対象肉薄
--- ホテル地下1F
アルギューレ・海洋城。 本来は灯台があった場所だったが、老朽化により取り壊しが決定し、現オーナーが土地を買い取り、リゾートホテルを建設した経緯がある。
本土と島までは、橋で結ばれており、橋の光景はテンペ大陸100選にも選ばれるほど。橋はアルゴス政府の出資による建築され、ホテルを建設したようだ。
当時は、ホテルのために税金で橋を架けるかと非難もあったが、ホテル側も市民のため、地域住民への格安宿泊プランを作ることで非難も収まっている。
当時は、ジャーナリストなどに邪魔されない場所が欲しいとの、政財界から要望があったとの話が 実しやかに囁かれていたようだが、この状況を見れば納得できる。
そんな孤島ホテルの生活インフラは、上下水道や電力系統は、本土からケーブルを橋げたの下に通してホテル地下へと接続されている。
電力線は、高圧受電設備を介して、変圧の後、各フロアに分配さる仕組みになっている。
そして現在、その高圧受電設備エリアに問題があったので入室中である。
「漏電アラームが鳴ったから来てみれば、配電盤の端子のところで虫がショートしているのか」
虫の死骸をエアースプレーで吹き飛ばすと、アラームが消える。
問題解決の報告を親方に連絡を入れ、業務終了。
「さてと、アルプ。 先日のアルギューレ海洋上ホテルの図面データはある? 」
『もちろんです』
図面を作業台に投影しながら説明をする。
「最初に図面を見されたときも思っていたけど、この真っすぐ上まで続いているのって電気シャフトだろ」
『はい。ここを便っていけば最上階の10Fまで行けますが、人が通れる隙間はありませんよ』
「バクドローンの多足型昆虫タイプを用いて、10Fのどこかに漏電を発生させることは可能? 」
『なるほど。 そうゆうことですか』
「そっ。タイミングよくここに入れたからね。 今のうちに手を打っておこうと思ってね。加えて、潜入前に事前情報が得られると助かる」
『了解です』
トークンから準備していた、バグドローンが、カサカサとケーブルを便っていく。
うーん、ドローンと分かっていても気持ちのいい光景ではないな。
「周囲の音声も拾っておいて。 証拠を集めてから行動を起こしたい」
『了解です』
とりあえず、準備は進んでいる。まずは目標を確認してだな。 写真だけで本人にあっていないからな。
携帯端末にメッセージが届いている
<タニアの密約は事実。 銃器譲渡の協議がパーティー期間内に予定>
だよね。そうだと思ったよ。
しかし、あの女帝やたら、タニア連合王国に突っ掛るよね。
最初の親父の説明内容といい、マールスの安定化以外の動機もありそうだな。
「アルプ」
『何でしょうか? 』
「タニアのここ20年の動向とスキュレスの経歴を調べておいて」
『了解です』
「ついでに。 この鍵のパターンで模造品って作れる? 」
高電圧設備室のカギを渡す。
『スキャンですね。……。……。完了です。』
「どう? 」
『電子チップも入っていないので、複製は問題ありません』
「じゃぁ行けそうだな」
『はい。 あとはターゲットを連れ出す手段ですね』
「ああ。 まだ詳細が詰め切れていないが、方針はある」
『それは結構』
さてと、まずは行動に備えるか。
--- 3日後
「おーい。 タツマ―。10Fで電気系統の漏電が発生しているだけと見てきてくれねーかー?」
親方からの指示が来る。 これを合図として、例の漏電作戦が動き出す。
「了解です。 10Fはエレベータでいけばいいですか? 」
「ああ。そうか。お前まだ、上階に行ったことがないんだっけ? 」
もちろん、知らない体で回答する。
「ええ。 エレベータのボタンを押したことがあるんですけど、10Fってランプ付かなかったんで。 何なんですか? 」
「鍵があるんだよ」
キーボックスから鍵を持ってくる。
「これだ。これをエレベータのキー口に入れて回せば、上階にいけるぞ」
「ありがとうございます。それでは、いってきますね」
「おう。頼んだ! ああそうだ。 4軒の内、2軒は別荘なような使い方をしているため実質2軒だけの調査でいいからな」
「了解です。 アルプ行くぞ」
手持ち工具を持って向かう。
エレベータに向かう途中、アルプに話しかける。
