あの場所でもう一度[観察・解決]
「狭いところだけど、どうぞ」
「お邪魔します」
私は佐藤君を家にあげる。
友達を入れたのは初めてで心配になる。
「こっちが私の部屋だから中に入って待ってて」
「お、おう」
そうして佐藤君に部屋で待ててもらう。
その間に飲み物や茶菓子を準備して部屋に向かう。
「ごめんお待たせ」
「い、いや。大丈夫だ!」
「どうしたの?」
「い、いや、女の子の部屋は初めてで緊張してる……」
「酒井さんの部屋に入ったことないの?」
「み、美幸はノーカンだ」
あまりの発言に少し怒る。
「それは酒井さんに失礼」
「は、はい!すみません!」
そうして改めて相談を聞く体制に入る。
「で、今回はどうしたの?」
「……なんというか…」
ここで佐藤は考えていた本人に言うべきか仮にたとえ話でもなんといっていいか。
友達の話?いや、微妙に違う気がする。
佐藤は自分の中にある出来る限りの言葉を探す。
「……気になっている人がいるんだ…」
「それって異性にってことだよね?」
「……ああ」
私は内心いずれ出来るのではないかと思っていたので驚きはなかった。
なぜだか分からないが少し寂しく感じた。
友達が取られる気がしていたのかもしれない。
「で、どうしたの?」
「……その子が年上の男の人と食事に行ったりしてたんだ」
佐藤はホテルのことを言えなかった。
勇気がなかったのだ。真実を知るのが怖かった。
「うーん。それは本人には確認したの?」
「えっと、怖くてできてない」
「……そう」
そう言って考え込む。
そうしてやることを明確にする。
「そうだね。まず整理しようか」
「…ああ」
「その子は普段からそういう風な行動をしていた?」
「いや全く。気配もなかった」
「じゃあ、まだ付き合ってるって確定したわけじゃないね」
まずは未確定なことを確認。
「つぎだけど、その子はその人といるときどんな感じだった?」
「えっと、たしか無表情だった気がする」
さらに付き合ってる可能性その他もは低くなった。
「最後だけどその子は制服だった?」
「うん?それってどういう意図の質問だ?」
私はコーヒーを飲み机に置く。
「あのね、もしやましいことがあるなら制服では普通は来ないと思うんだ。だから決定打にはならないからそれだけで判断はしない方がいいと思う」
「なるほど…確かに制服だった」
ここで確定するおそらくそれは勘違いの可能性が高い。
「少なくても今の情報だけだと付き合ってるって断定は出来ない」
「……」
佐藤君は黙ってしまう。
私は相変わらず何もできない。でもそれはいやだった。
だからすべて言葉で励ましたかった。
「佐藤君はその子のことがそれだけ好きなんだね?」
「え?」
「だってそうでしょ?そこまで悩んで考えている。人はそうそう簡単に他人のことをそこまで考えない。だからその子は幸せだよ」
「斉木さんでもそう感じるのか?」
「え?私?」
まさか自分のことを聞かれると思っていなかったので答えられず固まっていた。
「ただいまー!」
そうして固まっているとお母さんが帰ってきてしまった。
「あれ―光―誰か来てるの?」
お母さんが扉を開ける。
「あら、お邪魔だったかしら?」
「違うから、誤解だよ」
「あら、光にしては少し早口ね?」
動揺を見抜かれていた。
「あの、俺佐藤彩人って言います。光さんのクラスメイトで友達です」
「あら!あら!最近噂の佐藤君ね!」
「うわさ?」
「ええ、よく話に出てくるのよ!」
これ以上余計なことを言わさないために話の方向を変える。
「お、お母さん!それよりあいつと会ったよ!電話したでしょ!」
「……なんて?」
「」
お母さんの顔が鬼の形相になる。
いつもあいつの話の時はこの顔だ。
「いつも通りだったよ。レストランに連れていかれて最後は泊ってるホテルに連れていかれてお小遣いを渡してきて母さんによりを戻してくれって」
私の言葉に佐藤君は肩が上がっていた。
何となく察されてしまったのだろう。
「呆れた人ね……」
「えっとあいつって?」
「え?気付いてたんじゃないの?」
「いや」
じゃあさっきの反応はなんだったのだろう?
まあいいかと、思って話を続ける。
「あいつってのは私の元お父さんのこと。今でもお母さんとより戻したくて私にかまってくるんだよ」
「……」
佐藤君は黙ってしまう。気のせいじゃなければ顔が少し赤い気がする。
「あの……これで俺は失礼しますね」
「あら、ご飯食べていっていいのよ?」
「いえ、ご迷惑になるのは悪いので」
そう言って急ぎ気味に佐藤君は帰っていく。
そのドアが閉まる音はやけに大きく聞こえた。
「光あなた狙った獲物は逃がさないのよ?」
「獲物?なんのこと?」
「はあ、この子ったらそんな面はあの人に似てるんだから……」
そうして無事?相談は解決?になったはず。
ただ私の胸の奥は静かではなかった。




