妻
妻が死んだ
叫ぶ程の悲しみはない。
二人で生涯を共にすると誓って十数年。
愛は少し薄れていた。
明日警察が来るらしい。
少し予定を空けなきゃな。
警察が来た。
当たり障りのない返事をすると少し変な目で見られた。
何故だろう。
葬式を終えた。
雨が降っている。
傘を忘れてしまった。
雨に濡れている。
少し寒くなって来た。
誰も傘を持って来てはくれない。
家に着いた。
真っ暗な中、手探りで部屋の明かりをつける。
明かりのスイッチはここにあったのか。
夕食を作った。
数年ぶりの自炊だ。
味噌汁の味が薄い
風呂を入れた。
普段より少し熱い。
寝室に入った。
ベッドが少し広く見えた。
今日も大した変化は無く一日が終える。
ただ
寝る直前
少しだけ涙が零れた。