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■第133話:ガジュマルの精霊・キジムナー! ……えっ、大漁の前に「食品ロス(SDGs違反)」と「換気不足」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……フゥー。最新iPhoneのクラウド管理のおかげで、神界のタスク処理がかつてなくスムーズだ。エコシステム最高だな」


神ドラマスは、以津真天のエピソードから導入した直感的なITツールを使いこなし、超効率的に神の業務をこなしながらモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが南国の暖かな島に立ち寄り、巨大で複雑に根を張った「ガジュマルの巨木」を見上げているところだった。


「ほう! 『い段』の第2弾、『き』の刺客は南国のイタズラ精霊、キジムナーか!」


ドラマスは、トロピカルジュースを飲みながらニヤリと笑った。


「全身真っ赤な子供の姿をした精霊! 魚の目玉だけを食らい、機嫌を損ねれば家を焼き払うという、非常に扱いが面倒な気まぐれ妖怪だ! この自由奔放な南国スピリッツに、ヒナタのガチガチのド正論はどう立ち向かうというのだ!?」


【場所:人間界・南国のガジュマルの森】

「う〜ん、ガジュマルの木は生命力にあふれていて素晴らしいですねぇ! マイナスイオンたっぷりです!」


ヒナタは、四次元リュックを下ろし、南国の風を浴びて深呼吸していた。

カサカサッ……!


「ゆ、勇者殿……! 木の上の枝から、真っ赤な髪をした子供のような化け物がこちらを見下ろしておりますぞ……!」


宰相セバスチャンが、杖を構えながらビクビクと上を指差した。


『……ケケケッ! お前ら、人間だな!』


枝の間から飛び降りてきたのは、全身が赤く、葉っぱの服を着たキジムナーだった。


『俺様はキジムナー! 漁に連れて行ってくれたら大漁にしてやるけど、獲れた魚の「左の目玉」は全部俺様がもらうぞ! あと、俺様の前で絶対にオナラをするなよ! 臭いのが大嫌いだからな、もしやったらお前らの家を燃やしてやるからなァァッ!!』


キジムナーが、ワガママ放題の理不尽な条件を突きつけ、ニシシッと笑った、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、南国の陽気な空気を完全に凍りつかせる「食育指導員&環境省エコアンバサダー(ガチギレ・トーン)」が響き渡った。


『……エッ?』


キジムナーは、ドヤ顔のままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相でキジムナーをビシッと指差した。


「あなた!! 魚の目玉(DHA・EPA)が栄養満点で美味しいのは分かりますが、一番タンパク質が豊富な『フィレ』や『アラ』を全部残して捨てるなんて、完全な『食品ロス(フードロス)』および『持続可能な開発目標(SDGs)違反』です!! 命をいただくという食育の基本が全くなってない!! 極端な偏食ですよ!!」

『しょ、食品ロス……!? SDGs……!?』


キジムナーは、自慢のグルメな妖怪としてのアイデンティティを「ただの偏食と地球環境への冒涜」として論理的に詰められ、赤い顔をさらに赤くした。


「大体、オナラを極端に嫌うその理由!!」


ヒナタは、キジムナーの住み処である、ガジュマルの枝の入り組んだ空間を指差した。


「それはオナラが嫌いなんじゃなくて、あなたの木の上ハウス(住居)の『換気効率』が致命的に悪いせいで、密閉空間にガスが滞留して『硫化水素メタンガス中毒』になるのを恐れているだけです!! 24時間換気システムも導入せずに、ただ『オナラするな!』ってキレるなんて、建築基準法と自己管理の欠如ですよ!!」

