用具室の鍵の謎と名前のない感情2 [観察・解決]
「それってどういう事なんだ?」
私は一息つき答えを言う。
「先も言ったように好きだったの」
「え?ほんと?」
「たぶんね」
二人の空間に氷が解ける音がした。
「で、でも鍵の件はどういう事なんだ?」
「あの子言ってたでしょ?先生に用事があるってだから返しておくって」
「あ、ああ」
「あれはおそらく先生と長くいたかったからだと思う」
「なるほど。じゃあ朝早かったのもか?」
「うん。そうだと思う」
佐藤君はまだ何か引っかかっているようで考え込んでいた。
「まだ何か気になることある?」
「えっと、じゃあ毎朝花壇にいなかったり鍵がかかっていたのは何でだ?」
「ああ、それはね毎朝、先生について朝の見回りをしていたからだよ」
「見回り?」
「うん。職員室で聞いたんだけど、担当の先生はいつも異常がないか毎朝見回りをしているらしいの」
職員室で聞いた話はそこまでだったけれど、彼女の行動はそれにきれいに当てはまっていた。
「なるほどな」
次こそは納得したのかすっきりした顔になっていた。
「好きだったのか……俺にはまだ恋愛の感情は分からないけど。好きって感情は分かるから仕方ないなって思える」
「酒井さんや三船君のこと?」
「ああ、それに斉木さんもな」
私はその言葉に肩の力が抜ける。
そう、まるで小さいころ友達と楽しく遊んでいたときのような。そんな感覚だった。
「私も?」
「そうだろ?こんなに一緒にいて話すし俺は友達だと思っていたけどな」
私はなんだか体がかゆくなりそっぽ向く。
「ははは、斉木さんもそういう顔するんだな」
笑いながら佐藤君が楽しそうに言う。
「私だって人間だから」
「そうだな」
この時、私は自分の中の何かがすんと落ち着いた。
それはまだ何か分からないけど名前のない感覚だけが残っていた。
「うん?どうした?」
私は首を振る。
「なんでもない。それよりポテトしなしなだよ?」
「げ!?最悪だな」
少しがっかりしてむしゃむしゃ少しづつポテトを食べる佐藤君を見て私はついにやけてしまう。
「なんだよ?」
「ふふ、いやなんかまるで怒られてしょぼくれている犬みたいで」
私は笑いをこらえられず少し笑ってしまう。
「俺は犬なのか?」
「だって髪の毛ふさふさで気持ちよさそうだし」
「……」
次は佐藤君がそっぽ向く。
そんな彼を見て自然と言葉が口から出る。
「ねえ」
「なんだよ?」
「私、また遊びに行きたい」
その言葉に少し佐藤君は驚いてすぐに笑顔になり言う。
「おう!」
そんな二人を暗示するかのように窓から差し込む光が、テーブルの上で静かに揺れている。




