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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第1部】 うつろう世界

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8/11

【1-2-4】

 翌日には早速ギルドの窓口に話を聞きに行った。情報は正しかったようで、なぜ公表される前の情報を私が知っていたのか驚かれたものの、件のクエストには無事に参加出来る事になった。ただFランクでの参加ということで本当に大丈夫かと心配されてしまったのだけれども。

 

 当日は数十名もの冒険者が集まったようで見知った顔もチラホラ見かける。ちなみにあの時のDランクの彼等はいなかった。

 

「あ! スタン。君も参加してたんだ!」

「あ、スー、ごめんなさい。今はリムさんでしたね」

 

『いーのいーの』と答える。実際私もまだ慣れないのだ。

 

「でもスタン、Aランクでしょ? そんな高ランクも参加してるんだ」

「ええ。でも流石に何人も高ランクを雇うことは出来なかったみたいで僕一人だけです」

 

『ラルフはまた別のクエストに参加してるんですよ』と言っている。まあこれだけ数を揃えたのだ。それは大層お金が掛かっている事だろう。

 

「今回のってそんなに重要なのかな?」

「僕もあんまり知らないですけどね。どうやら随分と例の人攫いの一団が脅威らしいですよ?」

「あーなんか高ランクの冒険者もやられたんだっけ?」

 

 スタンは私の声に頷く。

 

「僕も知っている人でしたが、そんな簡単にはやられないはずなんですけどね。ただそれだけ相手も実力者なんでしょう」

「そっかそっか」

「ま、リムさんなら全然問題ないですよ! それにご一緒出来て光栄です!」

 

 相変わらずキラキラした目をしている。しかし今回は私の生活もかかっているのだ。是非とも特別報酬はいただきたかった。気合いを入れていかねば。

 

 その後私達は警戒しながらにルートを進んでいく。目的地はバルディアからは東に位置する旧ラフェシア城だ。元々は人族が治めるラフェシアという国があったのだけれども、今は人族亜族の混成国であるマグシアが生まれ、この辺りの地域一帯を治めている。……まあ私がミームを倒した事も関係はなくはない。


 旅路は数日に及び、昼夜問わず私たちは警備を続けた。

 

「結局、何にも出ないんだけど……」

 

 すでに数日が経過し明日にも目的地へと到着するというところまで来てしまった。

 

「ええ。でも何も無いのが一番ですよ」

 

 いやそれはその通りだ。でもお金が……。

 

「そういえば今更だけど相手達ってどういう連中なの?」

「……実はマグシアが建国された後くらいに出てきたらしいです。亜族で構成されているらしいですが、多分戦争が終わって仕事を失った人達なんじゃないかって」

 

 つまり元々は軍属なのか。それであれば強いというのも理解できる。

 

「マグシアとして統一はされたものの、まだまだ問題は多いです。今回みたいに野盗や人攫いなんかが多く出ているという話も聞きます。僕たちからすれば仕事に事欠きませんが、何ともやりきれない部分はありますよね」

「……本当にね」

 

 会話はここで終わりその後も私達は順調に歩みを進める。


 日が暮れ、私達は野営を立て休むことにした。目的地まではもう少しといったところだった。

 

「――野盗が出たぞッ!!」

 

 夜中微睡んでいた中その声でハッと顔を上げる。

 

「……あー本当に出たんだね。良かったんだか悪かったんだか」

「いやリムさん。そんなこと言っている場合じゃないですよ!?」

 

 ヒュッと耳元を弓が掠める。スタンの言う通りのんびりしていられる状況ではなさそうだった。

 

「そんじゃ相手の親玉を倒そうか。スタンはどうする?」

「一緒に行きたい所ですが僕は依頼主の護衛にあたります。こんな状況だと誰か守ってあげないと」

 

 相手は噂通りの手だれなのだろう。頼りない灯りの中で冒険者達が次々に倒れていることは分かった。

 

「おっけ。じゃあ早めに倒すようにするよ」

「ええぜひ。リムさんもお気をつけて」

 

『スタンもねー』と手を振る。そして薄暗いために手探りながらも私は敵の多い方へと足を向けた。

 

 ――さてここからは気合い入れていかないと。久々の戦いだ。

 

 ゆっくりと森の中を歩く。遠目から矢が飛んでくる。問題なく躱わすものの敵の姿を補足できない。随分と熟達した技術だ。昔狩りをしていた頃を思い出す。狙われる側というのはこういう気分なのだろう。

 

「こうされると厄介だね。今まで冒険者がやられてきたってのも理解できる。ただこっちも早めに倒さないとだからさ」


 弓矢が飛んできた方向へと指先を向ける。

 

「――手当たり次第にやらせて貰うよ。恨みはないけどね」

 

 弾丸を打ち出すイメージ。指先から先へ、身体から、周囲から吸い上げた魔素を一直線に放つ。木々が抉れると共に奥からゴボッという水が弾けたような音が聞こえた。

 

 それから弓矢が飛んでくる度に、その方向へと魔素を放ち続けた。その度に最初と同じ音が聞こえた。ただ親玉らしきものはまだ見当たらなかった。

 

「……こういう時ってどこにいるんだっけ?」

 

 昔狩りをしてきた時の事を思い起こす。確かこういう時には、前線からは離れつつも全体を把握出来る場所を確保して、――あ、あそこか。ちょうど良さそうな場所がある。

 

 私が視線を向けると同時に、相手もこちらに気づいたようだった。暗闇の中その眼差しが闇夜に光っていた。

 

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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