■第93話:学校の怪談・トイレの花子さん! ……えっ、便器に引きずり込む前に「大腸菌の恐怖」と「痔のリスク」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……ンパッ。うむ、オーガニックリップバームのおかげで、私の唇もぷるんぷるんだ」
神ドラマスは、手鏡を見ながらツヤツヤになった唇に満足げに頷いていた。
ふとモニターを見下ろすと、ヒナタたちは王都に新設された「王立学園」の、薄暗い旧校舎のトイレの前に立っていた。
「ほう! ついに学校の怪談の絶対的エース、トイレの花子さんの登場か!」
ドラマスは手鏡を置いた。
「旧校舎の3階、奥から3番目の個室! 閉鎖空間での逃げ場のない恐怖、そして便器の底という異界へ引きずり込む理不尽な暴力! いくらヒナタでも、この『トイレの個室』という絶対領域に踏み込むことは躊躇するはずだ!!」
【場所:人間界・王立学園 旧校舎の女子トイレ】
夕暮れ時。誰もいないはずの旧校舎のトイレは、不気味な静寂に包まれていた。
「ゆ、勇者殿……。ここの3番目の個室には、恐ろしい霊が棲みついているという噂ですぞ……」
セバスチャンが、ドアから一番遠い洗面台にしがみつきながら震えている。
ヒナタは構わず、奥から3番目の個室の前に立ち、ドアを「コン、コン、コン」と3回ノックした。
「花子さん、遊びましょ」
ギィィィ……。
ノックに呼応するように、鍵がかかっていたはずのドアがゆっくりと内側へ開いた。
中には、おかっぱ頭に「真っ赤な吊りスカート」を履いた、青白い顔の少女がうつむいて立っていた。
『……ハァ〜〜〜イ…………』
地を這うような不気味な返事と共に、花子さんがゆっくりと顔を上げる。
『……一緒に……便器の底へ……行きましょう……』
花子さんが、泥だらけの冷たい手でヒナタの腕を掴み、真っ暗な和式便器の中へ引きずり込もうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、トイレのタイルに反響する「保健室の先生&清掃業者」が炸裂した。
『……エッ?』
花子さんは、ヒナタの腕を掴んだままポカンと口を開けた。
ヒナタは、四次元リュックを洗面台にドンッと置き、鬼の形相で花子さんの足元(赤いスカートの裾)をビシッと指差した。
「あなた!! その赤いスカートの裾、トイレの床にガッツリ着いちゃってるじゃないですか!! 公衆トイレの床には、水を流した時に飛び散った『大腸菌』や『ノロウイルス』などの雑菌がウヨウヨしてるんです!! そんな不衛生な服のまま一日中過ごすなんて、感染症の温床ですよ!!」
『ダ、ダイチョウキン……!? ノロウイルス……!?』
花子さんは、慌てて自分の赤いスカートの裾をパッとつまみ上げた。
「大体、こんな薄暗くて湿気の多い個室にずっと引きこもっているなんて!!」
ヒナタは、便器の中を指差した。
「冷たい便座の近くに長時間座り込んでいたら、下半身の血流が極端に悪化して『痔』になりますよ!! しかも日差しを全く浴びていないから、骨を強くする『ビタミンD』も作られていないし、自律神経もボロボロ(青白い顔)です!! 友達を待つなら、校庭か明るい教室にしなさい!! もしかして、便所飯(トイレでお弁当を食べる)でもしてたんですか!?」
『ジ……!? ベンジョメシ……!? イヤ、私ハ学校ノ怪談デ……』
「言い訳しない!! トイレは用を足す場所であって、住む場所じゃありません!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「次亜塩素酸ナトリウム配合の強力除菌クリーナー」「ゴム手袋」「太陽光(紫外線)と同じ波長を出す携帯用日光浴ライト」、そして「可愛いチェック柄のキュロットスカート(裾が床に着かない丈)」を取り出した。
「ゴズさん、花子さんを外の明るいところへ連れ出して! ヴァレリアさん、窓を全開にして換気扇を回して!!」
「ブモォッ!(おう! トイレに引きこもってちゃ気が滅入るからな!)」
「ふむ。風の魔法で、トイレ内の淀んだ空気を一気に循環させよう」
『ナ、何ヲ……!? 私ノ絶対領域ガ……!』
「【究極のトイレ除菌&ビタミンD生成・青空プログラム】です!!」
ヒナタはゴム手袋を装着し、目にも止まらぬ速さでトイレの床、壁、便器を「強力除菌クリーナー」でピカピカに磨き上げ、大腸菌を1ミリも残さず駆除した。
一方、校庭に連れ出された花子さんは、ヒナタに着せ替えられた「動きやすいキュロットスカート」の姿で、携帯用日光浴ライト(および本物の夕日)の光を全身に浴びていた。
『アァッ……! ずっと薄暗い個室にいたから、太陽の光が……ポカポカして、すごく気持ちいい……! なんだか、ウジウジしていた気持ちが晴れ渡っていくみたい……!』
「はい! 外の空気を吸って、しっかりセロトニン(幸せホルモン)を分泌させる! これで顔色も良くなりますよ!」
ヒナタが、ピカピカになったトイレから戻ってきて、花子さんに「熱いほうじ茶」を差し出す。
数日後。
そこには、トイレの個室で陰湿に人を待ち伏せする妖怪の姿はなかった。
日差しを浴びて健康的な肌色になり、赤いキュロットスカートを翻しながら、ホイッスルを吹いて生徒たちに「手洗い・うがい・トイレの換気」を指導して回る「王立学園・最強の美化委員長(兼・保健委員)」が、校庭を元気いっぱいに走り回っていた。
『コラッ! そこの男子! トイレの後は石鹸でしっかり手を洗わないと、ノロウイルスが感染拡大するわよ!』
花子委員長は、便器に引きずり込む代わりに、不衛生な生徒を洗面台へ引きずり込んで熱血指導を行っていた。
「……ゆ、勇者殿。最恐の学校の怪談が……『大腸菌を親の仇のように憎む、超健康的な美化委員長』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、ピカピカに磨き上げられた旧校舎のトイレの匂い(爽やかなシトラスの香り)を嗅ぎながら、深く感心していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、無言で天界の自室のトイレのドアを見つめた。
『トイレの花子さんが……「大腸菌」と「痔のリスク」を指摘され、便所飯疑惑をかけられた……』
『挙句の果てに、日光浴をさせられ、熱血美化委員長になった……』
ドラマスは、もはや「異界の入り口」すら「ただの不衛生な個室」として除菌消毒されるヒナタのロジックに完全降伏し、ゴム手袋と除菌クリーナーを手にして、「私も……トイレをピカピカに磨き上げ、痔の予防のために長居は避けるとするか……」と、便座のフタを静かに開けるのだった。
(第93話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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