泳げないはずの男3[解決編]
こんばんわ!
今日は後日談も同時投稿です!
この話が読み終わったら続けてお楽しみください!
「簡潔に5W1Hで整理しようと思うんだけど、まずはWho、誰が?
これは同じクラスメイトで泳げない多田君になる」
「ああ」
「次はWhen、いつ? これは今日の午前中。
そしてWhere、どこで? はプールで、になる」
「うん」
「ここまではいい?」
「大丈夫だぞ」
そうして私は続けていく。
「で、What、なにを? これは浮いていた、ってこと。
Why、なぜ? は仮定だけど、暑かったから。
そして最後、How、どのように? はリラックスした状態」
私は一息つき、再び話し出す。
「ここまでの情報をつなげると、泳げない多田君は、今日の午前中にプールで、暑さを理由にリラックスした状態で浮いていた、ということになる」
「ああ、まさにその通りだな」
「問題ないよね?」
「ああ」
みんなが改めて状況を把握する。
ここで私は、改めて違和感を指摘していく。
「まず、おかしいのは“なぜ”。
泳げない人が来る場所じゃない、ってこと。
これは仮定だけど、暑いから涼みに来た、で一旦解決にする」
「ああ、いいと思う」
「うん。私も賛成かな」
三船君も黙ってうなずく。
「で、次は“いつ”“どのように”“どこで”。
この三つは、一つのことにつながってるの」
「いつは、午前。どのように、はリラックス。どこではプールだろ?
一見、関係なさそうだがな?」
「そうだね。斉木さん、どう関係してるの?」
「重要なのは、場所と時間」
「プールと午前だった、ってことだね」
私は黙って静かにうなずく。
「うん。さっき飲み物の量の話をしていたときに思い出したんだけど、休憩していた時、アナウンスが流れてたんだ」
「アナウンス?」
「そう。十二時になったので《《水深》》が変わります、っていうアナウンス」
「水深が?」
「それで調べたんだけど、このプールは時間によって水深を変えているみたい」
「それが、どう関係してくるんだ?」
私は横目でプールを見る。
「もし佐藤君が泳げなくて、それでも水に浸かりたいとしたら、何に注意する?」
「うん? そりゃあ、溺れないようにする、だな?」
「つまり、溺れないようにするには?」
「浮き輪とかを使うな」
「そう。普通はそうする。でもそれは、ある条件の時だけなの」
「どういうことだ?」
「足がつかない深さの場合のみ、だと思う」
「!!」
佐藤君が、何かに気づいて驚いている。
「まさか……」
「うん。多田君は足がつく深さのプールだと思っていたから、何もつけずに浮いていたの」
「それって……」
酒井さんも気づいて、驚いている。
「??」
三船君は、まだ分からないみたいだ。
「多田君はね。
水深が変わったことに驚いて、溺れたってこと」
「そ、そうか!
多田は水深が変わる仕組みを知らなかった。
または忘れていて、リラックスして浮いていた。
だが、時間が経過して水深が変わっていることに気づき、驚いて溺れた。
そういうことか!」
私は頷く。
「そう。だからこれで、最後の“誰が”は問題なくなる」
「なるほどな」
「まあ、予想であって仮定だから、本当のところは分からないけどね」
「そうだね」
こうして謎は解決したが、私たちの胸には、少しの
無知という名の恐怖が刻まれた。




