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斉木光ノ観察記録  作者: マモシ
一年生編

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渡せないプレゼント2 [観察・解決]

私はレシートの内容を改めてみる。

そこには雑貨と服飾雑貨を買っていることが示唆されていた。


「雑貨はハンカチで問題ない。問題は服飾雑貨か……」


服飾雑貨。つまりマフラーなどの身にまとうものだ。

だがそれなら何で渡せなかったんだ?

私に疑問は強くなる。


「ただいまー」


思考しているとみんなが帰ってきた。私は慌てて元の位置に戻る。


「おかえり」

「ああ、外は寒かった」


そうしてみんな上着を脱ぎ座る。


「あれ少し?少し片付いてるね。斉木さんがやってくれたの?」

「う、うん。手持無沙汰だったから」


その瞬間目線を感じる。

目線を先を確認すると三船君と目線があった。

三船君は顔を赤くしてすぐに顔を逸らす。


「うん?雄一顔が赤いぞ大丈夫か?」

「あ、ああ」


その顔を見て一つの仮定が私の中で出来た。


「ねえ、佐藤君ちょっと」


私は小声で佐藤君に声をかける。


「うん?なんだ?」

「予想なんだけど、たぶん三船君酒井さん用にプレゼント買ってたみたい」


佐藤君は目が大きく開きばれないように小声で聞く。


「それで、どうしたいんだ?」


話が早くて助かる。


「できれば二人っきりにさせたいの」

「なるほどな。分かった」


そうして佐藤君は動き出す。


「すまん。俺買いたかったお菓子買ってなかったからまたコンビニ行ってくるな」

「私も買いたいもので来たからついていくね」


そうして二人で外に行こうとすると三船君が立ち上がる。


「俺も行く」

「へ?」

「三船君はここで待ってていいんだよ?」

「いや、俺も行く」


頑なだった。

さすがに二人っきりはきついか。


「そ、そうか。じゃあ行くか」


そうして私たちの作戦は見事に失敗した。

「うーん」


佐藤君は嘘ついて出てきていたので商品を選ぶのに時間がかかっていた。

「私外で待ってるよ?」

「ああ」


私はコーヒーを飲みながら待っていた。

すると三船君だけが出てきていた。


「なにも買わないの?」

「なにも買う予定じゃなかったからな」


会話はそれっきりで静かになる。


「気を遣わせたな」

「え?」

「俺の為に二人っきりにしようとしてくれたんだろ?」


私は純粋に驚いていた。

三船君はまっすぐで勘のいい方じゃないと思ってたから。


「意外か?」

「す、少し」

「まあ、俺も斉木さんとはよく最近一緒にいるしな少しは考えるさ」

「おお!」


人は成長する。を見た瞬間だった。


「なんか失礼なこと考えてないか?」

「……気のせい」

「……」


抗議の目がこちらに向いていたが、無視した。


「はあ、まあいいか」


三船君は許してくれたのか上を向き息を吐く。


「正直未練はあるよ」


誰のことか言わずともわかる。


「でも、俺も前に進もうとしている。だから心配しなくていい」

「ごめん。余計なおせっかいだった」

「いや、いいんだ。あれ見たんだろ?」

「……」


私は肯定も否定もしなかった。


「俺が気を付けるべきだったなすまない」

「い、いや、あれは勝手に見た私が!」

「斉木さんは優しいだけだ。だから俺を気遣ってくれたそれだけだ。だから気にするな」


私はまたやってしまった。。


「何を考えているかは知らないが、それは違うぞ」

「え?」

「優しい人だから気付くし優しい人だから放っておけない。それは悪意でも害でもない。純粋な優しさで斉木さんの長所だ」

「!?」


そんなことは初めてだった。

今までそんな風に言われたことなんてなかった。


「ありがとう……」

「ああ」


そうして二人の会話は終わりそこには風の音しか残らない。


「さむい……」


私は無意識に手を口元に持っていく。


「ならこれ使ってくれ」

「いいの?」


差し出されたのはハンカチと同じ緑色の手袋だった。


「ああ、かまわない」

「……ありがとう」


私は手袋をはめる。


「暖かい……」

「……そうか」


ただ外は寒いはずだが、二人の間は暖かい空気が確かにあった。


「おお、おまたせ!」

「うん。大丈夫」

「遅いぞ。斉木さん寒いの苦手なんだから気を付けろ」

