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斉木光の観察記録  作者: マモシ
一年生編

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12/21

用具室の鍵の謎と名前のない感情[違和感] 

こんばんわ!

今回も作者的に続けて読んでほしいため二本立てです!

どうぞお楽しみください!

「おーい。斉木さん」

「おはよう、佐藤君」

「ああ、おはよ」


今私の学校は夏休みだ。

だが今日は学校に来ていた。

なぜなら私と佐藤君は美化委員に入っていて花壇の水やり当番だからだ。


「まずは用具室のカギを取りに行こう」

「うん」


そうして私たちは用具室のカギを取りに職員室に行った。


「鍵?もう別の生徒に渡したぞ?」

「え、そうなんですか?」

「ああ、朝早くに来ていてな。熱心な生徒ね」

「なるほど。分かりました」


そうして私は職員室から出る。


「うん?カギはどうしたんだ?」

「先に来ていた子がいるみたい」

「誰もいなかったとも思うたんだけどな」


私たちは職員室に行くまでに念のために花壇も確認したんだが、誰もいなかった。だからこうして職員室まで来たのだが、不思議だ。


「まあ、お手洗いにでもいっていたのかもな」

「うん」


よくある話だとその時は納得した。


そうして花壇に向かうとすでに何人か来ていて水やりや雑草抜きなどをしていた。


「出遅れたな」

「そうだんね」


私たちは続くように仕事を開始する。


「はあ、やっと終わった」

「終わったな」


周りを見るとそこには誰もいなかった。


「仕方ないな」

「仕方ないね」

「そういえば用具室のカギはどうすればいいんだ?俺達は持ってないしな」

「確かに」


そうして二人で困っていると一人の女子生徒がこちらに近づいてきて声をかける。


「ごめんなさい。私、先生にまだ用事があるから鍵は私が返しておくから気にしないでください」


「ああ、ありがとう」

「ありがとうございます」

「いえ」


そうして女生徒は立ち去っていく。


「なんか悪いな」

「用事があるって言ってたし気にしなくていいと思う」


佐藤君はほんとに情に厚い人だ。

気にしないでくれって言っていたのにここまで気にするんだから。

人の好さがにじんできている証拠だな。


そうしてその日は解散となった。


一週間後。

また当番の日になった。


「おはよう。佐藤君」

「おう、おはよ斉木さん」


私は佐藤君と合流してまず、花壇に向かう。

すると誰一人もいない。

用具室の鍵も空いてなかった。


「今日こそ大丈夫そうだな」

「うん。鍵取りに行こうか」


そうして職員室に行く。


「鍵はもう渡したわよ?」

「え、誰か来ていたんですか?」

「そうよ。朝早くから来ていて担当の先生の手伝いをしていたわよ?」

「そうですか。すみません。それで少し聞きたいことがあるんですが」

「うん?なにかしら?」

「はい」


先生から話を聞いた私は呼吸が詰まる。

そうして職員室を出ると薄暗い廊下が私を迎える。


「おいおい。まさかまたなのか?」

「うん。もう取られてたみたい」

「おかしいな」


そうして花壇に行くと前と同じような状況だった。

他の生徒たちはすでに仕事に入っていた。


「これは同じパターンだね」

「……そうだな」


仕方なく仕事に取り掛かる二人。


「終わったーー」


日陰の位置はもう朝とは違っていた。


「お疲れ様」

「斉木さんもな」


そうして少し休憩していると二人のもとに前と同じ女子生徒がくる。


「お疲れ様。鍵は私が返しておくから二人は休憩が終わったら帰っていいよ」

「え、悪いよ。俺達が返しておくから帰りなよ?」

「いいの。私まだ先生に用事があるし」

「そうか、わかった。ありがとう」


そうして女子生徒は去っていった。

彼女の軽い足取りで歩いていく後姿に目が離せなかった。


「なんか二回連続で悪いな」

「用事があるらしいからしょうがないよ」

「まあそうだな」


しぶしぶ納得する。佐藤君。

そうして解散しようと校門に向かっていると、さきほどの生徒と美化委員担当の若い男性の先生が一緒に歩いていた。


彼女は、さっきまでとは違う表情で、

少しだけ顔を上げて話していた。


先生の声が、いつもより少し遠く聞こえた。


私は言葉を飲み込み帰ろうとする。

あの熱を帯びた目線を知っていたから。


「じゃあね。佐藤君」

「ちょっと待って斉木さん」

「うん?なに?」

「一緒に昼ごはん食べない?」


私は一瞬何を言ってるのか分からなかった。


「ごめん聞き間違いじゃなければご飯誘われたの?」

「ああ、そうだけど?」


人生で初めてだった。他人とご飯を食べるのは。


「いいけど、なんで?」


シンプルな疑問だった。


「いや、用具室の鍵のことが気になって。斉木さんなら何か分かっているんじゃないかってな」

「ああ、そういうことか」


何でか少しがっかりした。


「うん?どうした?」

「何でもない。じゃあ行こうか」

「ああ」


そうして私たちは学校近くのジャンクフード店に来た。

それぞれの注文の品をもらい席に着く。


「それで何か分かってるのか?」

「うん」

「ほ、本当か!?」


身を乗り出して聞いてくる。


「謎なんかじゃないだよ」

「???」


「たぶん……ただ、好きだったんだと思う」

「好き?」


「うん。だから、少しでも長く、近くにいたかった。それだけ」


視線は宙をさまよい定まらない。そんな私を窓から差し込む光は私の少し先に落ちる。












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