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受難続きのテラ惑星間貿易商  作者: 椎谷 急須
8章 阻止走狗
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TF-1型

--- 夕方 建築現場


「班長―戻りましたー」

現場に入り、早速班長に挨拶をするタツマ。

 

「おう……新人と……トークンが、追加か? 」

セレンにもヘルメットを被せ反射帯を付けたチョッキを着せている。


「ええ。現場を学ばせようと思って。 そうすれば、こいつも後々ガードマンとして利用できると思いまして」


「なるほどねー。 まぁいいや。 じゃぁ夕礼に出席して、対応してくれ。俺は帰るが、事故を起こすなよ」


「了解でーす」

親方はそう言って帰っていった。


夕礼に参加すると作業員は3名程度になる。

「じゃぁ、新人、トークン頼むぜ!」


「了解です」

タツマのハキハキした、態度により追加されたトークンに疑問を向ける者はいない。


「さてと アルプ。 指定された位置で対応お願いね」

その指示でアルプが、工事現場入口周辺に立つことになる。


人流を誘導しているアルプに対して、タツマから通信が入る。


≪道路向こうの建築中のビルに人影は見える?≫

『いますね。こちらにカメラを向けているようです』


≪このまま、ガードマンの業務をこなしつつ、警戒して。 動きがあれば直ちに連絡をお願い≫

『了解です』


こちらも建築現場内に消える。

「タツマさん。周囲はどうですか? 」


「道路を挟んだ反対側の建築中のビルに監視班がいる。 彼らにとって不審な人物がいれば、直ちに対応する気だろう」


「対応……ですか」

オーソン氏が事前に渡しておいた銃を見る。


「そうゆうこと。 ここが大一番だ。 失敗すれば灰も残らず、消えることになる」

「死力を尽くします」


ケルンの肩を叩いて、タツマはその場を離れることになる。


タツマの役割は、見回りのガードマン。 故に周囲を見回りながら、目的の場所に移動していく。 


そして4Fの防飛シートのないエリアに到着する。 ここから上にウィンチを使って建築材料を上げるために使っている場所である。


目の前には、鉄骨むき出しの床が施工されただけの建築途中の建物が見える。

≪各員へ。これよりティル・フィング解除作戦を開始する≫


                 *


壁が無いとはいえ、建物の間は、結構な距離になる。


「セレンは、行けそう? 向こうまで跳べる?」

『もちろんです。アルプからの情報は、既に処理済みです』


その自信に満ちた言葉通り、助走を付けてビル間を飛び越えていく。 トークンの性能の高さが伺える。

―― 天才の調整だけはあるのか。 いやウェヌス(金星)産の人工筋の性能の故か?


