもあるの?
あったら怖いんだが……と内心戦々恐々としていると、我に返った良家が両手を合わせて「あ、そういえば朝食が出来たのを言いに来たんです。着替えが終わったら食べてくださいね」と言って部屋を出た。
「…………今日は普通に学校へ行こう」
そう決意せざるを得ないほどの恐怖を、この日俺は感じた。