『か、換気効率……!? ガス中毒……!? いや、俺様は精霊で……』


キジムナーは、自分の恐ろしい「家焼きの呪い」の理由を、「ただ換気が悪くて臭いのが溜まるから」と見抜かれ、恥ずかしさで身をよじった。


「今日から、徹底的な『魚の全身丸ごと食育プログラム』と『木の上ハウスのシン・換気システム導入』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「魚の骨まで柔らかく煮込める・最新型電気圧力鍋」「SDGs推進・お魚まるごとレシピ本」、そして「ソーラー充電式・屋外用超強力サーキュレーター(換気扇)」を取り出した。


「ゴズさん、キジムナーさんが逃げないように座らせて! ヴァレリアさん、そのサーキュレーターをガジュマルの木の風通しが一番いいポイントに設置して!!」

「ブモォッ!(おう! 食べ物を粗末にするガキは俺が許さねぇぜ! しっかり食え!)」

「ふむ。この巨大な葉の隙間に寸分の狂いもなく風の通り道を作る……風水魔法の真髄だな」

『ナ、何ヲ……!? 俺様ノ目玉グルメガ……!』

「【究極のフードロス・ゼロ&空気清浄・換気効率MAXプログラム】です!!」


ヴァレリアの設置したソーラー式サーキュレーターが回り始めると、ガジュマルの木の間に淀んでいた空気が一気に吹き飛ばされ、常に新鮮な南国の風が循環し始めた。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! 木の上の空気がめちゃくちゃ澄んでる! これなら誰かが下でオナラをしても、一瞬で風に流されていくぞ……! 息苦しさが全くない!!』

「はい、換気ができたら、次は食育です! 目玉だけじゃなく、身も骨も全部美味しく食べるんですよ!」


ヒナタは、電気圧力鍋で魚のアラから身、骨までトロトロに煮込んだ「極上のお魚まるごと・つみれ汁」をキジムナーの前にドンッと置いた。


『……っ!! な、なんだこの濃厚な魚介の旨味は……! 目玉のゼラチン質だけじゃなく、身のフワフワ感と、骨から溶け出した極上の出汁が口の中で一体になっている……! 俺様……こんな美味いものを何百年も捨てていたのか……!!』


キジムナーは、圧力鍋がもたらした「フードロス・ゼロ」の美味しさに感動し、お椀を抱えて大号泣しながらスープを飲み干した。


数日後。

そこには、魚の目玉だけを強奪してオナラにキレる気まぐれな精霊の姿はなかった。


「SDGs」と書かれたマットな質感のエコ・エプロンを着こなし、完璧な換気システムを備えた木の上ハウスから、島の人々に「魚を骨まで残さず食べる、地球に優しいエコ・クッキング」を指導する、「王都認定・持続可能な漁業アンバサダー(キジムナー先生)」として、子供たちに大人気の料理研究家の姿があった。


『ニシシッ! みんな! 魚は命の恵みだ! 目玉も身も骨も、圧力鍋で全部丸ごと美味しくいただくのがエコなんだぜ!』


元・キジムナーは、満面の笑みでつみれ汁を振る舞っていた。


「……ゆ、勇者殿。気まぐれなイタズラ精霊が……『換気効率を改善し、圧力鍋でSDGsを推進するカリスマ料理研究家』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、ホロホロに崩れた美味しい魚の身を味わいながら、王国の食堂にもこの圧力鍋レシピを導入しようと決意していた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、飲み残そうとしていたトロピカルジュースを、氷ごとガリガリとすべて噛み砕いて飲み干した。


『キジムナーが……「目玉だけ食べるのはSDGs違反」と指摘され、圧力鍋で魚を丸ごと食べさせられた……』

『オナラ嫌いは「換気効率の悪さ」と論破され、ソーラー式サーキュレーターを設置されてエコ料理研究家になった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「精霊の気まぐれなタブー」すら「食品ロスと建築における換気不足」として論理的にデバッグしてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「最新型・電気圧力鍋」と「部屋干し用・超強力サーキュレーター」をポチり、自らの神殿での生活から一切のフードロスと淀んだ空気を排除することを固く誓うのだった。

(第133話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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