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第13章 安易な提案

 ニーナの部屋の扉をノックする。なるべく元気よく軽快に。

「にーぃなっ!入ってもいい?」

「テオ?いいよ」

 おじゃましまーすと笑顔を取り繕ってドアノブをひねる。ニーナはテオの姿を確認すると釣られて笑ったような気がした。

「もう私は準備できたよ。もしかして迎えに来てくれたの?」

「いや、ちょっと話があってさ」

 あくまで明るい声のトーンで話し掛けるおかげで不穏な空気にはならない。だが無理に明るく振舞うことで演技をしている気分になる。テオは自己嫌悪に陥りながらもニーナにベッドに座るように勧めた。

「話……」

「そうそう!相談なんだけど、そのモンスター化した厄介な奴は十分に戦力が集まってから倒しに行かないか?」

 ニーナが戦闘をなるべく回避できるようにすれば、または自分達以外の誰かが倒してくれれば負担も減るしお互い危険なことにはならないという考えだった。もしニーナが危ない魔法を持っていたとしても、本人に気付かれずに何もかもが終わるかもしれない。安易な希望だったが、毒を飲ませて調子を悪くさせるよりはずっといい。


 早く見つけて戦わねば失うものもあるかもしれない。だが自分達が死んでしまったら影はもっとその数を増やすだろう。必死な説得にニーナは困惑していたが、テオの無理をしているのだろう一面が見え隠れするのを見てやがてその提案に賛成した。

「良かった……」

 目に見えてホッとするテオに違和感を感じずにはいられないがきっと聞いてはいけないことなのだろうという事で黙っていることにした。


「それで、戦力というとやっぱりパーティーを組んで戦うってことだよね」

 教団に属しているシャドウアタッカーは二人組のパーティーが18で計36人だ。そのうち遠征中が10で、いざという時のために教団に3パーティーは残しておきたい。それが今までの経験上から導かれる答えだった。

「イグナーツとリリーも必ず行くって言ってくれたからさ。教団にいるシャドウアタッカーの中で優秀な人に声掛けに行こうか」

 そうしたらその人に隊長を任せられるしな!とガッツポーズをする。

「うん、そうしよう。みんなで戦えばきっと勝てるね」


 微笑むニーナにテオは絶対この子を守ろうと誓った。影から、世界から、そして秘密を握っている教団から。

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