■第150話:毛むくじゃらの病魔・毛羽毛現! ……えっ、病を撒く前に「ブラッシング不足(毛玉)」と「換気不全によるカビの繁殖」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……カチャッ。よし、神殿のあらゆる物理的隙間(脆弱性)の保護と、システム分離は完璧だ。これでエラーは起きん」
神ドラマスは、猿猴のエピソードから学んだすき間保護と独立駆動システムにより、一切の不具合がなくなった神殿で、優雅に玉座に腰掛けていた。
画面の中では、ヒナタたちが古くジメジメとした屋敷の「床下」を点検しているところだった。
「ほう! 『え段』の第2弾、『け』の刺客だな! その名は病を呼ぶ毛玉、毛羽毛現!」
ドラマスは、画面をズームしながらニヤリと笑った。
「全身が長い毛で覆われた、小型犬のような不気味なバケモノ! 湿気の多い床下に潜み、家中に原因不明の病(疫病)を撒き散らすというサイレント・キラーだ! この物理攻撃の通じないバイオハザードに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・古い屋敷の床下】
「う〜ん、この屋敷の床下は換気口が塞がっていて、湿度が異常に高いですねぇ。シロアリが心配です」
ヒナタは、四次元リュックを背負い、強力なLEDライトで薄暗い床下を照らしていた。
「ゆ、勇者殿……! 奥の土の上に、モジャモジャの汚い毛の塊のようなものが……ゴホッ、ゲホッ!!」
宰相セバスチャンが、それを見た途端に激しく咳き込み、目から涙を流し始めた。
『……モソモソ……。俺ハ……毛羽毛現……』
土の中から這い出してきたのは、目も鼻も分からないほど長い毛に覆われた、犬ともつかない毛のバケモノだった。
その毛は泥と湿気でドレッドヘアのようにガチガチに固まり、動くたびに目に見えない胞子のようなものを撒き散らしている。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 病魔の妖怪ですぞォォッ!! 息をするだけで喉が痛い……!!」
セバスチャンが喉を押さえて床下から逃げ出そうとする。
『ヒヒヒ……。俺が住み着いた家は、必ず病人が出る……。俺の呪いの毛から放たれる疫病で、お前たちも寝込ませてやるゥゥッ!!』
毛羽毛現が、ガチガチに固まった毛をブルブルと震わせ、さらに大量の「呪い(粉塵)」を飛散させようとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、床下の淀んだ空気を完全に浄化する「獣医師&凄腕ドッググルーマー(ガチギレ・トーン)」が響き渡った。
『……エッ?』
毛羽毛現は、身震いするポーズのままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で毛羽毛現の「ガチガチに固まった毛」をビシッと指差した。
「あなた!! 全身の毛が絡まり合って『フェルト化(巨大な毛玉)』しているじゃないですか!! ダブルコート(二重被毛)の動物なのに、毎日のブラッシングを完全にサボっているせいで、古いアンダーコートが抜け落ちずに蓄積して、皮膚の通気性がゼロになっています!! これは妖怪の呪いじゃなくて、ただの『飼養衛生管理の完全なネグレクト』ですよ!! かわいそうに、皮膚が引っ張られて痛いでしょうが!!」
『ふぇ、フェルト化……!? 飼養衛生管理のネグレクト……!?』
毛羽毛現は、自慢の不気味なフォルムを「ただのブラッシング不足による毛玉の放置(激痛)」として獣医学的に詰められ、毛の奥で目をパチクリとさせた。
「大体、その撒き散らしている病魔の正体!!」
ヒナタは今度、セバスチャンが吸い込んで咳き込んでいる粉塵を指差した。
「原因不明の病とか言ってますけど、それは換気不全の床下であなたの毛玉の中に繁殖した『マラセチア菌』と、大量の『ダニの死骸・フン(ハウスダスト)』です!! あなたが動くたびにそれが飛散して、人間に重度の『アレルギー性喘息』を引き起こしているだけですよ!! ベクトル(感染経路)の論理性がガバガバすぎます! 病魔という『設定』に無理やり理由をこじつけるのはやめなさい!!」
『ア、アレルギー性喘息……!? プロットの無理なこじつけ……!? いや、俺は病気を呼ぶ妖怪で……』
毛羽毛現は、自らのホラーな疫病設定を「ただの不潔な毛玉によるアレルゲンの飛散」として論理的に全否定され、ショックでクゥ〜ンと犬のような声を出した。
「今日から、徹底的な『毛玉の解体・グルーミング』と『皮膚のバリア機能回復プログラム』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「艶消しマットブラック仕上げの、プロ用ステンレス・スリッカーブラシ」「抗真菌成分配合の、薬用ペットシャンプー」、そして「床下専用・強制排気ベンチレーター(換気扇)」を取り出した。
