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叔母の奇跡

ある母親と、まだ幼い少女2人の家族がいた。

少女の名は 佐藤亜紀。

そのときは 大型連休。

亜紀も小学校が休みだったため、久しぶりにおばあちゃんが泊まりにくることになった


「お母さん! おばあちゃんいつ来るかなぁ」

「今電話がかかってきたの。 すぐくるって。 一緒にお土産もあるって、よかったね」


優しい笑顔で母は亜紀に言った。

ニッコリとうん!と頷いた


午後2時におばあちゃんが来た。

やけに大きいスーツケースをみた亜紀は、いっぱい泊まってくれるんだ‼と大喜び。


「亜紀ちゃん、大きくなったわねえ」

頭を左右に優しく撫でる。

笑顔を見せる亜紀

「うん‼ 亜紀クラスで一番後ろなんだよ‼」


母は叔母の荷物を変わりに片付け、はぁと息をつく。 すぐに夕飯の買い出しに出掛けていった。

叔母は亜紀を和室に呼び出し、スーツケースからひとつの紙袋を取り出した


「亜紀ちゃん、はい お土産。 大事にしておくれよ」

輝く笑顔をした亜紀は叔母の前で袋を開ける


中には、可愛い熊のぬいぐるみ。

くりんとした黒目が愛らしい


「ありがとう おばあちゃん‼」

「喜んでくれて嬉しいよ」



...が最後になるとは

誰も思いはしなかった。


喉が乾いたと 下の自動販売機にいったきり叔母は帰って来ないのだ。

心配した母は警察に捜索願いを出した


数時間後、叔母は通り魔に襲われてしまった

そう連絡が入った

亜紀は先程もらった熊のぬいぐるみを固く抱きながら号泣した。

母も「なんでっ...お母さん...」 そう言い泣いていた。


連休が残り2日。

静かな家には 2人の家族。


最後に叔母と話した和室に座っていた亜紀。

フッとトイレにいきたくなり、足を上げた


するとある異変に気づいた

「...あれ?」


一回間違いと思い、歩いた道を引き返してみる。

だが、間違いではなかった

和室のはじにおいてある日本人形

気味の悪いことに 自分が歩く場所に合わせて顔を動かしていたのだ。


その夜。

部屋に戻った亜紀。


眠くなり、夜9時にベッドに入る

「...っ...‼なんで...?」


驚くことに 和室にあるはずの日本人形が自分の部屋に置いてあった。

もちろん 人形はこちらを見ていた

怖くなった亜紀は すぐに母親の部屋へいった


「お母さんっ、お人形がついてくるの」


こんなことを言って信じてもらえるか

まだ幼い亜紀すら分かっていた

信じてもらえるはずがない。

だが また子どもは親を頼る


もちろん母親は信じなかった

「なにをおかしなことを いっているのかしら?」

亜紀は そのまま部屋に戻るつもりは一切なかった。 怖い思いはしたくない。


「じゃあお母さん。 今日はここで寝ていい?」


「ええ。いいわよ」

そうして、母の部屋で寝た。


次の朝、洗濯物を干しに 早く起床した母。

いつもどおり マイペースに行っていた


すると

地震だ。


しかもかなり大きい

「っ...やだっ...」


娘がまだ部屋で 寝ている



亜紀はぐっすり眠っていた

大きい地震に気づかず。


やがて地震は倍に酷くなり、縦に揺れ始めた

母親は揺れる地面に抵抗しながら 娘の元へと急いだ


すると その瞬間

布団の目の前に置かれていたタンスが 亜紀方面に倒れ始めてしまった


ダメだ 潰されてしまう


母は考えず そのまま娘へ駆け寄った

ガタンっ...


タンスは勢いよく亜紀を下敷きにしてしまった

「亜紀っっっ‼」


もうダメだ そう確信した。

お母さんっ

聞こえるはずもない娘の声が頭に響いた

私も死んだのだろうか。


だが違かった。

娘は生きていた。


タンスの下にいた娘は必死に私を呼ぶ。

お母さん!お母さん!助けて‼


その頃には地震はおさまっていた。

ゆっくりタンスをどかした。

驚くことにタンスの角には 娘が叔母からもらった熊のぬいぐるみが挟まっていた。


ぬいぐるみが娘を救ったのだ


叔母がくれた あのぬいぐるみ。

あのあと私は思う。

叔母が死んだあと、もしかしたら魂がぬいぐるみに宿ったのだろうか。

不思議と自分のことをバカだとは思わなかった。


だがひとつ。

気味の悪いものがあったのだ。


娘が昨晩いった 人形。

和室にあるはずが 娘の部屋に。


そして今朝 私の部屋で 笑うはずのない日本人形が ニコっと




微笑んでいたのだ。

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