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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第1部】 うつろう世界

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2/7

【1-1-2】

「随分と景気がいいらしいじゃないですか? リムさん」

 

 目の前には青筋を立てたマーニャさんが座っていて、私はたまらず冷や汗を流す。

 

 彼女は冒険者ギルドのマスターを務めている。私はその所属の冒険者で、上司と部下、或いはオーナーとエージェントみたいなものだ。いや合ってるか分からないけども、イメージイメージ。

 

「いええっと、そんなことないデスヨ?」

「……人にお金を返さずに飲むお酒はさぞ美味しいでしょうね?」

「いや、まーアハハ」

「笑い事やないですよっ!!」


 この世界は、ファンタジーの世界だ。魔素というエネルギーが凡ゆるものに宿り、魔法も存在する。


 そして生きている種族は大まかには幾つかに分けられる。賢人と呼ばれる、見た目はモンスターでただ深い知識を持つ長寿の人達がいたり、人間そのものな人族、獣人のような見た目をしている亜族が存在する。あとはモンスターや獣も勿論いる。

 

 そんな中、彼女マーニャさんは亜族なのだけれども、頭に生えている狐耳が今はピンと逆立ってた。……うーわこれ本当に怒っているよ。いや私が悪いんだけどさ。


「……すみません」

 

 平謝りをする。普段温厚な彼女ではあるが流石に金銭の事になると甘さはないようだった。

 

「……あんな? 貴方の事は私も分かっとります。だから最大限譲歩しとるんです。ただ約束は守って貰わんと困りますよ」

「……すみません」

 

 正論すぎてただ謝ることしか出来ない。私はマーニャさんから借金をしていて、一括では到底返せない金額のために分割で支払いをさせてもらっているのだ。

 

 彼女がここまで激怒しているのは、今日は分割金の支払日であり、その金額が若干不足していたためだ。しかも体裁が悪い事に、昨日私がお酒を飲んでいた事は彼女に伝わってしまっていた。そのためにここまで怒りを露わにしているのだ。

 

「リムさん。アナタには私もお世話になってますし、何よりあの人の要望もありますから無碍にはせんです。ただ最低限の決まり事は守ってくださいね?」

「……はい。すみません」

「……はぁ。もういいです。また仕事はふらせてもらうのでちゃっちゃとお金だけ作って持ってきてください」

「……はい」

 

 もうさっきから同じ事しか言えない。そもそも私悪くないじゃん! と今だに思わなくもないのだが。いやまあ計算に誤りがあって足りなくなったのは私が悪いけどさ。

 

「……ほんまリーザさんも大変ですね? なにかあれば遠慮なく言ってくださいね?」

 

 隣にちょこんといたリーザに話しかけている。私の時とは違い随分と優しい声色だ。それに対してリーザもコクコクなんて頷いている。いやちょっとリーザさん……? 少しくらい庇ってくれてもいいんですよー?

 

「はい。じゃあもーいいです。次の時に不足分も合わせて返済してください」

 

 トボトボと部屋の出口へと向かう。リーザを見ると、それ見たことかとでも言いたげな表情だった。

 

 しかしこの借金は簡単には返せない額だ。私が今ちびちびと返済しているものの、全額を終えるのはいったいいつになることやら。


 冒険者にもランクはある。最高位がAランクで最低位がFランクだ。私は因みにDランクに位置する。


 優先的に仕事を回してくれてはいるけれど、Dランクの報酬は上位のそれと比較にならない位に少ない。もし最上位ランクをバンバンと受けることが出来たのなら、返済だってすぐに終えられるというのに。

 

「……あー、リムさん?」

 

 肩を落としている私を見かねたのかマーニャさんが背中越しに声を掛けてくる。

 

「アナタに実力があることは重々承知してます。極力早くランクもあがるようにしますんでもうちっと待っとってください」

「……はぁーい」

 

 ランクがあがるといったって次でようやくCランクだ。上位ランクに登り詰めるのなんていつになることやら。

 

「なんで頑張ってください。今日は近場に出現したゴブリンの討伐でしたっけ? 言う必要もないでしょうが、お気をつけて」

「ありがとうございますぅ〜……」

 

 一応お礼だけは残してマーニャさんと別れる。気持ちは嬉しいんだけども、今は粛々とクエストをこなしていくしかなかった。

 

「リーザ〜……。ごめんね〜いろいろと〜」

 

 私の言葉に彼女はフルフルと首を振る。そしてグッと拳を握るポーズを取る。頑張って、という事なんだろう。まあ確かにやるしかないかー。

 

「そだねー。腐ってても仕方ないし。とりあえずゴブリン倒してお金稼ぐかー」

 

 リーザもコクコクと頷いている。他にお金を稼ぐツテもないし結局地道に進むしかないのだ。


 私はマーニャさんから借りている下宿先に戻り、装備をだけ取ってクエストへと赴く。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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