甘酒の匂い香る謎[違和感]
「寒い……」
私は寒い中みんなを待っていた。
一人だと余計に寒く感じていけない。
「斉木さん!」
「酒井さん」
二人で顔を見合わせて言う。
「「明けましておめでとう」」
二人のタイミングが合いくすくすと二人で笑い合う。
今日はみんなで初詣になっている。
「お、もう二人とも来てたのか」
「すまん。遅くなった」
少し遅れて佐藤君たちもやってきた。
「大丈夫。私も今来たとこだよ。それより斉木さんが一番早かったから」
「すまない。大丈夫か?」
三船君が心配そうに聞いてくる。
「うん。大丈夫。これもあるしね」
そういって手袋を見せる。
「使ってくれてたのか?」
「せっかくもらったし、私緑好きだから」
あと、すごく心配そうにしていた三船君を思い出したからとは言えなかった。
「……ありがとうな」
「うん」
「俺もしてるぞ!」
そういって佐藤君も私があげたマフラーをしていた。
「ありがとうね」
「おう!」
「俺も着てきた」
そう言って上着を軽く脱ぐとそこには酒井さんがあげたセーターがあった。
「わあ!ありがとう!三船君!」
「お、おう」
好きな人に喜んでもらえて満足げな三船君。
なんだか心が温かくなる光景だ。
「さあ、行こうぜ!」
「うん」
そうして私たちは神社の奥に進む。
「お!甘酒配ってるぞ?」
「あ、ほんとだ!」
佐藤君と酒井さんが声を一段明るくして言う。
「みんないるか?」
「わたしほしい!」
「おれはいい」
どうも三船君以外はいるらしい。
「斉木さんは?」
「私もいるかな」
そう返事する。
「じゃあ取りに…」
「ちょっと待ってくれやっぱり俺もいる」
「うん?雄一甘酒苦手じゃなかったか?」
「あ、ああ。でも子供の時の話だからなもしかしたら好きになってるかもしれないだろ?」
「そうだな。分かった!」
「私も行くよ!」
そういって佐藤君と酒井さんは二人で取りに行った。
「よかったの?」
「……うん?何がだ?」
すこしぼーとしていたのか返事が遅れてくる。
「えっと、甘酒飲めないんじゃないの?」
「ああ、子供のころの話だって言っただろ」
まあ、年を取れば味覚も変わると聞くし、そうかもしれないが気になって聞く。
「でも、何で飲む気になったの?」
「そ、それは……内緒だ」
「なんで?」
「内緒だからだ」
「そ、そう」
頑なに言わない。
まあ、みんな飲んでいたから飲みたかったのかもしれない。
そう納得して私は気にせず他の話題に切り替える。
「お待たせ……」
酒井さんと佐藤君が帰ってくる。
だが様子がおかしい。
二人とも手にはコップが一つしかなかった。
「どうしたの?」
「それがね、甘酒をもらいに列に並んでいたんだけど順番が来たら巫女さんにお連れの方は未成年か聞かれてね。それで「はい」って答えたらそれなら2つまでですって言って2つしかもらえなかったの」
「理由は聞いた?」
「それが忙しそうにしてたから聞けなかったの」
確かに不思議な話だった。何で酒井さんや佐藤君がもらえて私と三船君だけ年齢チェックが入ったのか。
「俺の斜め前にいた子供は何も聞かれてなかったんだよ」
「そうなの。だから余計不思議で…」
私は手を口元にやる。
「もう少し情報が必要だね」
「そうみたいだな」
三船君も賛成みたいだ。
「ねえ、三船君」
「うん?なんだ?」
「一緒に甘酒をもらいについてきてくれる?」
「ああ、分かった」
まだ謎にはたどり着けない。
まるで冬の寒さに隠されたように。




