後日談 バタフライエフェクトの渦
「……眠れなかった」
窓からは日が差し込んでいる。
朝を知らせてくれていた。
「はあ」
結局、恋とは何か分からないまま朝になってしまった。
仕方ないのでコーヒーを飲もうとリビングに行くとそこには三船君がいた。
「おはよう。光さん」
「……うん」
「どうした?元気ないな」
「まあね」
私は少しだけ視線を三船君に向ける。
三船君か佐藤君のどちらかが私のことを好き。
結局、どちらかは分からない。
「ねえ、三船君」
「うん?なんだ?」
私は作ったコーヒーを飲みながら聞く。
「恋ってどういうものなの?」
「は!?」
思いっきり固まる三船君。
「そ、そんなの自分で考えてくれよ」
「分からないから聞いてるんだよ」
そう言うと「うーん」と唸り腕を組み考える三船君。
「そんなに難しいの?言葉にするの」
「そうだな……俺だからかもしれないけど言葉では言い表せないな……」
「本能的ってこと?」
「うーん」
やはり唸るだけの三船君。
「納得するんだよ、恋すると」
「おお、それだ!」
「酒井さん…」
酒井さんは少し悲しげだが暖かそうな目をして言う。
「恋はね、少しずつ育っていって、初めは気づかない。でも、時間がたってある日ふと気づく。そして納得する。恋してるって」
「……つまり無自覚な物なの?」
「そうだけど、そうじゃないかな……」
「??」
私は矛盾しているために困惑していた。
「気付こうと思えば気付けるの。でもなぜかその時は分からないの。恋って不思議な物だよ」
「……そうだな」
この二人が言うと説得力がある。
私は「恋をすると納得する」って言葉を反復させていた。
わからなかった。恋をしているのかすら。
「ごめん。分からない……」
「いいんだよ。今は気付けないものだから、またその時が来れば気付くよ」
「うん…」
外から鳥の鳴き声が聞こえる。
それはまるで私を安心させる静かで優しい鳴き声だった。




