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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-3-1】 アヌ教

 弟は何故か両親に懐かなかった。どこかよそよそしいのだ。お父さんやお母さんに何か問題があるようには思えないし、理由を本人に聞いてもただ首を振るのみで、私は困惑する一方だった。


 私なりに家族間の仲を良くしようと動いてみたりもした。家族で遊んだりお散歩したりとかだ。お父さんやお母さんも文句も言わずに付き合ってくれた。穏やかな優しい両親だった。


 ただ結局はそれらもあまり効果はなくて、そのうちに私も無理に彼の気持ちを変えようとする事は諦めた。まあこういう家族の形だってあるだろう。


 でも私にとってはこの子が一番で、誰よりも愛していることは変わりやしない。だからこの子が望む事はなんでも叶えてあげよう。――それこそが、私がこの世界で生きる意味だ。 




 私達はすぐさま馬車へと飛び乗った。レナードと二人アヌ教徒の後を追う。まだ別れてから然程時間は経っていない。焦らずともすぐに追いつくことだろう。


「久々ですね。スーニャとともに行動するのは」

「本当だね。いつ以来かな?」


 思い出すのも難しいほどだ。あの頃レナード達と共に行動していた頃が懐かしい。


「また少しでも貴方とまた共にいられて嬉しいですよ」

「……それはどーも」


 昔からといえばそうなのだが、レナードはやたらと私を持ち上げてくれる。それが何だか照れ臭いというか今だに少し気恥ずかしかった。


「それであの人達はどこにいったのかな?」


 私は前方へと目を向ける。馬車から見える範囲には彼らはいなかった。


「指示した通りならこの方向に進むと考えられます。まだそう遠くへは行っていないはずですよ」


 バルディアはこの大陸のちょうど中心に位置している。そのために四方に道が引かれており、常日頃からの往来は多い。先ほどレナードが伝えたのは南の方向とのことだったが、その方向といえばちょうど……。


「このままずっと進んでいけばリム様達とも会えますね」


 そうなのだ。だいぶ距離自体はあるが、このままずっと行けばグンネラの隠れ家の方面に辿り着く。ふとレナードを見ると懐かしそうに頬が緩んでいた。


「さっきも話したけど、せっかくだしレナードも一緒に帰れば?」


『どうせ私は今またちょっとお世話になってるし、このまま一緒にどー?』と話を振ってみる。中々こうして会うことも出来ないのだから。


「……それもいいかもしれませんね」

「お! みんなに久々に顔見せてあげたら?」


 まあ中々戻らなかった私が言うことでもないのだが。ただやっぱり喜ぶとは思うのだ。


「それにレナードに紹介したい人もいるんだよね」

「……紹介したい人ですか?」

「そうそう。実は今ちょっと一緒に過ごしてる子がいてさ」


 彼にはまだリーザのことは話していなかったはずだ。本人はまだ起きていないだろうけど、まあ致し方ない。


「えっと、レナード?」


 顎に指を当て何やら考え込んでいる。何かおかしな事を言っただろうか?


 馬車は気がつけば森の中へと入っていった。先ほどまで刺していた日差しが木々によって遮られ、少し薄暗い様子に変わった。


「……では私も行きましょうか。久々に皆さんに会いたいですしね」

「おーじゃあきっと喜ぶよ! それならこの要件は早めに終わらせないとね」

「……ちなみに、なのですが」

「うん?」


 レナードは前方を向いたままに喋りこちらを見ようとはしなかった。


「その方のお名前を伺っても?」

「うん? リーザって子だよ?」


『まだ小さくてね。モノやジー達と同じくらいの背丈かな?』と説明してやる。


「……」

「……レナード?」

「あ、いえ気にしないでください」


 レナードの反応が先ほどから芳しくないように思えた。一体どうしたのだろうか? 私は少しの間彼の様子を伺うように口を閉ざす。そして暫くした後に彼は口を開いた。


「……スーニャ、一つだけ会話の途中でしたね」

「会話の途中?」

「ええ。あの時はアヌ教の方々が来てしまいましたからね」

「あ、あー、はいはい。確かにそうだね」


 そういえば確かに話が途中だったか。しかも重要な話題だ。確かにあの時レナードは……。


「余計な情報、だったっけ?」


 彼は私の言葉に頷く。そしてこちらをようやく見る。

「その余計な情報ってのがあって、フクローランは私に目をつけたってこと?」


「その通りです。話の途中でしたが、フクローランは元々は貴方を野放しとはいいませんが脅威には考えていなかった。もし増長することがあれば、程度の考えだったことでしょう」

「……うん。まーそれは分かったよ。それがなんで変わったのさ?」

「……ええ。つまりはですが、何といいますか、その原因というのが――「――リーザ、ってこと?」


 私の言葉にレナードが虚をつかれたといった表情を浮かべる。 


「そりゃ分かるよー」 


『レナード分かりやすすぎー』なんて笑うと彼は少しムッとした表情を浮かべた。『貴方の気持ちを考えてですね……』なんてぶつぶつと言っている。


 そのいじけた様子が何だか年齢相応に可愛ものに見え、私は彼の頭を撫でてあげる。そうすると彼は慌てた様子をして、それがまた可笑しく思えた。


「まその辺の話はさ。……直接聞けばいいかな」


 まだ離れているが、前方には馬車とアヌ教徒達が見えた。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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