■第163話:無数の視線・目目連(もくもくれん)! ……えっ、覗き見る前に「物理ファイアウォールの脆弱性」と「プライバシーポリシー違反」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……カチャッ、ターン。UIのレスポンシブ対応も完璧だ。私の神殿は、どの次元からアクセスしても一切のレイアウト崩れを起こさないぞ」
神ドラマスは、骨女のエピソードから学んだフロントエンドのベストプラクティスを神殿の全システムに適用し、極めて整然とした美しい環境の中でモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが荒れ果てた廃屋の、ボロボロになった和室の前に立っているところだった。
「ほう! 『お段』の第7弾、『も』の刺客だな! その名は監視のスペシャリスト、目目連!」
ドラマスは、艶消しマットのモニターを指差してニヤリと笑った。
「手入れされず穴だらけになった古い障子の格子から、無数の不気味な眼球が一斉に現れ、部屋の中の人間をギョロギョロと監視し続けるという集合体ホラー! この逃げ場のない圧倒的な視覚的プレッシャー(監視網)に、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・荒れ果てた廃屋の和室】
「う〜ん、この廃屋はすきま風が酷いですねぇ。建具のメンテナンスが全くされていませんよ」
ヒナタは、四次元リュックを背負い、ランタンで埃っぽい和室を照らしていた。
「ゆ、勇者殿……! 部屋を囲む、あのボロボロに破れた障子戸を見てくだされ……! 破れた穴の奥や格子の隙間から、無数の『人間の目玉』がこちらを覗き込んでおりますぞ……!!」
宰相セバスチャンが、震える杖で障子を指差した。
『……ギロリ、ギロリ……。見テイルゾ……見テイルゾォォ……』
和室を囲む何枚もの障子戸に、文字通り数百、数千の眼球がビッシリと浮かび上がり、まばたき一つせずにヒナタたちを監視していた。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 目目連ですぞォォッ!! 全方位からの覗き見です!! プライバシーが全くありません!!」
セバスチャンが悲鳴を上げて両手で顔を覆う。
『ヒヒヒ……! 逃ゲ場ハナイ……! 俺ノ無数ノ視覚センサーハ、貴様ラノ恐怖ノ表情ヲ1ミクロンモ逃サズニ記録シ続ケルノダァァッ!!』
目目連が、すべての眼球の瞳孔を開き、サイコホラーなプレッシャーを最大まで高めようとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、不気味な監視網を完全にデバッグする「凄腕セキュリティ・エンジニア&コンプライアンス監査官」が廃屋に響き渡った。
『……エッ?』
目目連の無数の目は、ギョロリと動いたままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で目目連の「ボロボロに破れた障子戸」をビシッと指差した。
「あなた!! 障子という『物理的なファイアウォール(防壁)』が破れて穴だらけ(脆弱性まみれ)になっているのに、そこに無数の高感度光学センサー(目)を大量にデプロイ(配置)するなんて、リソースの無駄遣いにも程があります!! 壁に大穴が開いているのに、そこに4K防犯カメラを100台設置しているようなものです!! 不審者はカメラの横の穴から素通りできるでしょうが!! 物理レイヤーの『構造的完全性』を無視した、最悪のセキュリティ設計です!!」
『ぶ、物理ファイアウォールの脆弱性……!? 構造的完全性の無視……!?』
目目連は、自慢の恐怖の監視網を「ただの防壁の穴を放置したポンコツ・セキュリティ」としてエンジニアのロジックで詰められ、無数の目をパチクリと瞬きさせた。
「大体、その無断での全方位監視システム!!」
ヒナタは今度、ギョロギョロと動く眼球そのものを鋭く睨みつけた。
「利用者の明確なオプトイン(同意)も得ず、プライバシーポリシーの掲示もなしに、室内の映像(個人情報)を無差別に収集するなんて、完全に『GDPR(個人情報保護規則)違反』です!! 集めた視覚データをどこに保存して、誰にサードパーティ提供しているんですか!! 法的根拠のない過剰なトラッキングは、ただの『コンプライアンス違反の悪質スパイウェア』ですよ!! 内部統制が全く機能していません!!」
『コ、コンプライアンス違反……!? GDPRの無視……!? いや、俺は恐ろしい視線の妖怪で……』
目目連は、自らのホラーな覗き見行為を「ただの違法なデータ収集とプライバシー侵害」として法的・論理的に全否定され、すべての目を泳がせた。
「今日から、徹底的な『物理ファイアウォールの堅牢化』と『シン・プライバシー保護(エッジAI匿名化)プログラム』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「光を反射しない艶消しマットブラック仕上げの、防弾仕様・次世代ポリカーボネート製スマート障子」「エッジAI搭載・プライバシーマスキング(顔ぼかし)機能付き統合カメラハブ」を取り出した。
