年末ガチャで最強キャラキタコレ!
あらすじで書いた通りになっております。
それではどうぞ。
アプリのゲームでは年末に必ず何かしらの記念ガチャが行われる。それはゲームをやる者たちにとってはレアなキャラを得られる絶好の機会。無課金の者にとっては尚更だ。
アプリのゲームは気軽に出来る。だからこそ、人気がある。パズルゲームだったり、カードゲームであったり、種類も様々あるので飽きても、また新しいゲームが直ぐに出来るので楽なのだ。
最近ではCMなどの告知も良く目にする。ダウンロード数がハンパないのだ。
そう。この時期はアプリゲームをやっている者なら、楽しみな年末ガチャが始まっている。だからと言って、新たな人生を歩む死人にガチャガチャをやらせるのはどうかと思う。
自己紹介が遅れた。僕は荒北信。平凡な学生生活を過ごしていた平凡な男。冬休みに入って、ゴロゴロするぞと思っていたら死んだ。良くあるトラックに跳ねられるという平凡な死に方だった。ラノベとかである王道異世界トリップパターンの小説で出てくる主人公が死ぬ時は大多数がこれである。
そして、目が覚めたときには目の前に巨大なガチャガチャがあった。そこには鬼?らしき者たちと天使?らしき者たちが死人?らしき人たちを列に並ばして、順番にガチャガチャを引かせている。
僕も鬼?に従い、列に並んだ。これは順番を待っている時に鬼?に聞いたんだが、これは年末ガチャと言われる年末頃に死んだ者たち限定で行われる言わば、来世を決めるガチャガチャらしい。ガチャガチャから出たカプセルの中にはどの世界に行くのか、どのような種族になるのか、どのような才能を持つかなどが記載された紙が入っているという。その紙に従って、来世に放たれるという。
―来世をガチャガチャで決めるなよ!―
と思ったが、これは毎年行われているらしい。このガチャガチャには年齢や死因などに決まりはないらしいのだ。だから、幼い子供から高齢者まで様々な年代の人たちが並んでいる。
そして、待つこと20分。僕の順番が来た。さっきはあんなことを言ったが、内心では幼い子供のように興奮している。このガチャガチャにはあることも怪しいと言われる幻のカプセルがあるという。それは存在することすら怪しいと言われて、期待する者は居ない。
だけど、僕は期待する。自分の新しい人生を有意義に迎えるため、僕はガチャガチャを回す。そして、ゆっくりとゆっくりと落ちてきて、カプセルはその姿を現した。黄金に輝くカプセルが。
そのカプセルが出たことによって、そこにいる者たち全員が唖然とする。少し経った後、鬼?の一人が鐘を鳴らす。鐘の音と共に僕は叫んだ。
「年末ガチャで最強キャラキタコレー!」
直ぐに鬼?や天使?は動きを再開させたが、死人たちは唖然とした表情で固まっている。
僕は鬼?に従い受付に向かう。そして、紙を見る。それから直ぐに僕は自分の行く世界へと送られた。
【来世】
《世界》アルス
《種族》ハイヒューマン
《固有魔法》?