「アルプ。前回と同じことできる?」
キーを渡す。
『……。……。完了です。』
―― 早いね。
「ありがとうさん。それと実際の音声情報は? 」
『タニアの武器供与に関しての音声が確認できています』
「それは、結構」
さすが高性能AI便利。
エレベータに乗りキーを入れ回し10Fのボタンを押すとランプが点灯した。
『どうするんですか?』
「まず、漏電した場所を修理した後に、10Fの両方の家に入り、分電盤を調べる。調べてる風の最中にバクドローンの配置をお願い」
『了解です』
電子音がなり、エレベーターの扉が開く。
廊下側にある分電盤を開け、漏電を発生させているバグドローンを取り除く。
いい感じでケーブルが痛んでいる。画像をとり補修テープで傷んだ箇所を補修する。
「さてと、お宅訪問と行きますか?」
そして、いよいよターゲットへの潜入になるが、まずは候補外のお宅から訪問する。
長い廊下を歩き、分譲の入口に立つ。呼び鈴を押すと声が聞こえてくる。
「はーい。どなたー」
甘ったるい声だな。
「ホテルの施設管理から来ました。漏電が発生しておりまして、宅内の配電盤を調査させていただけないでしょうか。 火事の原因にもなりますので、ご協力お願いいたします」
ドアが開くと、ナイスバディの色っぽい女性が出て来る。
誰かの愛人かそれともショービジネス関連だろうか。少なくともここに居を構えられるだけの何かしらの財があるということだろう。
「ご苦労様。 ホテルからは、聞いているわよー。 さっ入ってー」
分電盤を開けて測定器で数値を計測する。
「問題ないですね。他に電力を多く使う製品ってございますか?」
「うーん、とりあえず、リビングを見て頂戴な」
とりあえず、家電製品の電圧を測定や、ケーブルの抵抗を確認していく。一通り測定が終わる。
「問題なしです。ご協力ありがとうございました」
退出する。
『また、無意味なことをしますね』
「バグドローンの設置時間は、稼げただろう? 」
『ええ』
「さて、問題の次の部屋に行くか」
*
呼び鈴を押す。
しばらくすると男性の声で返答があった。
「誰だ?」
「ホテルの施設管理から来ました。漏電が発生しておりまして、宅内の配電盤を調査させていただけないでしょうか。火事の原因にもなりますのでご協力よろしくお願いします」
「ああ、確かに連絡が来ていたな。分かった今開ける」
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけいたします」
中に入ると、なるほど、雰囲気が違う。
「では、調査しますね」
分電盤を開けて、測定を一通り実施し、脇のアルプが手伝いをしながらバクドローンを配置していく。
逸れっぽい測定を実施後、作業を終える。
ここでタツマが、対象の男性に声を掛ける。
「室内の大きな電気を消費するモノを見せて頂けないでしょうか? 」
「そこまでする必要があるのか? 」
「念のためです。となりのお宅にも同じことをさせていただいておりまして。 やはり出火は、恐ろしいですから」
「わかった。少しここでまて」
男が奥に入っていくと何なら数人の人の動きが確認できる。
「いいぞ」
男からの合図で、タツマはリビングに足を踏み入れる。
「はい。それでは失礼いたします」
部屋に入ると、酒の入っているのだろうグラス5つほどある。
そして、メイド・トークンもいる。
「最も電気を使う製品とか分かりますか?」
「さぁ。俺はよく分からない。テキトーに調べてくれ」
「承知しました。隣のお宅と同じものを調べますね」
アルプとトークンが見合ったまま動かない。
調査をして問題ないことを確認する。
「問題なしですね」
「ああ、ありがとう」
「さぁ、行くぞ」
アルプに命令するが動かない。
「大丈夫なのか? 」
「ええ。少し古くて。色々に利用しているからガタが来たのかもしれません。ほら、行くぞ! 」
『了解しました』
アルプを連れて家から退出する。
とりあえず、エレベータに乗り周囲に人の気配が無い状態を確認してアルプに話しかける。
「どうした? 急に」
『メイド・トークンにジャックを仕掛けていました。 中々強固でしたが問題なしですね』