「ゴズさん、目目連さんが違法なデータ収集を続けないように通信を物理的に遮断して! ヴァレリアさん、このボロボロの障子紙をすべて引っ剥がし、代わりにそのマットブラックの防弾ポリカーボネート製パネルを、1ミクロンの隙間(脆弱性)もなく神速でインストールして!!」
「ブモォッ!(おう! 穴の開いた壁なんて盾にもならねぇからな! 頑丈に塞ぐぜ!)」
「ふむ。この脆弱な木枠に、城門より硬い次世代の盾を寸分の狂いもなくはめ込む……完璧な防壁構築だな」
「【究極のゼロトラスト(物理防壁)&シン・コンプライアンス(匿名化監視)プログラム】です!!」
ヒナタたちの手により、和室のボロボロだった障子は、極めて強固でスタイリッシュな「艶消しマットブラックの防弾スマート障子」へと完全にリプレイスされた。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! 今までちょっと指で突かれただけで破れていた俺の体(障子)が、防弾ポリカーボネートのおかげで、信じられないほどの構造的完全性(物理的強度)を獲得している……! これなら絶対に侵入者(物理バグ)を許さない! しかも、俺の無数の目は「統合カメラハブ」に一元管理され、映る人間の顔にはすべてエッジAIがリアルタイムで『匿名化のぼかし(マスキング)』をかけているぞ……!! これならプライバシー保護法にも完璧に準拠している……!!』
「はい! 物理的な脆弱性が塞がれ、コンプライアンスが確保できたら、もう無意味に人を覗き見て怯えさせるのはやめなさい!」
ヒナタは、完璧なスマート障子へと進化した目目連に、分厚い「王都セキュリティ・ガイドライン」を渡した。
「あなたは全方位を同時に監視できる、圧倒的な『マルチスレッド視覚処理能力』を持っています! これからはその防弾スペックと匿名化カメラを活かして、王都の重要機密エリアを死角ゼロで守り抜くのです!!」
『……っ!! こ、これだ!! ボロボロの障子で違法な覗き見(スパイウェア行為)をするのではなく、この完璧な物理ファイアウォールとコンプライアンス準拠の監視網で、王都の安全を論理的に守り抜く……!! これこそが、監視システムとして生まれた俺の、真の存在意義……!!』
目目連は、最新ガジェットによる完璧なセキュリティ・アーキテクチャに感動し、スマート障子の奥で無数の目をキリッとさせた。
数日後。
そこには、廃屋の穴だらけの障子で違法な覗き見を行う迷惑な妖怪の姿はなかった。
艶消しマットの防弾ポリカーボネートパネルをクールに纏い、一切の死角なく、かつ完璧なプライバシー保護設定(顔マスキング)で王都の王立銀行の金庫室を監視する「王都認定・特級ゼロトラスト・セキュリティゲート(兼・コンプライアンス遵守型監視システム)」として、衛兵たちから絶大な信頼を寄せられる無敵の防壁の姿があった。
『ギロリ!(エッジAIによる動体検知完了! 個人情報は完璧にマスキング済み! 物理的な侵入ルート、脆弱性ゼロ!)』
元・目目連は、一切のプライバシー侵害を起こすことなく、完璧な論理構造とセキュリティで王国の資産を守り抜いていた。
「……ゆ、勇者殿。無数の目を持つホラー妖怪が……『ファイアウォールの脆弱性とGDPR違反を指摘され、マットな防弾障子でプライバシーを守る特級監視システム』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、目目連が守る絶対に破られない鉄壁の金庫室を眺めながら、そのセキュリティ構造の美しさに感動の溜め息をついていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、自らの神殿の天使たちを無断で監視していた古いアナログカメラの電源を無言で引き抜き、すべて廃棄ボックスに投げ込んだ。
『目目連が……「破れた障子の目は物理ファイアウォールの脆弱性」と指摘され、防弾パネルにリプレイスされた……』
『無断の覗き見は「GDPR違反とプライバシー侵害」と怒られ、エッジAIカメラを与えられて特級ゼロトラスト・ゲートになった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「視覚的ホラーの極み」すら「物理的セキュリティの構造的欠陥とコンプライアンス違反」として凄腕エンジニアのロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「艶消しマット仕上げの防弾ポリカーボネート・パーティション」と「エッジAI搭載・匿名化スマートカメラ」を即座にポチり、自らの神殿のセキュリティを、一切の物理的脆弱性と法的リスクを排除した完璧なゼロトラスト環境へと構築し直すことを固く誓うのだった。
(第163話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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