《属性魔法》全属性取得可
《スキル》全取得可
《キャラランク》GR
《ステータス》
〈レベル〉1
〈力〉GR 1500
〈耐久〉GR 1500
〈器用〉GR 1500
〈敏捷〉GR 1500
〈魔力〉GR 1500
〈幸運〉GR 1500
※人間の初期ステータス平均50~300稀に例外も。
※エルフの初期ステータス平均200~400稀に例外も。
※亜人又は獣人の初期ステータス平均150~350稀に例外も。
※魔族の初期ステータス平均350~500稀に例外も
※レベルの上がり方は経験値又は自分より強いものを倒した場合と色々ありますので説明は後程
僕、荒北信改め四宮龍が生まれて早くも15年が経過した。来世を期待していた僕には有り難いほどの最強キャラがガチャで出た。
まず、種族がおかしい。ハイヒューマン。小説などの設定などで良く登場する滅びた古代の人間とかとして使われる種族。良くある設定の中では人間より知能が高く、高度な文明を持ち、物凄く長生きする。人間とは比べられないほどの身体能力を持つなどがある。
僕の種族であるハイヒューマンもそれと変わることはない。付け加えるとすれば、滅びていない。生存はしているということぐらいか。
固有魔法が?になっていることが疑問だ。何も分からない此処まで来てしまった。ヒントもない性で全く分からない。固有魔法に関しては成人を迎えれば、自ずと分かるらしい。
次に「チートだな」と思ったが、属性魔法が全属性取得可というチートとしか言いようがない才能。全ての属性魔法を取得できる素質があるという。これに関してはハイヒューマンなら、全員がそうらしい。
そして、スキル。これにも同様にチートである。存在する全てのスキルを得ることが出来る素質を持っているということらしいのだが。これもまた、ハイヒューマンなら全員がそうらしい。
ガチャを引いたときに出たんだろうと思われるキャラランク。これは生まれて直ぐの頃に消えてしまったが、アプリのカードゲームとかで出てくる最高ランクとも言えるGR。おかしいとしか言いようがない。
最後がステータス。これは後から聞いた話だが、相当初期数値が高いらしい。ステータス全体の数値が初期はGRと書いてある隣に1500と記載されていた。この数値こそが桁外れだったらしい。普通はレベル1の初期でこの数値はないと言われた。人間の30倍~5倍。エルフの8倍~4倍。亜人又は獣人の10倍~5倍。魔族の4倍~3倍という有り得ないほどの差があるらしい。これには僕自身も流石に驚いた。
そして15年が経ち、ステータスはこうなっている。
《種族》ハイヒューマン
《固有魔法》?
《属性魔法》
炎属性 噴火、熱風
水属性 しおふき
氷属性 絶対零度
雷属性 百雷
土属性 地割れ
《スキル》
猛虎蟄竜
英雄体質
???
《ステータス》
〈レベル〉10
〈力〉S 1000
〈耐久〉SS 1038
〈器用〉SS 1019
〈敏捷〉SS 1057
〈魔力〉SS 1012
〈幸運〉SS 1005
〈二刀流〉A 879
〈精癒〉B 762
〈狩人〉C 684
〈耐異常〉D 573
チート。これしか言葉がない。其れほどまでの数値がステータスに記入されている。レベルが上がり、二刀流、精癒、狩人、耐異常が項目として加わっている。
二刀流はそのままの意味で2本の刀を使う戦い方である。
精癒は魔力が持続回復を行うレアもの。
狩人は冒険者なら誰でも持つ。
耐異常は毒などを盛られたときの耐久として使うレア度の高いやつの一つ。
スキルも、猛虎蟄竜と英雄体質が加わっている。
猛虎蟄竜は虎のように猛攻な戦い方をさせるスキル。
英雄体質は素質が英雄である。また、必殺の一撃を喰らわすことが出来る。
結論はチートであること。
僕は学園に入学した。両親などが学園に入って世界を見てこいとか言うもんだから仕方なく。別に僕は家から出たことがないわけではない。一族が住む地域が辺境の地でありすぎたことが原因である。と言っても冒険者ギルドに属し、世界を結構見てきたと思う。それでも、同学年と切磋琢磨して青春を謳歌して来いとか言う親に逆らうことが出来ないから仕方がない。
今は冬休みに入っている。当の昔に入学式なんてものは終わり、クラスにも慣れて気儘な生活をしている。
この世界にもクリスマスと呼ばれる日がある。年に1度の特別な日。年末の大きな行事。子供がプレゼントを待つ日。彼氏彼女が簡単に言うと、イチャイチャする日。モテない男にとっては苦痛の日であり、嫉妬、憎悪が渦巻く日でもある。その全てが年末恒例の出来事であるから致し方ない。
町は彼氏彼女で溢れ、独り身の人間が歩くには難易度の高い地帯と成り果てている。
それでも冒険者の仕事は絶えない。むしろ、この時期は増える。犯罪も増える日でもある。動機は嫉妬が大半で、イチャイチャしているところを見て殺したとか、独り身の男が特に多い。独り身の男の犯罪率が多いのは仕方がない。だが、2月、3月、12月はその犯罪率が倍増する。これを防止する為の対策も施され、冒険者が町の見回りを行ったりなどもしている。