「ゴズさん、毛羽毛現さんが暴れないように優しく抱きかかえて! ヴァレリアさん、そのマットなスリッカーブラシで、毛玉の根本から皮膚を傷つけずに神速のブラッシング(解体)を行って!!」
「ブモォッ!(おう! 毛玉を放置すると皮膚炎になるからな! 綺麗に梳かしてやるぜ!)」
「ふむ。このガチガチに固まった毛の結び目だけを的確に解きほぐす……千の刃を受け流す、柔の剣技の応用だな」
「【究極のメディカル・グルーミング&シン・床下換気(アレルゲン排除)プログラム】です!!」
ヴァレリアの神速のブラッシングにより、毛羽毛現を覆っていた鎧のようなフェルト毛玉は次々と解体され、大量の抜け毛が取り除かれた。
さらにヒナタが「薬用シャンプー」で全身を優しく洗い上げると、カビやダニの温床となっていた汚れが完全に洗い流された。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! ずっと皮膚が引っ張られてヒリヒリしていた痛みが嘘のように消え去った! しかも、薬用シャンプーの爽やかな香りで、自分自身の悪臭(マラセチア菌の臭い)がスゥーッと消えていく……! 体が、信じられないほど軽いぞ……!!』
洗い上がってドライヤーで乾かされた毛羽毛現の正体は、サラサラでツヤツヤの被毛を持つ、めちゃくちゃ可愛い小型犬(ポメラニアンのミックスのような姿)であった。
「はい! 皮膚が清潔になったら、もうこんなジメジメした床下に引きこもってはいけません!」
ヒナタは、換気扇を取り付けて綺麗になった床下から、毛羽毛現(犬)を抱き上げた。
「美しい被毛と健康を維持するためには、毎日のブラッシングと『運動』が不可欠です! これからは朝と夕方、数キロメートルに及ぶ長距離のウォーキングとランニングを日課にしなさい! そして週末は、広々としたドッグランで思い切り走って、風を被毛の間に通して通気性を保つのです!!」
『ワンッ!!(こ、これだ!! 日の光を浴びて、朝夕の数キロのランニングで風を切って走る……! 全身の毛に新鮮な空気が通り抜けて、カビなんか生える隙間もない! 走るのが、こんなに楽しいなんて……!!)』
毛羽毛現は、極上のグルーミングと長距離の運動ルーティンに感動し、千切れんばかりに尻尾を振った。
数日後。
そこには、床下で毛玉を固まらせて病気を撒き散らす不潔な妖怪の姿はなかった。
艶消しマットのスタイリッシュな首輪をつけ、毎朝毎夕、ヒナタたちと一緒に数キロメートルのランニングをこなし、週末は王都郊外のドッグランで他の犬たちと元気に駆け回る「王都認定・最高にキュートなセラピードッグ(兼・健康推進アンバサダー)」として、出会うすべての人を笑顔(セロトニン分泌)にするフワフワの愛犬の姿があった。
『ハァハァ、ワンッ!(朝の5キロランニング完了! 被毛の通気性バツグン! アレルギーの心配はゼロだぜ!)』
元・毛羽毛現は、一切の病気を撒くことなく、完璧な飼養衛生管理のもとで幸せに暮らしていた。
「……ゆ、勇者殿。病魔の妖怪が……『ブラッシングと薬用シャンプーで毛玉を解体され、朝夕の長距離ランニングとドッグランを楽しむ極上のセラピードッグ』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、全く咳の出なくなった綺麗な空気の中、フワフワの毛羽毛現を撫でながらすっかり癒やされていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、自らの玉座の横でゴロゴロと寝転がっていた神獣の冬毛がモサモサになっているのを無言で見つめた。
『毛羽毛現が……「ブラッシング不足のフェルト化とネグレクト」と指摘され、薬用シャンプーで洗われた……』
『病魔の正体は「床下のカビとハウスダスト(アレルゲン)」と怒られ、朝夕の数キロのランニングとドッグランを与えられて可愛いセラピードッグになった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「病を呼ぶ毛のバケモノ」すら「飼養衛生管理の崩壊と運動不足」として凄腕グルーマーのロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「艶消しマットのプロ用スリッカーブラシ」と「犬用の高品質ドライブシート(ドッグランへの送迎用)」をポチり、自らの神獣にも、毎日の長距離ランニングと完璧な被毛ケアのルーティンを徹底することを固く誓うのだった。
(第150話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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