「悪い、悪い」


佐藤君が私の手を見る。


「あれ、それ?」

「ああ、俺があげたんだ」

「!?」


佐藤君は何かに気付きただ一言いう。


「そうか……帰るか」

「うん」


そうして私たちは三船君の家に戻った。


「おかえりー」

「おお、寒かった」

「あれ、それどうしたの?」


酒井さんも私の手袋に気が付く。


「ああ、俺が日ごろの感謝でプレゼントしたんだ」

「わあ、よかったね!斉木さん!」

「うん……」


もともとは酒井さん用だったので何とも言えない気持ちになる。


「三船君はハンカチも緑だったけど緑好きなの?」

「あ、ああ」


これは私と同じで店員さんに聞いた感じかな。


「私、も緑は好きだよ!一番は青色だけどその次に好きな色なんだ!」

「前も行ってたな?」

「うん!」


あれ、酒井さんの好きな色を考えて買ったのかな。

でも、なら何で青色買わなかったんだろう?


私は少し考えて納得する。

ああ、そうか。気持ちを気付かれないように微妙に逸らしたのか。


「じゃあ、俺の熊よりハンカチの方がよかったな」

「うーん。悩むとこだけど、熊でいいかな」


そういって私を見る酒井さん。


「だって、緑は斉木さんの方が似合ってて可愛いから」


にっこり笑いながらそう言う。


「似合うの?」

「うん!とっても似合ってるよ。そのハンカチも手袋も!」

「あ、ありがとう」


なんだか私用じゃなかったのに申し訳ない。


「ね、三船君!」

「あ、ああ」


ああ、見るからに気まずそうだ。

私は苦笑いをする。


それを見て三船君が聞いてくる。


「やっぱり気に入らなかったか?」

「え?そんなことない。気に入ってるよ」

「そうか……」


そんなに自分の選んだものに自信がなかったのか。


「大丈夫だよ。とってもあったかいし私も緑好きだから嬉しいよ」


私は酒井さんに渡してても問題なかったと安心させるために少し笑顔で言う。


「あ、ああ」


その顔には少し元気が戻ったような気がする。


「ああ、俺もいいセンスだと思うぞ?」


佐藤君も援護してくれる。


「彩人から見て言いなら問題ないな……よかった」


その顔には完全な安心があった。


さすが親友だ。私では出来なかったことだ。

そのことに少し胸が痛い。


「ふふ、良かったね。三船君」

「ああ」


その顔にはとても静かだが確かな達成感があった。

プレゼントを渡すことはできなかったが、これなら一安心だ。


「じゃあ、そろそろ解散にしようか」

「そうだね」


時計を見るともう19時になろうとしていた。


「じゃあ俺は美幸を送るから、雄一は斉木さんのこと頼む」

「ああ。分かった」


そうして私は三船君に送られることになった。


「寒いね?」

「ああ。一段と寒いな」


そうして会話は終わるが不思議と嫌な雰囲気にはならない。


「なあ、斉木さん」

「うん?」

「手袋ほんとに嫌じゃなかったか?」

「うん。全然嫌じゃないから安心して」


それを聞いて少し顔が柔らかくなる三船君。


「すまないな」


おそらくプレゼントを押し付ける形になっていると感じてしまっているのだろう。

三船君は謝ってくる。


「気にしないで私手がよく冷えるから助かった」

「ああ、よく手を口に持っていくことが多いものな」

「そうだね。三船君よく見てるね?」

「まあ、そろそろ長いからな斉木さんとも仲良くなって」

「そうだね」


そうして二人は少しの会話と沈黙を繰り返しながら私の家の前に着く。


「ここだからありがとう。三船君」

「ああ、気にするな。おやすみ。斉木さん」

「うん。おやすみ」


そうして私は三船君と別れた。

その胸には今日の温かい思い出が確かに心に刻み込まれた。


三船家


「ちょっと!雄一」

「なんだよ。かあちゃん」

「渡せたのプレゼント例の子に」

「……」


雄一はそっぽ向く。


「その感じ渡せたのね?」

「……ああ、そうだよ」

「よかったわね!もうあんたしつこかったからね。「いきなり友達からプレゼントを渡しても気持ち悪くないか」って」

「……」


雄一は何も言えず黙り込む。


「まあ、よかったよ。わざわざ似合う色を考えて買ったかいがあるわね」

「……そうだな」

「ふふ、喜んでもらえたのね?」

「……」


ただ、否定も肯定もしないまま、雄一は小さく笑っていた。



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