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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第1部】 うつろう世界

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【1-6-3】

 翌日はガリオンの言葉に甘え休暇とさせてもらった。件のクエストも敵側から何か害意を示している訳ではない為に、今すぐに対処が必要という訳ではないそうだ。


 ちなみに獣人族の里は、竜人族のそれとはまた違う趣きがあり、基本的には木々を用いた木造の家々が連なり形成されていた。その自然と調和した光景はどこか故郷の化け形族の里を彷彿とさせる。勿論規模感や賑わいは比較にならない程で趣向を凝らした造形も及ぶべくもないのであるけれど。

 

「でジルベルト。本当に案内なんてお願いしちゃっていいのかな?」


『結構忙しいんじゃないの?』と彼を気遣う。それは里の中を熟知している彼がいれば何かと助かるが、そこまで面倒を掛けるのは心苦しかった。


「いえいえ。折角来てもらったんです。これくらいはさせて下さい」


 ニコリと笑う顔に思わず見惚れてしまう。いやいや別に私が少年に興味があるとかではないのだが、彼は知り合いであるレナードともまた違った方向で整った顔立ちをしていた。少し柔らかな雰囲気を持つ彼は気丈な年上の女性なんかと相性がいいのではなかろうか。


「……それこそレオとかか?」


 ふと二人が横に並んでいる姿を想像する。ふむふむ。絵にもなるし、適当に言った割には良い線いってる気がするな。


「レオさんが何か?」


 彼は不思議そうな表情でこちらを見ている。


「いやもし君がレオと支え合っていたりしてたら、とっても素敵だろうなーなんて思ってさ」

「……え? いやいやそんな」


 慌てて手を降りながらに否定している。


「僕なんてアハハ。あの人の隣に立つなんてとても烏滸がましいですよ」


『ほら行きますよ!』なんて無理やり話題を変えている。あれ? これはいったい? よく見ると、彼の顔が赤くなっているような。……もしや脈あり?


「……私が知ってるレオの話とか、もっと話したげよか?」


 まああんまりは知らないけど。


「……一応聞かせて貰えますか?」


 むふふ。正直ものめ。それなら幾らでも話してもしんぜよう。


 それから私は獣人族の里を回る道すがら、レオとの出会いや戦争の時のエピソードを語ってあげた。ジルベルトと隣にいたリーザも目を輝かせてその話を聞いていた。


 無論話せない話もあるためにそこは割愛だ。話終わる頃にはひとしきり獣人族の里も見納め、残す目的地は一ヶ所だけだった。


「しかし本当に凄い戦いだったんですね……」


 彼は歩きながらに呟く。


「……僕は今みたいな世界が実現できるなんてとても思っていませんでした。人族と亜族が手を結んで歩むなんて」


 ずっと何故彼らがそこまで歩み寄ることが出来ないのか疑問だった。ただ産まれてからそれが世界の姿で、理なのであれば、それ以外の形なんて想像する事は出来ないのかもしれない。


 私だって、まさか神という存在が実在するなんて、この世界に来るまで信じようもなかったのだから。


「これからはレオさんを支えていきますよ。今度こそは目を背けて諦めることなく」


 彼はいい表情をしていた。成長したら良い指導者になることだろう。ただちょっと真面目すぎるので、肩の力を抜いてやらなければ。


「お? それはレオと一緒になるってこと?」

「もぅ、すぐそっちに持っていこうとしないで下さい!」


 ジルベルトはまた顔を赤くして怒っていた。リーザもその様子を見てクスクスと笑っている。そうそう。あんまり張り詰めてちゃいつか弾けちゃうんだから。適度に気を抜かなくちゃね。


「お? そろそろ着いたかな?」


 最後に要望したのは武器屋だ。中に入ると、剣、斧、槍、弓矢なんて武器が所狭しと展示されていた。


「でもすでに武器はお持ちですよね?」


 確かにジルベルトの言う通り、私にはすでに武器がある。今回ここに来た理由は別だ。


「リーザ? 色々自分で見て触ってごらん? 合うものがあれば貰っていこう」


 彼女はパァーッと顔を輝かせ店内を見て回る。本当ならば魔法を扱うための呪具を用意できればいいのだが、いかんせん希少であるために入手が難しい。それであればひとまずは武器だけでも用意させておこうとここに来た訳だ。


「ほら自分の指や腕を傷つけないようにね?」


 やはり彼女には重たいのだろう。危うげに剣を持つ姿を見てしまうととても買ってやる気にはなれなかった。ただ弓矢も一朝一夕でおぼえるものでもない。とすると何か良いものはないだろうか。


「……?」


 ふとリーザが何かの前で立ち止まった。私も何事かと後から何を見ているのか覗き込む。そこには綺麗な彫刻が施された短剣が飾られていた。


「お! お嬢ちゃんお目が高いねえ! これはドワーフが作った短剣さ。綺麗だろう?」


 確かに美しい。リーザもジッとその刃先を見つめていた。


「切れ味は保証するぜ。なんなら首から掛けられるようにしてやろうか?」


 今度はリーザは私の方へと向いてくる。私がコクリと頷くと、彼女は嬉しそうな表情を浮かべペコリと頭を下げてきた。


「いーんだよ。じゃ店主さん。これ貰えるかな? あと言ってくれたみたいに首にも掛けられるようにしてもらってさ」


『毎度ありー』なんて声を受けつつ、店主は短剣を取り店の奥の方へと入って行った。


 リーザに何の武器を与えることになるかと思ったが、短剣というのは無難な所だろう。あとは魔法か。今度久々にリムさん達にでも会いに行こうか。ジーなら魔法にも詳しいし、適切に教えてくれるだろう。流石にレナードに会いにいくのはハードルが高い気がする。


 程なくして店主が戻り、リーザの首元にその剣をかけてくれる。彼女は何やら得意げでムフーとでも言いたげな表情だった。 


「はいはいよかったね。じゃ良い時間にもなったし戻ろうか」


 その後は私達は宿へと戻りジルベルトとも別れる。彼には一日中時間を取らせてしまったのでよくよくお礼を伝えておいた。


「いえとんでもないですよ。僕も楽しかったですからね」


『では自宅へ戻ります。言うまでもないですがクエストはくれぐれもお気をつけて』という言葉と共に彼も帰路へと着く。


「じゃー私達も片付けてさっさとお休みするよー」


 それならはお風呂に入ったり、明日からの荷物の準備や片付けをし床に着く。寝る前までリーザは嬉しそうに買った短剣を眺めていた。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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