僕はその依頼に参加していないため、概要までは知らない。だが、中堅クラスの冒険者たちを中心に集めているとは聞いた。これは依頼に参加している知り合いから聞いたことだから、信用できる内容だ。
暇人な僕にはクリスマスを共に過ごす女性なんて居ない。だから町に行くのは本当は嫌なのだ。だけど、家は両親が過ごすとか言って追い出されて行く宛がないのだ。両親は今日急にやって来たのだ。予告されることなく、行きなり来て遊んでこいという一言で追い出されて、この有り様だ。どう仕様もない。成り行きに任せるしかない。流されるままに町を歩き回るしかないのだ。
僕は溜め息を吐いた。流されるままに歩いた結果、建物の屋根の上に居た。あのような地獄にいることは僕自身辛かったのだろう。だからこうして、建物の屋根の上に逃げたのだ。僕はこういうことが苦手なのだ。仕方がない。
―夜空は綺麗だな…―
僕は再度溜め息を吐き、前世の自分を思い出す。
普通の人生だった。良い悪いもなく平凡な日々を過ごした。前世の僕は何もかもが平凡だったのだ。学力は普通。運動能力は普通。他に優れたこともなかった。アニメとかで生徒Cか、ガヤのどちらかにしか当てはまらないそんな存在だった。告白されたことは一回もない。恋愛も未経験で分からない。童貞。付き合ったこともない。何一つないのだ。女子と喋ることすら中々なかった。
だからと言って、嫌われていたというわけでは多分無いのだろう。虐めをされたとか、ゲスとして見られていたとか、そういったことはなかったと思う。けれども、その代わりなのか何もなかった。
全てが平凡すぎたために生まれた平凡な人生だった。最終的な死に方もまた、平凡だったが。
それでも、読書は好きだった。結構な数の本を読んだ。家にも大量の数の本が置いてある部屋であったし、暇になると行くのは図書館だった。図書館で様々な本を読んだ。
今考えてみても、どうしようもない人生だったなと思う。平凡な生活に甘えていたのではないのかと思うところもあったけど、僕がどうこう出来る問題じゃなかったとも思うし。これは考えても意味がない。
呆然とそんなことを考えることしか出来なかった。今思えば、テンプレだったなと思う。ここからの出来事が全て小説に良くある展開だった。何故、気付かなかったのか僕にも分からない。でも、これが僕なんだろうと思った。
女性の悲鳴に僕の体は勝手に反応した。女性に飢えていたから体が動いたのか、冒険者としての本能が体を動かしたのか、僕にも分からない。だけど、体が勝手に反応した。悲鳴が聞こえた方へ一目散で向かう。他のことは頭になかった。女性を助けるということだけがその時の僕の体を動かす原動力となっていたのだろうと思う。
悲鳴があった場所では、男が女性に無理矢理遊ぼうと誘っている。無理矢理、手を引っ張り連れていこうとする。女性もそれに抵抗しようと必死だ。だけど男の力に勝つことが出来ず、引きずられる形で女性は連れていかれる。そのようなことが行われていた。正にテンプレな展開だった、今思えば。だけど、その時の僕は何処かおかしかったらしくそれに気付くことはなかった。
冒険者には、自己防衛としての殺害は許されている。これはギルドが決めたことであるため、僕たちは何も言わない。
僕がその現場を見た瞬間、男は舌打ちすると叫びながら、懐に忍ばせておいたナイフで斬りかかってきた。僕はそれを自己防衛として、相手を気絶させる。一瞬だった。手刀で男は気を失った。僕は女性に声を掛けた。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、ありがとう。君、強いのね。君は冒険者?」
女性の問い掛けに僕は頷く。
「そう。貴方はどうして此処に?」
「たまたま通り掛かっただけですよ。正確には悲鳴が聞こえたから駆けつけただけですけど。」
「君、私と1日遊んでくれない?」
女性はそう言うと僕に体を預けようとする。わざわざ、胸を当てて。
「すいません。遠慮させてもらいます。」
「そう言わずに。」
―立場が逆になった気がする…―
内心でそんなことを思いながら、断る。少し冷や汗もかき始めている。
「ねえ、お願い。死んで。」
その言葉と共に女性はナイフで斬りかかって来る。普通の人間には気付かなかっただろうが、冒険者なら分かる。彼女が悪人であることは。
普通の女性がわざわざ体を近づける必要性は皆無。なのにあの女性は近づけてきた。そして手の素振りが彼女を悪人であると確信させた。ナイフを持てるように準備をしていたのだ。
だから、僕は剣を一振りして彼女を斬り捨てた。
女性は声を出す時間も与えられることなく死んだ。そして僕は女性の体を燃やした。
如何でしたでしょうか?
感想待ってます。
それではまた。