バレンタイン狂騒曲2 [観察・解決]
「佐藤君ラブレター読ませてくれる?」
「あ、ああ」
佐藤君からラブレターを受け取る。
私は手紙を開き中を見る。
放課後校舎裏で待ってます
ただその一言だけのラブレターだった。
「これは……」
私は口元に手を持っていく。
「なにかわかったのか?」
三船君は心配そうな目線で聞いてくる。
「……一つだけね」
「何が分かった?」
私はみんなに視線をやって言う。
「これはおそらく告白が目的じゃなかったってこと」
みんなが息の飲む。
「ど、どういうことだ?」
「あのね佐藤君。この文は少なくても情報が少なすぎるし曖昧なの」
「情報?曖昧?」
「うん。まずどこにっていうのが曖昧この学校は校舎裏は二個ある」
「旧校舎と新校舎だね」
「そう、酒井さんの言ったとおり二つあってこの文だとどちらか分からない。だからみんな普通は佐藤君みたいに新校舎の方に行く」
「そうだな」
だからこの文には人が意図的に考えてそうした痕跡があると思う。
「それにほかの情報も少なすぎる」
「確かにラブレターなら最悪、誰からとか伝えたいことがありますとか何かほかにも書かれていても不思議じゃないね」
「うん、だからこのラブレターは告白のほかに目的があったんじゃないかって思ったの」
「なるほどな…」
ただここまでだと言い切るのは難しい。何かもっと根拠がある程度あることが必要だ。
私は思考を加速させる。
「ねえ、佐藤君その子たちはなんて言って怒ってたの?」
「たしか、私はこの子と待ってたのにきてくれなかった。この子もあなたのことが好きだったのに見損なったって…」
「佐藤君はその子たちに何て言ったの?」
「いや、喋らせてくれなかったよ」
つまり私が見ていた通りに一方手に責められたってことだな。
だが一つ引っかかっていることがある
「ねえ、その会話の相手ってラブレターをくれた子だったの?」
「え?いや、たぶんその友達が全部喋ってたな」
「……なるほどね」
私は指でペンを回す。
「何か分かったんだな?」
「うん。仮定だけど」
私はペンを机に置いて話し出す。
「今回もあの日と同じ壊したくなかったんだよ」
「「え?」」
三人の表情が固まる。
私は平坦な声で言う。
「友達でいたかったんだよ。その子の友達は」
「どういうことだ?」
「うん。全然わかないよ」
「あのね、佐藤君思い出してほしいんだけどね。その子の友達は言ってたよね。言葉は違うけど「私も好きです」って」
「え?」
佐藤君はこめかみに手をやり考え出す。
だがそれより先に三船君が答えを言う。
「「この子もって」言ってたとこだな?」
「うん、正解だよ。三船君」
佐藤君は呆気に取られていた。
「え、じゃあ二人とも俺が好きだったってことなのか!?」
「そう、で、ラブレターの不思議な内容はそれにつながっているの」
私はノートにラブレターと同じような内容を書いていく。
「見て分かると思うけど、これならすれ違いが怒っても不思議じゃない。それに宛名も書いてないこれだけのラブレターだと直接返しに行くこともできないし佐藤君は無視するか書いてある場所に行くしかない」
「ああ、そうだな」
「で、ここで重要なのは二人の好きな人が一緒だと言うとこなの」
「それがこのおかしなラブレターの内容と結びつくの?」
胸が少し痛んだ。こんなやり方をするくらい友達は追い詰められていたんだ。
「このラブレターの目的は一つ。佐藤君を悪者にしたかったの」
「え、何でだ?」
私はノートに二つ書いた。すれ違う。無視をして約束の場所に来ない。
私はこの二つを指さす。
「この二つどちらに転んでも目的は達成なの」
「つまり…俺が行っても行かなくても嫌われるってことか?」
「そう、佐藤君を悪者にして二人の仲を維持させるってこと」
「……なるほど」
「そういうことだったのね」
三船君と酒井さんは分かったみたいだ。
「何でおれを悪者にすると二人の関係が維持されるんだ?」
「佐藤君。友達が自分と同じ人を好きになったとき、もし友達との関係維持を望むなら一番は身を引くことだと思う。でもそれも嫌ならどうする?」
「……まさか」
「うん。好きな人を悪者にして二人とも嫌いになってしまえば問題ないってことにもできるよね」
「そんなやり方おかしいだろ!?」
「うん……でもね、人は感情を持ってるんだ。複雑で制御が効かないものをね」
「……」
佐藤君は私の言葉で黙り込む。
「俺にはわかんねーよ……」
私達の周りだけ音が声が遠く聞こえていた気がした。
ただ、佐藤君のつぶやきを残して。




