第17章 2つと5つの魔法属性
「と言う訳でーどちらかと言うとー口で説明するよりー見てもらった方が分かりやすいとー思うんだよねー」
「それを先に言ってくれ!」
ガクッとテーブルに頭をぶつけるテオから鋭いツッコミが炸裂した。ニーナも勢い良く頷く。
「面倒でなければお願いします」
「おーけー。じゃあちぃっと準備するからー待っててけろー」
ビアンカは床に落ちているゴミをひょいひょい避けながら作業台へ向かった。そしてこちらを振り向かずにまた話しかけてくる。
「ところで君たちーシャドウアタッカーはー魔法の属性についてどこまで習うんだいー?」
「魔法の属性?」
質問を質問で返すんじゃないよーと呆れた声が飛んでくる。
「習うより慣れろって感じで実戦しかやってないから全然分かってないな。属性があることは知ってるけど」
「はぁー!これだからシャドウアタッカーはー脳みそまで筋肉って言われちゃうんだなー。分からないことをー少しでも知ろうとは思わんのかねー!」
堂々と本人達の前で悪口を言ってのけたビアンカはもしかしたら出世するかもしれない。ニーナはあははと苦笑いすることしかできなかった。
指を天井に向けて2本伸ばしてピースの形を作る。
「魔法の属性は大きく分けて2つー!細かく分けて5つあるー!」
そして次に5本全てを開いてみせた。続いて人差し指だけ折った。
「1つは君達もよく知っているだろうー。闇の魔法属性だー」
それはもちろん分かる。テオやリリーが魔法を使う時には黒いオーラが出た。イグナーツも黒い盾を瞬時に展開する技を持っている。
「確かに見る機会が多いね」
「当たり前だー。シャドウアタッカーは闇の魔法属性しか使えないー」
そのままビアンカは講義を続ける。
「影を構成するのも闇魔法だー。しかし闇などと言うから悪いように聞こえるがーこれは決してそうではないー」
作業台から三角フラスコと注射器を持ってくるとニーナ達が座っている目の前にドンと置いた。何か実験でもするのだろうか。
「闇があるからー光がより際立つというのは分かるだろー?それと同じだー。闇と逆の魔法属性に光があるー。これは4つの属性に分類できー、火と水と風と土があるー」
この4つの属性は世界を構成する重要な要素で、これがなければ火をおこすこともできず、水は淀み、風は止み、土は腐る。モノが持っているこれら4つの要素を合わせて光と呼ぶのだと説明した。
「さっきも言ったがーボクがやっている実験はそのモノの持つ魔力を抽出することだー。試しにお前達の血から闇の魔力を抽出してみるぞー」
注射器の針をぐいと差し出してくる。二人は興味津々で大人しく実験材料を採取させることにした。