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斉木光の観察記録  作者: マモシ
一年生編

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19/30

破かれるドレスと破れる恋[解決]

「な、何で……」


女子生徒は慄き固まっていた。


「この時間に再度侵入して予備の衣装もダメにする気だったんですよね?」

「!?」


女生徒の肩が大きく跳ねる。


「待て待て!その前にこの人は一体誰なんだよ!?」

「三上先輩だよ」

「え?」


佐藤君は信じられないと言った表情で先輩の顔を凝視する。


「ほ、本当だ……」

「化粧を落とせば顔がある程度変わるけど、美人だからこそ凝視すればその整った顔には見覚えがある」

「化粧って怖いな……」


佐藤君は別の意味に戦慄している。


「……何で分かったの?」

「先輩以外は動機がありませんから」

「ほかの参加者の可能性もあったじゃない?」

「このやり方に最適なのは先輩だったんですよ」

「……どういうこと?」


私は視線を先輩の顔に集中する。


「先輩は美人です。でも酒井さんとは違う。化粧映えのする美人さんです。だから化粧を落とせば大幅に印象が変わる。それを利用すればある程度全くの別人になれる」

「……」


先輩は肯定はしない。だが否定もしなかった。

それを見て私はそのまま話し続ける。


「そうしてうちのクラスの生徒に成りすまして担任以外の先生しかいないときに鍵を回収。密かに衣装を破り鍵を戻したと言う事ですね」


先輩は大きなため息を吐く。


「……悔しかったのよ」

「………何がですか?」

「ふ、佐藤君に聞かれると調子が狂うわね」


先輩が顔を下に向け影が先輩を覆う。


「酒井さんはずるいわ。何もしないであなたの隣を手に入れた……別れはしても距離が出来たわけじゃない。それに比べて私は一生懸命自分磨きをして自分に自信が持てるようにしてきた」

「……先輩」


佐藤君の目には同情の色があった。


「酒井さんも先輩とは方向は違っても努力はしてたはずです。だからそれは少し違います」

「ええ、分かってるわ……でも!」


先輩は悲痛な声をあげる。


「それでもずるいじゃない!私と彼女ではスタートすら違う!幼馴染になれるかなんて運としか言えないわ!努力ではどうにもできないじゃない!」


先輩の言葉に私は思い知らされる。自分が綺麗ごとを言っていたことを。

私が何も言えずにいたら佐藤君が代わりに答える。


「……その通りですね」

「え?」


佐藤君が先輩を肯定する。


「そう思うわよね!」

「ええ、まったくもってその通りです。先輩はずるいです」

「……え?」


先輩の顔には光がなくなっていく。


「たしかに美幸は俺の幼馴染に偶然なりました。だけどなってしまったとも言えるんです。だって俺が分かれた理由は幼馴染だったからなんですから」

「そ、それでももう一度付き合えるかもしれないじゃない!?」


静かに首を横に振る佐藤君。


「別れて再確認しました。やっぱり俺には美幸を彼女とは見れません」

「そんなのいつか変わるかもしれないじゃない!」

「ええ、でも美幸は少なくても今は幼馴染だからこそ困っているんです。でも先輩は偶然、幼馴染ではなかった。それは運だしずるいですよね?」

「!?」


先輩のは膝をつき視線を地面に向ける。


「……俺先輩の努力しているところ好きでした。だからまっすぐ向かってきてほしかったです……」

「あああああああーーー」


先輩の叫びは廊下に響き人が集まってきた。


「どうした!?」


クラスメイト達が集まってきた。


「この人が衣装を破った犯人だよ」


そうして三上先輩は先生に連れていかれて行った。


「……」


私は三上先輩の言葉を思い出していた。そして改めて私は自分が綺麗ごとだけで先輩を罰しようとしていたことに吐き気が催す。


「大丈夫か?顔真っ青だぞ?」

「……私綺麗ごとだけで先輩に怒ってた。人の感情のことを何も考えず……」

「確かに才能や運をなかったことにするのは綺麗ごとかもな」


その言葉は一層重く心にのしかかる。


「でも、今回のことで改めて斉木さんは認識した。だから大丈夫だ。それに俺は嬉しかった」

「え、なんで?」

「だって斉木さんはいつも冷静で達観していた。なのに今回そんなことを失念していたくらい美幸のことで怒ってくれてたってことだろ?それが嬉しかったんだ」


空には太陽が光を増して輝いていた。


「だから、言っただろ?斉木さんは優しい人だってな」


佐藤君はにっこりと太陽な笑顔を私に向ける。

それにつられて私も少し笑ってしまう。





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