夏祭り後編[解決]
私は順序を整理して説明する。
「まず、怪獣白。これはそのままの意味だったんだ」
「白い怪獣ってことか?」
「うん」
そうして私は雑多の中にいる子供の白い風船の怪獣を指さす。
「なるほどな。でもほかは違ったのか?」
「正しくは勘違い」
「勘違い?」
私は一息入れて言う。
「緑の仮面ライダーも赤いスーパーマンもあってはいたんだよ。ただそれは風船じゃなかったんだ」
「??」
「私は無意識に考えていたけど、子供は箇条書きみたいに言葉を出していただけだったんだよ」
私は指をさす。そこにはお面屋さんがあった。
「緑の仮面ライダー……赤いスーパーマン!?」
「その子は風船のことではなくてお面のことを言ってたのか!」
「その通り」
佐藤君はまだ何か気になるのか、しきりに頭をかいていた。
「でも、どうやって母親がそんなの持っているって分かったんだ?」
「風船はつけてたんだよ。お面を」
「ああ、そういうことか!」
子供の言葉を思い出す。ぷかぷか…そうか、みんな浮いていたのか。ようやく謎が一つ解けて、胸のもやもやが少し薄れる。
「子供の言葉は難しいな」
その笑顔は少し暖かく感じられた。
「そうだね」
私も心臓の早鐘がゆっくり落ち着くのを感じながら答える。
「何の話?」
酒井さんが間に入って聞いてくる。
「おお、聞いてくれよ!」
「なんだ?なんだ?」
三船君も加わり、佐藤君は自分のことのように説明しだす。
「どうだ!斉木さんはやっぱりすごいよな!」
「何でお前が自信満々なんだ?」
「そのとおりね」
酒井さんも呆れて言う。
「いや!俺が初めに斉木さんと会ったし!」
「それは関係ないのでは?」
私もつい勢いで突っ込む。
「はい……」
佐藤君の肩ががっくり下がる。私は少し笑ってしまった。
「それより花火始まっちゃうよ!」
「おい!そんな急がなくても!」
酒井さんが佐藤君の手を握って走り出す。三船君も焦って追いかける。
私はしばし迷ったけど、自然と笑みが浮かび、後を追うことにした。
人混みの熱気、屋台の明かり、風に乗るかすかな匂い。全てが現実だと感じられて、胸が小さく高鳴る。
二人の後ろ姿はまぶしく、私の心まで光で満たされるようだった。
「ほら!斉木さんも!」
「え!?」
酒井さんに引っ張られ、私はその流れに身を任せる。
不安や迷いは、もうどこか遠くに消えていた。




