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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第1部】 うつろう世界

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17/34

【1-5-2】

「ま、ちょっと散らかってるけど入って入って」


 私はあの後にリムさんに連れられ、バルディアへと向かいました。着いてすぐにご自宅に向かいましたが、着いたお家は二人でも問題なく住めそうな広さです。ただし……という言葉が残りますが。


「あ、いやほらいつもは綺麗にしてるんだよ? ただ最近はほらバタバタしててさー」


 あははーと笑って誤魔化していますがそうはいきません。飲み物の瓶やゴミ、埃なんかが部屋中に散乱してます。


 私はため息を吐きます。分かりましたとも。私の役割はまずお掃除からですね。気合いを入れていきましょう。


「おー! 綺麗になるもんだねー!」


 隣でリムさんがピカピカになった室内を見て驚きの声をあげています。フフン。そうでしょうそうでしょう。私にかかればこのくらいお茶の子さいさいというやつです。


「あ、一仕事終えたし、お風呂でも入る? 今のうちに沸かしておいたんだ。リーザも汗流したいでしょ?」


 えそれは是非ともです。お風呂なんてずっと入っていません。そういえばと自分の身体をクンクンと嗅ぎます。まさか匂ってませんよね……?


「じゃあ入ろっかー。折角だから背中流してあげるよー」


 私はリムさんの後をトコトコ着いていきます。お風呂に入れて嬉しい反面若干緊張です。だって誰かと入るなんて経験がないんですから。


「ほらばんざーい。はい偉いねー」


 言われるままに服を脱ぎます。リムさんも服を脱いでいました。最初リムさんがお姉さんなのかお兄さんなのか分かりませんでした。ただ今これを見るとやっぱりリムさんは――。


「――ほら見過ぎだよー? どうしたのかな?」


 私は慌てて目を逸らします。確かにリムさんのいう通り、デリカシーが足りませんでした。


「……ん? あれ、リーザちょっと待って」


 リムさんはどうやら私の背中と腰の辺りを見ているようでした。


「これって確かどこかで……」


 なんでしょう? 私はリムさんの方へと顔を向けます。


「あ、こめんごめん。リーザの腰に綺麗な刺青が入ってたからさ。つい見惚れちゃって」


 え、そんなものが入っているのですか? 私は慌てて確かめようと自分の身体を捻ります。ただ中々ちゃんとは見ることが出来ません。


 リムさんが笑いながらに鏡を二つ持ってきて映してくれました。これは、何でしょう? 何かのお花? いや鳥? のようでした。それを眺めていると突然頭に頭痛が走りました。


「大丈夫!?」


 蹲ってしまった私を心配してリムさんが駆け寄ってきます。ただすぐに頭の痛みは引いていきます。前も頭痛になった時がありましたが一体なんなのでしょうか。


「リーザ無理しないでよ? お医者にも必要なら連れてくから遠慮なくね?」


 私は問題ないと顔を振ります。リムさんはまだ心配しているようですが本当にもう痛みはないのです。理由は確かに気になりますが、それよりもまずはお風呂に入ることの方が先決です。


「え、そんなんでもお風呂入るの? まあいいけどさぁ……」


 私はリムさんの手を引き湯船に身体をつけます。思わずふぁ〜なんて息が溢れ出してしまいます。やっぱりお風呂は最高です。記憶が無くともきっと染み付いているのでしょう。


 それからは心ゆくまで湯船に浸かり、お風呂から出た後はリムさんと一緒にベッドでお休みしました。『狭くてごめんねー』なんて言っていましたが、久々のフカフカとしたお布団の感触には感動して泣いてしまいそうになりました。


 それにすぐそばにいるリムさんの体温で安心してしまって、冗談でなくここは天国なんじゃないかと思ったほどです。その日は今までで一番ぐっすり眠る事が出来ました。


 それからはずっとリムさんと二人での生活です。


 私がお家のお仕事を主にして、リムさんはクエストに参加したお金を稼いで来てくれる。どうやらリムさんにはとても、とーっても大きな借金があるみたいで、裕福な生活とはいきませんが、それでも私にとっては穏やかで幸せな日々でした。


 ただ、リムさんはちょっと? いやかなり? 酒癖が悪いのでそこだけは直してほしいと思います。だって凄いペースでお酒を飲んでは稼いできてくれたお金を使ってしまったり、お店で酔い潰れてしまったりするんですから。


 普段はカッコいいと思うところもあるのに、そんなダラシない面を見てしまうと台無しです。やっぱり私がしっかりしていないと。


 リムさんのクエストは、こんな言い方は失礼ですが、最初お手伝いのようなものが多かったです。ただランクが上がるに連れて少しずつ危ない内容になっていきました。その頃から私はクエストに連れて行ってくれるようにお願いするようになりました。


 でもリムさんはもし私に危険が及んだら、とそれを受け入れてはくれませんでした。私はそれならばとコッソリと後をつけるようになりました。何度もリムさんに見つかっては怒られ、それでも私は後を追い続けました。


 何度も何度も何度も繰り返して、ついにはリムさんも諦めてくれました。それからは一緒にクエストに参加しています。


 だって、もし私の知らないところでリムさんに何かあったら、なんて考えたくもありません。危険であればあるほど私は側にいたかったのです。


 そしてあのワイバーンのクエストの日が訪れました。

 


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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