表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斉木光の観察記録  作者: マモシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/9

不思議な女学生

そろそろ、佐藤君の相談事を解決してから数週間が経っていた。

私は相変わらず、特に変わり映えのしない日常を送っている。


「今日は暖かいな……」


窓から差し込む春の日差しは、心地よくて、どうにも眠気を誘う。

春眠暁しゅんみんあかつきを覚えず、という言葉もあるくらいだ。

仕方ない、と自分に言い訳をして、まぶたを閉じかけた、その時。


「斉木さん、ちょっといいか?」


佐藤君の声で、意識が現実に引き戻される。


「うん? 佐藤君、なに?」


「実は……相談があってな」


「また?」


思わずそう返すと、佐藤君は苦笑した。


「ああ。今回は俺のことじゃないんだが……頼れるのが斉木さんしかいなくて」


「役に立てないかもしれないよ?」


「それでも構わない。今のままだと、どうにも手詰まりだからな」


その言葉に、私は小さく息をつく。


「……分かった」


「ありがとう。今日の放課後、前に行った喫茶店でいいか?」


「了解」


こうして私は、また相談に巻き込まれることになった。



放課後。


「……で、どうして酒井さんも一緒なの?」


喫茶店の席に着くと、私の向かいには佐藤君と、その隣に酒井さんが座っていた。


「実はね、相談を受けたのは私なの」


「相談を?」


「うん。私の友達からでね。それを彩人に話したら、斉木さんなら何か分かるかもって」


なるほど。

間接的な相談、というわけか。


「すまないな」


佐藤君は申し訳なさそうに頭を下げる。


「気にしないで。話を聞くだけだから」


「そうか。ありがとう」


本当に、律儀な人だと思う。


「それじゃあ、本題に入るね」


酒井さんは、少し言いにくそうに話し始めた。


「私の友達のクラスに、不思議な子がいるの。昼休みになると、必ずトイレに行く子がいてね」


「トイレ?」


「うん。そのまま昼休みが終わるまで、ずっと出てこないの」


「……ここまでなら、便所飯で片づけるところだな」


佐藤君が呟く。


「でも、その子ね。友達の昔からの友達なんだけど、そんなことをする子じゃなかったの。心配になってお昼に誘っても、必ず断られるし、放課後も急いで一人で帰っちゃうみたいで……」


「本人には聞いた?」


「聞いたよ。でも、はぐらかされるだけで」


「意味不明だろ?」


私は少し考えてから、口を開く。


「じゃあ、情報を整理しよう」


二人がこちらを見る。


「まず、その子には“人に知られたくない何か”がある」


「うん」


「それから、昼休みは必ずトイレ」


「そう」


「放課後は急いで一人で帰る」


「間違いない」


「トイレには弁当を持って行ってる?」


「うん」


となると、便所飯は確定。

でも、理由が分からない。


「いじめは?」


「それはないみたい」


「友達とのトラブルも?」


「それもない」


前までは普通に仲が良く、昼休みと放課後以外は問題なし。


――おかしい。


私は、ある一点に意識を向けた。


(問題は本人じゃない)


そう、問題があるのは――


()()()()()()()()()


ここまで情報が揃えば、答えは一つだった。


私は、静かに確信する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