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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-2-4】

 後ろから慌てた様子で『すみません』と男性が入ってくる。確かマーニャさんの助手役の人だったはずだ。


「止めたのですが……」


 申し訳なさそうな彼に対してマーニャさんは『ええよ』といい来客達を眺めた。


「これは随分乱暴な来客やね? しかも、……使徒さん達がわざわざ何の用ですか?」


 使徒? そういえばあの時、ディーヴァヌ山脈にいた女性は自分のことを使徒と言っていた。しかし使徒というのはなんだろうか? 


 というか、気がついたらシレッとレナードは子供の体型になっている。まあこんな所にマグシアの宰相がいるなんて話をややこしくするだけなのだろう。


「失礼。火急の要件があったもので」


 先頭の男性は悪びれもせずにそんな事を言っている。


「そうですか。それで?」

「単刀直入に言う。リムという冒険者がいるな?」


 マーニャさんの眉尻がピクリと揺れる。


「……ええおりますが? それがどうかされましたか?」

「我々に神託が出た。其奴を捕まえろと」

「はぁ〜そうですか。ただここにはおりませんね?」


 マーニャさんがフラフラと辺りを見回してそんな事を言う。


「……ではどこにいる?」

「知りませんよ。私が聞きたいくらいです」

「本気で話している」


『こっちかて本気です〜』なんて返している。まあ実際はここにいるわけなのだがそれをお首にも感じさせない様子だ。


「それでリムさんに会ってどうされるおつもりで?」

「……分かっているのだろう? ヤツがスーニャなのだと」

「ほぉ〜。そりゃ気づかなかった。大変なことですねそれは」


 あくまで飄々とするマーニャさんの態度に明らかに男性は苛立っていた。


「……隠し立てしても立場を悪くするだけだぞ。ギルドにも正式に調査が入る予定だ」

「ほーん? なら言わせてもらいましょか?」

「……なんだ?」


 マーニャさんは分かりやすく彼を睨みつけた。


「アナタらがリムさん達にしたことはこっちも知ってます。抗議もさせてもらっているはずですが?」

「……だからなんだ?」

「話が通じひんね。……謝罪も無しにアンタらにくれてやる情報なんてないって言ってるんよ」


 双方が睨み合っている。空気が張り詰めて、ビリビリと音が聞こえそうなほどだった。


「こっちも舐められたらシメシがつかんでね。正式に頭下げてもらわん限りは、クエストも受け付けんし協力もせん。なんら変な話やないでしょう?」


『アンタらが先にこっちをコケにしたんやからな』と凄む姿はさすがにギルドの長である貫禄を示していた。その様子にアヌ教の男性も怯んでいる。


「ほら分かったらクルッと回って帰ってください。私も何かと忙しいんで」


『さいなら〜』とヒラヒラと手を振る。これには流石にアヌ教の男性も、フルフルと身体を震わせ怒りを露わにしていた。


「……後悔するぞ? 我々はマグシアにも話を持ち込む。その時ギルドの立場がどうなるか分からんわけではあるまい」


 今度はレナードの眉尻が動いた。


「マグシアにとってもスーニャは国敵だ。すぐにも動き出すだろう。隠し立てをすればするだけ、貴様らは追い込まれるぞ?」

「ええご忠告どうも。じゃあそろそろお帰りになってください」

「貴様ッ――「――ほら客人もいるんです。もういい加減にしてくれませんか?」


 マーニャさんはレナードへと話を向ける。いい加減これ以上何か話したとしても無駄と思ったのだろう。それを受けてレナードは至極面倒くさそうにしながらも話に乗る。


「……ええ。僕が先に話していたんです。それにこちらも急ぎなので待ってもらえませんか?」


『貴方達がさっきから何を話しているかも分かりませんが』とその場をひとまず収めようとしている。ただそれでもなおアヌ教の人たちは納得してはいないようだった。


「……そういえばここには今さっき着いたのですがね。来るまでの間に不審な人を見たんですよ」

「……だからなんだ。そんな話をしている場合ではな――「――チラリと見えましたが、その人は赤髪で何やら急いでいるみたいでしたよ」

「ッ!?」


 レナードの言葉に表情を一変させる。


「小僧。ソイツはどこへ向かっていた!? 何か言ってなかったか?!」

「いえそこまでは。ただ方向はここから南の方でしたよ」

「そうか。すぐに追うぞ! まだ追いつけるかもしれん」


 彼らは慌ててバタバタとその場を後にする。想像通りにいもしない私を探しに出かけたのだろう。


「……もういいかな? スーニャさん。出てきていいですよ」


 マーニャさんの言葉を受けて私はようやく衣装棚から出る。変な体勢でいたために腰を伸ばして強張った筋肉をほぐしてやる。


「まったく。本当に態度のなってない連中です。だからあの国と関わりたくないっちゅーのに」


 ぶつぶつと彼らに対する恨み言を重ねていた。まあ実際あの人たちの態度は随分と横柄だった。普段からももしあのようであればマーニャさんが怒る理由もうなづける。


 そんな中、レナードが時間が勿体無いと口火を切る。


「早速彼らを追いましょうか。フクローランの状況を内部の人間に聞く良い機会なのでね」


 彼の提案に私も頷く。聞きたい情報は山ほどある。せっかく居所も分かっている彼らを逃す手はないだろう。


「……構わんですが、大事にはせんで下さいね?」


『ここで拗れるとまた厄介なんやから』と言われるがレナードは『保証はできないですよ』なんて言っていた。


「……スーニャさんもですよ?」

「うーん、まあ善処する、よ?」


 その言葉にマーニャさんはハァと重いため息を吐く。『最近厄日ばっかやなぁ……』とこれまたぶつぶつ言っている。


「さあ、スーニャ。離れないうちに行きますよ」


 レナードに手を引かれ足早に部屋を去る。マーニャさんは『分かったことはまた連絡してください』と言っていたけれどまあそのあたりはレナードに任せよう。


 とにかく今はあのアヌ教の人たちを追いかけないと。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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