着地も静かである。 

≪成功です。 跳躍時のフォローはこちらでします。 力を抜いて飛んでください≫


とはいえ、車両4台分くらいのスペースである。 躊躇もあるが、都市国家の運命が掛かっている為、ここは乗り越えるしかない。


タツマが、助走をつけると走り出すと加速が人間離れしていくのが分る。

跳躍のタイミングは、セレンの遠隔制御に頼る。


こちらの建築物の縁近くで、スーツが自動で屈伸し、鉄骨を蹴るとまるで空を飛ぶかのスピードで空を駆けている。


潜入でなければ、“翼を授かる~!(I can fly) ”と叫びたいところだが、出来る訳もなく、数秒間、息を殺して空を飛ぶ。


着地時の衝撃吸収体制もセレン任せになる。 着地してようやく息ができるようになる。

タツマが、まずの障害を飛び越える。


「緊張した」

『流石ですね。 余計な力を入れなかったため、こちらの制御も安定して行えました』


周囲はすっかり闇に覆われている。 明かりもない、建築途中の建物であるため通常であればあれば歩行すら困難である。 そこで文明の利器に頼る。


持ってきた、暗視ゴーグルをつける。

『事前の調査結果通りセンサー類は、ありませんね。 多足昆虫型のドローンによる偵察を実施します』


偵察による結果は、3F~2Fまでにセンサー類は、ないとのことだ。 防飛シートが張られていた事。

隣のビルとのスペースも広い。 向こうも急造であるためそこまで気が廻っていないのかもしれない。


セレンの後についてフロアを降りていく。

夏季であっても夜は少し冷える。 ましてや下に水爆があるとなれば、肝まで冷えている最悪の状況だ。


『1Fに多足昆虫型のドローンでの偵察を仕掛けます』

慎重に進んでいく。


「どうよ?」

声を抑えながら、セレンに尋ねる。


『……ありました。ロケット部分と弾頭部分が、接合すれば完成ですね。近くに端末で作業している人間がいます』


「周囲にカメラは?」

『ありますが、入り口側に向けて監視しています』


「本体はどう? 図面と同じそう? 」

『ええ。開口部の位置は図面と同じですね』


―― ここに来て図面と違うは、本当にヤバいからな。

事前の作戦では、人がいた場合は、電気針で気絶させて弾頭を確保になる。


「セレン。いけそうか?」


『場所を移動する必要があります。移動します』

ゆっくりと移動するセレン。


1Fにはそれなりのセンサーがあるため、先発のセレンが先に行く。


≪ケルンです。 聞こえますか? ≫

≪どうした≫


≪これから音が発生する作業になります。気を付けてください≫

≪具体的には≫


≪アンカーを撃ちこむ作業のようで、かなりの音が出るようです≫

≪了解した……打音のタイミングを計ってくれ≫


≪了解です。 ちなみに、ありました? ≫


≪あったよ。 完成寸前だ≫

≪……了解です。 先ほどのアンカーですが、準備が整い……音が……でます≫


アンカーを打ち付ける音が響く。 周囲が静かな分かなり響く、


TF-1型の作業者が驚いたように、音が聞こえた方に注意を向ける。 その一瞬、セレンが狙撃に着き、電子針銃を発射し、相手を気絶させる。


『目標沈黙』


タツマが、足早に昇降階段を降りて、水爆弾頭に近くによる。 

―― これで確保か。


安心したのも束の間、どこからか声が聞こえて来る。

≪どこの誰だか知らんが、やってくれたな!!≫


―― 馬鹿なカメラは無いはず

タツマが周囲のカメラを見回すが、周囲にはない。 どこからか確認すると手元の携帯端末に目が行く。


「……端末のカメラか! 」


≪よくここに気づいたな。 そこは褒めてやる。 本当は、地上高くあげて爆破したかったが、まぁいい。ここで消えろ!!≫


『カウントが始まりました』

――まじかよ。待て待て待て。


「時間は? 」

ご丁寧にもタイマーが付いている。 <300>との数字がどんどん減少している。


―― あいつら! これの威力知らされていないな。そんなことだろうと思ったよ。

安全圏には、自動車で半日だぞ。


「基盤破壊に移行だ!! 急げ!」

『了解です』


<250>


事前に図面があるため構造や回路基板の位置が分かる。

制御基板に接続して作業していてくれて助かった。


<200>


『これですね。……解析始めます』

タツマは脇から覗き込んでいるが、配線がただの模様にしか見えない。


―― 細か過ぎるだろう! 


セレンは、自らのライトにより配線を追って行っているようだ。 人間ならまず無理な作業になる。トークンの能力をいかんなく発揮している。


<150>


基盤をひっくり返りながら確認している。

何をあがいてもここはセレン頼み。 祈ることしかできない。


『……ありました。このプリント配線をピックで破壊してください。基盤がこのまま、持ち上げた状態にします』


<100>


ピックのスイッチを押すと先端が回転する仕様になっている。

『隣は制御ラインなので絶対に破損させないでください』


―― そんなこと、やっている最中にいうなよ!

<50>


徐々に基盤のコーティング剤が削れていく。


<5>

ようやくプリント配線にピックが届いた。


<4>

ちょい。ちょい。ちょい。


<3>

早く!早く!早く!!


<2>

落ち着け落ち着くんだ!


<1>

いっけー!


<0>


『ラインの破壊完了。 お疲れ様です』

―― 馬鹿じゃないのこれ? マジでピック一本で……。


基盤には孔が穿たれ、断線した個所がむき出しになる。


『無力化成功しました。 更なる無力化の対応としてバッテリー配線を切断し、配線部分を絶縁処理します。タツマは、気絶している人を捕縛してください』


「……了解」


≪聞こえるか。無力化に成功だ。 ケルン。 治安隊に至急連絡だ。 アルプ! ここに来る人間を足止めしろ。 全ての火器の使用を許可する≫


≪了解≫

≪了解です≫


『タツマこの弾頭どうしますか? 』

セレンが作業をしながら質問してくる。


「こいつは重機がないと運び出せない。ここに置いておく。 撤収するぞ! 無力化しただけでも成功だろう」


≪タツマ。正面の建築ビルから何か来ます! ≫

タツマの耳に銃声が聞こえる。


≪13mm弾が効きません。特殊装甲車が突っ込んできました。 早く逃げてください! ≫


急な大きな音に作業している人員を手止める。

「どうした―事故か?」


『皆さん! 逃げてください! 』

アルプの声が聞こえて来る。 


≪タツマ。衝撃で脚部・腕部・胴体の一部損傷。 移動不能です。 特殊装甲の重機がそちらに向かいました! 逃げてください!≫


≪了解だ! オーソン! 治安隊はまだか! ≫

≪さっき連絡入れたばかりです! ≫


≪追加だ。軍隊を呼べ!! 特殊装甲車両だ!! ガンシップを寄越せ!! ≫

≪無茶いわないでください!! ≫


≪無茶じゃない。実証済みだ!! ガンシップ3機編隊で、総攻撃を掛けないと破壊はできないぞ!! ≫


≪了解です!! やってみます≫

「セレン逃げるぞ!! 」


しかし、向こうさんの展開の方が速かった。 特殊車両者が、こちらに突っ込んで停止する。 敵のコンバットスーツ・トークン部隊がアサルトライフルを構えた状態で降りてくる。