「因みにそんなに簡単に乗っ取れるものなの? 」
『理屈はかんたんですよ。 パスワードが掛かっているかないかです』
「はっ? 普通掛けるでしょ。 パスワード」
『トークンの場合、掛ける人も少ないんですよ。宅内で家事の命令を聞くだけですから。それに自分の顔を覚えこませるので』
「アルプのAIOSってなんなの? サナエさん詳しく教えてくれなかったけど」
「それは企業秘密ですが、乗っ取りに関してはトリックが分かれば簡単です。
まず、トークンオーナーとジャックしているものを誤認させ、その後、記録が定着、同化をしていく感じです。
トークンは、外部と自分を分けるのにウィルスソフトを代用していますが、オーナーとジャック者が、同化の過程で置き換わる感じですかね」
「弱点とかいっていたけど? 」
『まー。パスワードが強固ですとそもそも接続ができませんから、そこら辺じゃないですか? 特に宅内のトークンに重要情報を入れる概念がありませんからね』
―― まーそうか。 利用方法が違うのか
「なんか、拍子抜けなんだけど」
『シンプルですよ。接続後の機構は複雑ですけど。メレアの盗賊の場合は、そもそもかけていなかった。動いて命令できるからいいや程度でしょう。
プロメンテの脅迫事件では、技術者に無理をさせていたため、手を抜かれたのでしょう。
ただ、重要機関の警備トークンは、こうはいかないので、全てに対応できるとは、考えないでください。
今回のメイド・トークンですが、地味に掛かっていたので解除するまで時間が掛かりました』
アルプのトークン講座を聞きながら、エレベータで降りる。 その後、漏電の報告を親方にして、まずの任務は完了となる。
そのまま、裏方に回り周囲に人がいないことを確認するとアルプとの会話が始まる。
「でっ。 どうよ? 」
『話をしていますね。 イヤホンに情報を流します』
≪ゴルディー閣下。 タニアからの武器供与を受けましょう。 今の我々の武装では、貧弱ですし、彼らからの援助は願ったりかなったりです≫
≪この武器が元傭兵に渡れば、アルゴス政府といえ、無視はできませんよ。我々の要望に耳を貸してくれるはずです≫
≪少し考えさせてくれないか。私はクーデターもどきを起こしたいわけじゃないんだ≫
≪わかりました。しかし、閣下。今までのどんな手を使っても彼らは動かなかった。私は、もう最後の手段しかないと考えます≫
暫くして、ドアから外に出る音が聞こえる。
廊下のドローンが彼らの会話を拾う。
≪どう思う? うまくいくか?≫
≪さぁな。あいつも慎重で頑固だからな。もう少し、緩ければいいんだがな≫
≪タニアからの武器提供か、うちの中将もよく取り付けたな≫
≪邪魔者を排除するためだ。だいたい、傭兵に年金とか医療保険とか勘弁して欲しいぜ≫
既に2人が裏切り者確定か。エレベータに乗ったようだ。
ここに降りてくれば、ご尊顔を拝めそうだ。
『室内の盗聴に切り替えます』
音声が切りかわる。 室内だろうか、少し音声が籠る。
≪お悩みですか? ≫
≪まぁな。私とて国に弓を弾きたくない。しかし、君たちの境遇を改善も必要なんだ≫
≪私は、どんな結果になってもいいですよ。閣下についていくだけです。あの時に既に死んだ身ですから。閣下がことを起こそうとしたら、多くの同胞は立ち上がる準備はできています≫
≪……そうか、ありがとう≫
決意は、8割がた固まっているといったところか。
裏切りの者2人が、従者が2人か。
ことが起きたら、ゴルディーを突き出して終了にさせる気でいるのかな。
まったくクソにも程があるな。 といっても政治ゲーム。 信頼にたる人間を見抜けないほうが悪いか。
エレベータ到着の音が鳴り、ドアが開く。
催事場フロアは廊下も人が多く、先ほどの担当者とは気づかないだろう。
出てきた人間を確認。
――ああ、イスペリアの10人の一人だ。 まったく……懲りない国だな。
『裏も取れてきましたね。どうします? 』
「あとは、ゴルディーさんとやらの説得方法だな――少し考えないと。それが出来たら対応する」
『それにしても、よくもここまでこぎつけましたね。 その立案能力は素晴らしいです』
惑星間貿易商だからね。アイデア命なのよ。
さてと、反乱阻止に関しての最終段階を実施しますか。