“まったく。 誰か知らねーがやってくれたな! ”

イラついた声が響いた後、コンバットスーツ・トークン部隊一斉掃射が始まる。 


戦場の様な銃撃音が、周囲に響く。 もはやバレた故に業務を隠そうとしない行動。

タツマ達は、鉄骨の影に隠れてやり過ごしているが、大量の弾幕の前に危険な状況に陥っている。


≪セレン! 乗っ取りは! ≫

≪正規のコンバットスーツ・トークンです。 プロテクトが厳重過ぎて無理です≫

しばらくすると弾幕が弱くなる。


“お前ら、この弾頭を運び出せ! ”


作業用トークンが20体ほど出てきて、弾頭を重機に詰め込む。

微かにサイレン音が、聞こえてくる。


「チッ。本来ならここでお前らを俺自身でぶち殺したいところだが、どうもタイムリミットもあるようだ。 あとはトークン部隊と遊んでもらえ」


そう言い残して男は重機に乗り去っていった。

―― クッソ。弾頭が持ち去られたか。


しかし、それよりも、隊列を組んだコンバットトークン部隊が銃撃をしながら近づいて来る。


『タツマ。 私が囮になりますので逃げてください』

「……見殺しにしろと? そりゃ厳しいな」


『大丈夫です。 トークンですから』

セレンの申し出ではあるが、いくらトークンでも見殺しにするのは目覚めが悪い。


しかし、タツマが悩んでいるうちにも徐々に敵トークンの隊列が、発砲しながら近づいて来る。 銃撃音はもはや戦場のようになっている。


―― くっそーセレンを囮にするしか手段がないのかよ!


突如として車両の音が聞こえる。

「うちの旦那に何してくれてんだー」


大声と共に制圧ミサイルが飛んでくる。

数回の爆発音が聞こえる。無数のベアリングがこちらに襲ってくる。


―― ヒー鉄骨が削れるから!

爆発音が消える。鉄骨の影から様子をみるとトークン部隊が殲滅されている。


「どうよ! 」

ガッツポーズをしている白色のコンバットスーツが見える。

―― 大胆不敵すぎるだろう? 助かったけど。


「タツマー。やったわよー」

コンバットスーツ装備のサナエさんが手を振っているのが分る。


―― って感傷に浸っている場合じゃない。


「サナエさん助かった! ありがとう! 」

「もっと感謝しなさい」


その言葉を流し、インカムからオーソンを呼び出す。

≪オーソン! 現状は? ≫

≪治安隊が重機を追っています!そっちは?≫


≪弾頭が奪われた!ここで伸びている犯人の一味の確保を頼む。こっちは犯人を追う≫

≪了解です!≫


「セレン! 行くぞ!!」

スマイル号に向かって走る。


スマイル号に飛び乗ると、急発進のバックで車両が路上進行方向にスピンをする。 運転手はオーソン嬢か。

「お客さん! どちらまで! 」

「サイレンを追ってくれ! 」


「あいよ! 」

こちらへの不信感を払しょくするかのように、オーソン嬢が操るスマイル号が、飛び出す。


「助かったけど。 どうしてこんな危険な場所に来たの!」

隣に乗って来たサナエさんに質問する。


「私は黙って死ぬ気はないの。 それに、このスマイル号ならよっぽどの攻撃でない限り安全だしね。 タツマで実証済みでしょう? 」


バイザーメットで素顔は見えないが、笑っているように見える。

その気丈な彼女の言葉に自分の不甲斐なさと嫌悪感が出て来る。 


しかし、状況は感傷に浸るほど待ってくれない。

サイレン音が徐々に小さくなり聞こえなくなってくる。


「ヤバいです! サイレン音が聞こえませんよ。 離され過ぎです! 」


アルプからメッセージが入る

<マスターを頼みます。 敵車両に発信機を付けたので、その信号を追って下ださい>


故障したアルプからのメッセージだろう。

そのメッセージがサナエさんの目にも入る。


「あのゴロツキ! 私のモノを傷つけるとは、けじめ付けさせてやる」

サナエさんのコンバットスーツが、車慮のモニターにリンクすると、光点が映る


「アルプが付けた発信機を追跡しなさい! 」

「了解です。 ねーさん! 」


そこから速度を上げて、スマイル号の追跡が開始される。



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